2009年11月23日

Erik Tagg『Smilin' Memories』

David Foster、Lee Ritenour等が参加した1st☆Erik Tagg『Smilin' Memories』
Smilin' Memories
発表年:1975年
ez的ジャンル:ブルーアイド・ソウル系AOR
気分は... :EricだけどErikです!

今日はAOR的な作品が聴きたい気分です。
ということで、Erik Taggの1stアルバム『Smilin' Memories』(1975年)です。

Erik Tagg(Eric Tagg)は1953年イリノイ州生まれ。兄は80年代に2枚のアルバムを残したBourgeois TaggのメンバーであったLarry Taggです。

6歳から19歳まではテキサス州ダラスで暮らしていましたEricでしたが、1973年に"人生経験"のためヨーロッパへ渡ります。そして、オランダのアムステルダムで地元のBeehiveというグループに参加したことがきっかけで、本格的にミュージシャンとして活動するようになります。Beehive解散後に作ったデモ・テープがオランダEMIに認められ、ソロ・アルバム制作のチャンスを得ます。

そして、 David FosterLee RitenourJeff PorcaroMichael Porcaro等の強力メンバーを迎え、L.A.でレコーディングしたデビュー・アルバムが今日紹介する『Smilin' Memories』(1975年)です。しかしながら、当時リリースされたのはオランダのみでした。

その後、オランダのBasartから2nd『Rendez-Vous』(1977年)をリリースしています。こちらはダラスのミュージシャンと共に制作されたアルバムです。

80年代に入るとEric Taggに大きな転機が訪れます。『Smilin' Memories』で出会った人気ギタリストLee Ritenourのアルバム『RIT』(1981年)への参加です。『RIT』でヴォーカリストとして参加するのみならず、「Mr. Briefcase」(Eric Tagg作詞、作曲)、「Is It You」(Eric Tagg & Bill Champlin作詞、Lee Ritenour作曲)といった楽曲提供でも貢献しています。特に「Is It You」は(多分)Lee Ritenour最大のヒットとなった名曲ですね。

その後もLee Ritenourとのコラボは続き、翌82年には『RIT』の第2弾『RIT 2』、Lee Ritenourプロデュースのソロ第3弾『Dream Walkin'』(日本のみリリース)を発表しています。また、日本人フュージョン・ギタリスト松原正樹『PAINTED WOMAN』(1983年)にもEricが数曲フィーチャーされています。

Lee Ritenour「Mr. Briefcase」
 http://www.youtube.com/watch?v=Zg_F_YzbCyg
Lee Ritenour「Is It You」
 http://www.youtube.com/watch?v=-rTqNPv4eEk
松原正樹「Silly Crush」
 http://www.youtube.com/watch?v=E_2mwu6R7MY

Erik Tagg(Eric Tagg)に興味を持つ方は、Lee Ritenour『RIT』経由のAOR/フュージョン・ファンとサバービア/フリーソウル経由の人に分かれると思うのですが、Lee Ritenourとはあまり縁のない僕は後者のルートで辿り着きました。「Is It You」くらいは聴いたことがありましたが。

なので、『RIT』『RIT 2』『Dream Walkin'』という3点盛りを楽しむ聴き方は未体験です。僕の場合、AOR作品としてもフリーソウル作品としても楽しめる『Smilin' Memories』あたりが一番フィットするのかもしれません。

『Smilin' Memories』を聴いていると、何故かMacky Feary/Kalapanaあたりが一緒に聴きたくなります。僕が本作を気に入っている理由も、そのあたりにあるのかもしれません。

全曲Ericのオリジナルです。
彼のソングライティング能力も見逃せません。

全曲紹介しときやす。

「Tell-Tale Eyes」
サバービア/フリーソウル好きにとってのキラー・チューンはこの曲ですね。いつ聴いても幸せ気分になれる爽快なメロウ・グルーヴです。エレピの音色とEricのマイルドなヴォーカルがよくマッチしています。

「Love to Love You」
潮風の香るメロウ・チューン。イントロを聴いただけでトキメク感じですよね。こんな曲で朝目覚めたいです。

「Tell-Tale Eyes」、「Love to Love You」の2曲を聴くと、前述のようにMacky Feary/Kalapanaがたまらなく聴きたくなります。こんなの僕だけでしょうか?

「Castle of Loneliness」
哀愁モードのバラード。あまり仰々しくないのがいいですね。

「Steamboat」
親しみやすいポップ・チューン。AOR的な側面以外のEric Taggを楽しめます。中盤のシリアスな展開が意外ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=qtwJfl0-xyw

「Sandman(Bring Me a Dream)」
ハープシコードの音色が印象的なバラード。

「The Only Thing You Said」
「Tell-Tale Eyes」に次いで人気が高いのはこの曲なのでは?お洒落なシティ・ミュージックって雰囲気ですね。疾走感が実に気持ちいいですね。アルバム・タイトルは本作の冒頭の歌詞からとったものです。

「A Fantasy」
この曲もバラード。本作に限って言えば、バラード系の曲は少し弱いかも?

「After All」
アーバンなメロウ・チューン。アルバムの中でもAOR指数の高い1曲なのでは?

「In December's Cold」
Eric本人の思い入れが最も強い曲なのだとか。裏ジャケにある焼け焦げたノートは本曲の歌詞が書かれたもの。実際に火事に見舞われた時、焼けずに残ったのだそうです。

「Never Had the Feelin'」
ソウルフルなアーバン・メロウ。ブルーアイド・ソウルという点ではこの曲が一番かもしれませんね。Lee Ritenourのソロも盛り上げてくれます。

「Hang On」
ラストは美しく締めくくってくれます。Ericの曲作りの上手さを実感できる1曲なのでは?

本作以外の関連作品を紹介しておきます。

Erik Tagg『Rendez-Vous』(1977年)
ランデヴー

Eric Tagg『Dream Walkin'』(1982年)
ドリームウォーキン

Lee Ritenour『RIT』(1981年)
Rit

Lee Ritenour『RIT 2』(1982年)
Rit, Vol. 2

松原 正樹『PAINTED WOMAN』(1983年)
PAINTED WOMAN

おまけで兄Larry TaggのBourgeois Taggも紹介しておきます。

Bourgeois Tagg『Yoyo』(1987年) ※Todd Rundgrenプロデュース
Yoyo
posted by ez at 07:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Erik Taggいいですよね〜、って2ndしか聴いてないんですが..。
私はAOR全盛時に「Is It You?」から入ったクチです。
この1stも聴いてみたいですが希少なんでしょうか、中古で見かけても高値がついてて買えないんですよね..。

それと、Larry Taggが兄さんとは知りませんでした。「I Don't Mind at All」はちょっと流行りましたね。
Posted by Kaz at 2009年11月24日 00:16
☆Kazさん

ありがとうございます。

Erik Taggいいですよね。
日本人の感性にフィットしているアーティストだと思います。

さすがKazさんはリアルタイムでチェックしていたんですね。
僕の場合、Lee Ritenourをはじめフュージョン系ギタリストの作品は数えるほどしか持っていません(泣)
でも『RIT』あたりは揃えておきたいですね。

> Larry Taggが兄さんとは

Bourgeois Tagg『Yoyo』はToddプロデュースですが、思い切りB級感がありますよね(笑)
Posted by ez at 2009年11月24日 01:39
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