2009年11月12日

Duke Pearson『How Insensitive』

ブラジリアン・フレイヴァーが魅力の異色作☆Duke Pearson『How Insensitive』
ハウ・インセンシティヴ
録音年:1969年
ez的ジャンル:コーラス&ブラジリアン・ジャズ
気分は... :2つの味が同時に楽しめます!

再評価の高まるジャズ・ピアニスト/作曲家/アレンジャーDuke Pearsonの4回目の登場です。

これまで紹介してきたDuke Pearsonのリーダー作は以下の3枚。

 『Sweet Honey Bee』(1966年)
 『The Right Touch』(1967年)
 『The Phantom』(1968年)

4枚目に紹介するのは1969年録音の異色作『How Insensitive』です。

ジャズ・サイドからの評価はイマイチかもしれませんが、クラブ・サイドからの評価が高い1枚ですね。サバービア・ファンにもお馴染みのPearson作品だと思います。

アルバムの内容は大きく2つに分かれます。
オリジナルLPのA面はコーラス隊(Jack Mannoが率いるNew York Group Singers' Big Band)をフィーチャーし、ジャズ、ゴスペル、ソウルが入り交じったヴォーカル作品が並びます。それに対してB面はブラジル音楽/ボサノヴァで占められます。

今日において本作の人気が高いのは、B面の「Sandalia Dela」「Lamento」といったブラジリアン・フレイヴァーに対する支持に拠るものです。

Duke Pearson(p、el-p、flh)以外の録音メンバーはA/B面で異なります。

A面(B面の1曲を含む)はAl Gafa(el-g)、Bob Cranshaw(b)、Mickey Roker(ds)、Airto Moreira(per)、Andy Bey(vo)、New York Group Singers' Big Band(voices)といったメンバーです。

一方、B面のうち3曲はDorio Ferreira(g)、Bebeto Jose Souza(b)というTamba 4の2人、Airto Moreira(ds)とFlora Purim(vo)夫妻、Mickey Roker(per)というブラジル人ミュージシャン中心の編成です。

これまで紹介してきた3枚のリーダー作と比較すると、異色の作品という感じですが、ジャズの枠を広げようとするPearsonのチャレンジを楽しめる作品です。

本作の魅力がブラジリアン・サイドのB面にあるのは事実ですが、Jack Mannoの貢献が大きいA面にも別の楽しみがあります。

全曲紹介しときやす。

「Stella By Starlight」
オープニングは有名なスタンダード「星影のステラ」です(Ned Washington/Victor Young作品)。エレガントかつ軽やかな男女コーラスがいいですね。Pearsonも小粋なピアノを聴かせてくれます。A面ではコレが一番好きです。

「Clara」
有名なGershwin作品であるオペラ『Porgy and Bess』の「Clara, Clara, Don't You Be Downhearte」です。ここではAndy Beyが味わい深いヴォーカルを聴かせてくれます。荘厳の雰囲気がいいですね。ここではPearsonのフリューゲルホーンを聴くことができます。

「Give Me Your Love」
Duke Pearsonのオリジナルです。Andy BeyとNew York Group Singers' Big Bandの素晴らしいヴォーカルを堪能できるゴスペル・モードの仕上がりです。

「Cristo Redentor」
Duke Pearsonのオリジナルです。New York Group Singers' Big Bandのコーラスワークを堪能しましょう。思わずお祈りしたくなるような荘厳さがあります。Pearsonがピアノではなくエレピを弾いているのが面白いですね。

「Little Song」
Jack Manno作品。少し重たい感じが3曲続いたので、軽快なコーラスの本曲が際立ちますね。

ここまでがオリジナルLPのA面です。

「How Insensitive」
後半は「Insensatez」のタイトルでも知られているVinicius DeMoraes/Antonio Carlos Jobim作品で幕を開けます。当ブログでは以前にTriste Janeroのカヴァーを紹介しました。ここでは繊細なPearsonのピアノ・ソロで聴かせてくれます。

「Sandalia Dela」
本作のキラー・チューンと言えば、ブラジリアン・フレイヴァー全開の本曲で決まりです。Flora Purimの涼しげなヴォーカルが実にいいですね。ブラジル音楽好きは間違いなく気に入る定番曲です。Fantastic Plastic Machine「Bossa For Duke」で大々的に使われていますね(笑)

Fantastic Plastic Machine「Bossa For Duke」
 http://www.youtube.com/watch?v=kyCm1dwxMmg

僕の所有するCD(国内盤)に本曲の作者がJack Manno/Duke Pearsonと記載されていますが、これって間違いですよね!本曲はLuiz Claudio作「Deixa a Nega Gingar」の別タイトルだと思います。「Deixa a Nega Gingar」は以前にClara Morenoのカヴァーを紹介していますし、Elza Soares、Orlandivo、Regininha、Wanda Sa等もカヴァーしています。

「My Love Waits (O Meu Amor Espera) 」
この曲は正真正銘Jack Manno/Duke Pearson作品です。本曲のみA面と同じメンバーがバックを務めています。以前に紹介した『The Right Touch』の中でも演奏していたので、聴き比べてみるのも楽しいのでは?本作ではNew York Group Singers' Big Bandによるサウダージ・モードの男女コーラスがグッときます。

「Tears(Razao De Viva)」
Eumir Deodato作。ロマンティックという点ではアルバム随一なのでは?Flora Purimが大人のヴォーカルを聴かせてくれます。吐息まで聞こえてきそうです(笑)

「Lamento」
ラストはVinicius DeMoraes/Antonio Carlos Jobim作品。「Sandalia Dela」と並ぶハイライト。個人的には一番好きですね。大人のボッサ・チューンって雰囲気がFlora Purimのヴォーカルとマッチしていると思います。

本作に関しては、YouTube、imeem共に全く音源がありませんでした(泣)
先月紹介したGrant Green『Visions』同様、お値打ち価格1,100円の再発シリーズで国内盤CDをゲットできます。
posted by ez at 04:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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