発表年:1977年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系N.Y.ラテン/サルサ
気分は... :冬でもラテン!
今日は気分がラテン・モード!
N.Y.のラテン専門レーベルFniaのオールスター・グループFania All-Starsの2回目の登場です。
『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』(1972年)に続いて紹介するには、1977年リリースの『Rhythm Machine』(1977年)です。
N.Y.サルサの熱狂ぶりを収めた伝説のライブ・アルバム『Live At The Cheetah Vol.1/Vol.2』のイメージが強いFania All-Starsですが、70年代後半はラテン/サルサをベースとしつつも、フュージョン、ディスコ、ソウル、ロックの要素を取り入れたクロスオーヴァー色の強い作品をリリースしています。
その路線のアルバムが、Columbiaよりリリースした『Delicate and Jumpy』(1976年)、『Rhythm Machine』(1977年)、『Spanish Fever』(1978年)、『Cross Over』(1979年)という4枚です。
これらのアルバムには、サルサ/ラテンの枠を超えたゲスト・ミュージシャンの参加が目立ちます。例えば、昨日紹介したSteve Winwoodは『Delicate and Jumpy』に参加しています。
Columbiaリリースの4枚のうち、今日最も人気の高い作品であろう本作『Rhythm Machine』(1977年)では、スペシャルゲストとしてBob James(key)Eric Gale(g)というフュージョン系の人気ミュージシャンが参加しています。Bob Jamesはエグゼクティブ・プロデューサーとしてもクレジットされています。
作品ごとにメンバーが異なるFania All-Starsですが、本作でメンバーとしてクレジットされているのは、Johnny Pacheco(fl、per、vo)、Papo Lucca(p)、Nicky Marrero(timbales)、Roberto Roena(bongo、per)、Mongo Santamaria(congas)、Bobby Valentin(b)です。
前述の2人のスペシャルゲスト以外ではRuben Blades(vo)、Louis "Perico" Ortiz(tp)、Louie Ramirez(vib)がフィーチャーされ、それ以外にAdalberto Santiago(vo)、Hector Casanova(vo)、Ada Chabral(vo)、Nancy O'Neill(vo)、Luis Angel Silva "Melon"(vo)、John Tropea(g)、Lance Quinn(g)、Gary King(b)、Allan Schwartzberg(ds)、Rick Marotta(ds)、Joe Farrell(fl)等がレコーディングに参加しています。また、プロデュース/アレンジ/指揮はJay Chattawayが担当しています。
全体的にはフュージョン色が強いですが、ラテンロック、ラテン・ブギー、ラテン・ディスコ、アフロ・キューバン・スタンダード、Elis Reginaのカヴァー、正統派サルサといったように、多くの人が楽しめる間口の広いアルバムに仕上がっています。
ラテン=夏のイメージが強いですが、冬のラテンもなかなかいいですよ!
全曲を紹介しときやす。
「Ella Fue (She Was the One) 」
Eric Galeのギター・ソロを大きくフィーチャーしたラテン・ロック(Eric Gale/Johnny Pacheco作)。大人のメロウネスが漂う感じが大好きです。Santana、Malo、
Aztecaあたりがお好きな人は気に入ると思います。コーラス部分が「Twist and Shout」っぽいですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=wH0wLZHik08
Eric Galeは次作『Spanish Fever』(1978年)でも哀愁ラテン・ソウル「Donde」を楽曲提供しています。
Fania All Stars「Donde」(From 『Spanish Fever』)
http://www.youtube.com/watch?v=Jhvvwfmumgc
「En Orbita」
Johny Pacheco/Ray Berretto/Ricardo Marrero/Bobby Valentin作。 正統派サルサ・チューン。エネルギッシュなサルサを楽しみ方には本曲が一番ですね。Louis "Perico" Ortizがご機嫌なトランペット・ソロを聴かせてくれます。終始ベースがブイブイ唸っています。
「Awake」
ベースで本作に参加しているGary King作。Bob Jamesのキーボードをフィーチャーした爽快なメロウ・チューン。フュージョン/AOR系の音がお好きな方向けの仕上がり。♪パッパヤー♪の女性コーラスに癒されます。
「Peanuts(The Peanut Vendor)」
Moises Simon Rodriguez作のアフロ・キューバン・スタンダード。ザ・ピーナッツのカヴァー(邦題「南京豆売り」)でお馴染みかもしれませんね。フュージョン・テイストの爽快なアレンジで聴かせてくれます。
「Jubileo」
本作のハイライトといえば、この哀愁モードのラテン・ブギーでしょうね(Jay Chattaway作)。哀愁スキャットと切ない疾走感が何とも魅力です。Papo Luccaの美しいピアノ・ソロもグッド!若いリスナーの方はDJ Kawasakiによるカヴァーあたりもグッとくるのでは?
DJ Kawasaki「Jubileo」
http://www.youtube.com/watch?v=L6uakNeWscE
「Verao Vermelho」
Nonato Buzar作。オリジナルは当ブログでも紹介したElis Reginaのヴァージョンです(アルバム『Em Pleno Verao』収録)。オリジナルが大好きな僕としては本カヴァーにもグッときます。オリジナルのミステリアスな雰囲気が残っているのがいいですね。
「Steady (Fijo) 」
「Jubileo」と並ぶハイライト曲(Gary King作)。ノリの良いラテン・ロック/ディスコ・チューンです。♪フィイオ〜♪の部分はみんなで一斉に叫びたくなりますね!もっと長尺で聴きたいご機嫌な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=fPZAjxFxfSo
「Juan Pachanga(Daylight)」
ラストは哀愁サルサ・チューン(Ruben Blades/Louie Ramirez作)。Ruben Bladesがリード・ヴォーカルをとり、Louie Ramirezのヴァイヴ・ソロがフィーチャーされています。RubenのFania音源のベスト盤『Bohemio Y Poeta』(1979年)にも収録されている名曲です。Ruben Blades好きの僕としては一番のお気に入りです。Rubenらしいダンディズム溢れるメロディ&ヴォーカルを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=pXOVuCe38AY
興味がある方は他のColumbia作品、『Delicate and Jumpy』(1976年)、『Spanish Fever』(1978年)、『Cross Over』(1979年)もチェックしてみては?
『Delicate and Jumpy』(1976年)
『Spanish Fever』(1978年)
『Cross Over』(1979年)
私のFania初体験が、この「Rhythm Machine」でした。
もちろん、Bob Jamesからの流れですが。
この時期は、Fania All-Starsの歴史の中でも、かなり異質ですよね。妙にディスコっぽかったりして、このアルバムでも目隠しして聴くとFaniaだとわからないような曲もあります。
別の見方をすれば、プロデューサーJay Chattawayの最高傑作の一枚だと言えます。同時期のMaynard Fergusonの「Conquistador」も、Bob JamesとJayのコンビで、充実してましたよね。
ありがとうございます。
> 私のFania初体験が、この「Rhythm Machine」でした。
本作から入るのがApolloさんらしいですね。
この時期はN.Y.サルサの熱狂が一段落し、次の一手を模索していた時期なのかもしれませんね。
> プロデューサーJay Chattawayの最高傑作の一枚だと言えます。
そういう聴き方もあるんですね。
Jay Chattawayについて詳しくないので、そうした景色は欠如していました。
> 同時期のMaynard Fergusonの「Conquistador」も、
実はMaynard Fergusonは1枚も持っていません。
でも『Conquistador』は『アメリカ横断ウルトラクイズ』やボクシング/プロレス番組で半分くらい聴いていると思います(笑)