2009年12月06日

Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』

Soulstanceプロデュースによるスタイリッシュ&ダンサブルなクラブ・ジャズ☆Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』
ミラノ・ジャズ・ダンス・コンボ
発表年:2009年
ez的ジャンル:ミラノ系クラブ・ジャズ
気分は... :SchemaじゃないけどSchemaだよね!

今回はクラブ・ジャズのお気に入り新作Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』です。

先日紹介したDalindeo『Soundtrack for the Sound Eye』と並び、ここしばらく中毒的に聴きまくっているクラブ・ジャズです。

Milano Jazz Dance Comboは、イタリア、ミラノを拠点とする注目のジャズ・レーベルRecord Kicksからデビューしたジャズ・バンド。

メンバーは、Alberto Buonacasa(p)、Fabrizio Bernasconi(p)、Simone Daclon(p)、Germano Zenga(sax)、Marco Brioschi(tp)、Paulo Jones (tb)、Gianni Lo Greco(ds、per)、Enzo Lo Greco(b、p)という8名。中心人物はプロデューサーも務めるGianni Lo GrecoEnzo Lo GrecoLo Greco兄弟です。

Lo Greco兄弟の二人は、イタリア・クラブ・ジャズを牽引するSchemaレーベルでSoulstanceとして活動し、4枚のアルバムをリリースしています。

"Schemaの人気ユニットSoulstanceがプロデュースした新たなクラブ・ジャズ・プロジェクトこそがMilano Jazz Dance Comboである"という書き方をすると興味が湧いてくる人もいるのでは?

そんなSchema好きの期待に見事に応えてくれる、スタイリッシュ&ダンサブルなクラブ・ジャズに仕上がっています。

大半の曲でゲスト・ヴォーカリストをフィーチャーしているので、クラブ・ジャズを聴き慣れない人も入りやすい作品だと思います。

また、クラブ・ジャズ・ファンにとっては、Colonel RedDionne CharlesKatharine RuestowAlice Ricciardi、Roxie Rayといったゲスト・ヴォーカル陣の名前を見ただけでグッとくるのでは?

ラテン/ボッサ・テイストのリズム・セクションとツボを押さえた三管が、個性豊かなゲスト・ヴォーカリストの魅力を上手に引き出しながら、大人のジャズ・ダンスを聴かせてくれます。

最後までダレないクラブ・ジャズ・アルバムというのが気に入っています。

フロアライクなクラブ・ジャズにこだわったアタックの強い演奏で最初から最後まで一気に突っ走しるのが魅力ですね。その分、ゲスト・ヴォーカリストでバラエティ感を確保した点も成功しているのでは?

本作やDalindeo『Soundtrack for the Sound Eye』のようなアルバムを聴いてしまうと、ますますこの方面にのめり込みそうですね。

全曲紹介しときやす。

「Much More」
オープニングは先行シングルにもなりました。"西ロンドンのD'Angelo"ことColonel Redをフィーチャーしたアッパーなボッサ・ジャズです。ソウルフルかつ浮遊感のあるRedのヴォーカルと高速ボッサ・ビートにグッときます。西ロンドンのクラブ・ミュージックとミラノのクラブ・ジャズが上手く融合していますな。
http://www.youtube.com/watch?v=sfINIgk-PtI

Colonel Redは、西ロンドンのクラブジャズ/ブロークンビーツ・シーンで活躍する男性シンガー。"西ロンドンのD'Angelo"と呼ばれるように、独特の存在感があるシンガーです。Gerd、DelguiとのユニットMilez Benjimanやソロ名義で作品をリリースしています。今年は2ndソロ・アルバム『Sweet Liberation』をリリースしています。

「Don't Cry」
Dionne Charlesをフィーチャーしたファンキー・ジャズ。Dionne Charlesのダイナマイト・ヴォーカルにはファンキーなノリがよく似合います。ファンキーと言っても、ファンクではなくあくまでジャズ・マナーであり、Dionne Charlesの新たな魅力を引き出しているのでは?

Dionne CharlesはUKのファンク・バンドBaby Charlesの女性リード・ヴォーカル。昨年リリースしたデビュー・アルバム『Baby Charles』の評価も高かったですね。

「Feelin' Good」
Katharine Ruestowをフィーチャーした軽快なラテン・ジャズ。個性的なKatharineのヴォーカルの思わせぶりなヴォーカルとラテン・リズムが大人の小粋なジャズ空間を作り出しています。

Katharine Ruestowは、昨年リリースされたアイオワ出身のFunk/SoulバンドThe Diplomats of Solid Soundのアルバム『The Diplomats of Solid Sound Featuring the Diplomettes』にソウル・シスターズDiplomettesの一員として参加していた女性シンガーです。

「Just In Time」
僕の一番のお気に入り曲。Alice Ricciardiをフィーチャーしています。何の変哲もない服でもオシャレに着こなしてしまうかのような、オーソドックスなのに実にスタイリッシュな出来栄えに、ミラノの粋を感じますね。ジャズ・シンガーらしいAlice Ricciardiのスウィンギーなヴォーカルにメロメロです。

Alice Ricciardiは、ミラノ出身の女性ジャズ・シンガー。当ブログでも大人気だったNicola Conte『Rituals』(2008年)にも「I See All Shades of You」「Macedonia」の2曲でフィーチャーされていました(『Rituals』で最も好きな2曲でした)。昨年、デビューアルバム『Comes Love』をリリースしています。ヴォーカリスト&ビジュアルの両面で僕好みのシンガーです(笑)

「Sam Blues」
先行シングル「Much More」のB面曲として話題となったSambalanco TrioAirto Moreilaもメンバーでした)のカヴァー(インスト)。ブラジリアン・ジャズ・クラシックとして人気の曲ですね。オリジナルは『Sambalanco Trio』(1964年)に収録されています。オリジナルの小粋なテイストを上手く引き継いだカヴァーに仕上がっています。

Sambalanco Trio「Sam Blues」
 http://www.youtube.com/watch?v=Dv4v7mJpd3w

「Goodbye」
FELIXのヴォーカルをフィーチャー。この人のプロフィールはよくわかりません。演奏全体の雰囲気としては、以前に紹介したMario Biondi & The High Five Quintet『A Handful Of Soul』あたりと共通する男臭くダンサブルな仕上がりです。Mario Biondiに比べるとヴォーカルの線が細いですが。

「Broken Rose」
Roxie Rayをフィーチャーしたアッパーなボッサ・ジャズ。 個性的な声質とソウルフルな味わいのRoxie Rayのヴォーカルがグッときます。ホーン陣の格好良さが目立つのもグッド!

Roxie Rayは、オーストリア/シドニー出身のファンク・グループDojo Cutsのデビュー・アルバム『Dojo Cuts』で大々的にフィーチャーされている女性ヴォーカリストです。『Dojo Cuts』も要チェックの作品です。

「Iperbole」
パーカッシヴな演奏にテンションが上がるラテン・ジャズ・ダンスなインスト。クラブ・ジャズ好きの人はこうしたインストの方がグッとくるのでは?

「Please Don't Go」
「Just In Time」に次ぐお気に入り。ズッシリ腹に響くベースとブラジリアン・リズムをバックにKatharine Ruestowが個性的なヴォーカルを聴かせてくれます。

「Turn Up The Heat」
インストではコレが一番好き!"ジャズダンス"気分を満喫できるアルバムNo.1のスピード感です。クラブジャズ好きの人であれば相当グッとくるのでは?

「Sweet Love」
コレも相当好きです。Dionne Charlesをフィーチャー。ディープ度で言えばアルバム随一です。Dionneのディープ&パワフルなヴォーカルをうまく引き出しているのがいいですね。

「Beat Under My Skin」
Roxie Rayをフィーチャー。ソウル色の強いヴォーカル・パートとジャズらしいソロを堪能できる中間パートでお得な気分になります。

「Changes」
ラストはColonel Redをフィーチャー。Redのヴォーカルが入ると途端にミラノから西ロンドンへ瞬間移動してしまうのが面白いですね。それだけRedが存在感のあるヴォーカリストなのだと思いますが。クラブ・ミュージック好きは安心して聴ける出来栄えです。

本作に興味を持った方はSoulstanceやゲスト・ヴォーカリストの関連作品もチェックしてみては?

Soulstance『En Route』(1999年)
En Route

Soulstance『Act On!』(2000年)
Act On!

Soulstance『Lead the Way』(2006年)
Lead the Way

Colonel Red『Sweet Liberation』(2009年)
Grand Gallery presents Sweet Liberation

Baby Charles『Baby Charles』(2008年)
Baby Charles

The Diplomats of Solid Sound『The Diplomats of Solid Sound Featuring the Diplomettes』(2008年)
Diplomats of Solid Sound Featuring the Diplomettes

Alice Ricciardi『Comes Love』(2008年)
カムズ・ラヴ

Dojo Cutsのデビュー・アルバム『Dojo Cuts』(CD仕様)は、まだAmazonに扱いがないのでジャケ画像で紹介できません。扱いを開始次第掲載しますね。
posted by ez at 04:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Dojo CutsでフィーチャーされているRoxie Rayはいいですね。私はこういうボーカルにはまります。
Amy Winehouseみたいな声。大好き!
レビューを見てるとほかにも興味沸いてきます。
Posted by びい at 2009年12月11日 22:15
☆びいさん

ありがとうございます。

Dojo Cutsをチェック済みとはさすがですね!

Roxie Rayは確かにAmy Winehouse系ですね。
歌の上手さ云々以上に存在感のあるヴォーカルが魅力だと思います。

本作にフィーチャーされているヴォーカリストのうち、
Dionne Charles(Baby Charles)、Katharine RuestowはRoxie Rayがお好きならば、気に入るかもしれません。
Posted by ez at 2009年12月12日 05:45
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