発表年:2009年
ez的ジャンル:姉御系ダイアモンド・ソウル
気分は... :今年のNo.1R&Bアルバムはコレで決まり!
今回は大好きなAngie Stoneの"予期せぬ(Unexpected)"新作『Unexpected』です。
当ブログでこれまで紹介したAngie Stone作品は以下の3枚(発売順)。
『Mahogany Soul』(2001年)
『Stone Love』(2004年)
『The Art Of Love & War』(2007年)
5thアルバムとなる新作『Unexpected』は、『The Art Of Love & War』以来約2年ぶりとなるStax移籍第2弾アルバムです。
Stax移籍第1弾となった前作『The Art Of Love & War』(2007年)は、Angie自身初となる全米R&Bアルバム・チャートNo.1に輝くなど商業的な成功を収め、彼女の最高傑作と評する評論家もいました。しかしながら、個人的には"悪くはないけど何処かで何か足りない"というモヤモヤ感が残る作品でした。完成度は高いけれど少しまとまりすぎた印象を受けたのかも?
それから2年、本作をリリースするまでにAngie姉さんにはプライベートで2つの大きな悲劇があったようです。
最初の悲劇は、『The Art Of Love & War』にも参加していた男性シンガーChinoと恋仲となり、婚約までしたものの、実はChinoが既婚者であった!というスポーツ新聞芸能欄のトップ記事になりそうなトラブルに見舞われたようです。『The Art Of Love & War』の記事でChinoのことを"期待のシンガー"なんて書いてしまいましたが、Angie姉さんを泣かすなんて許せない野郎ですな!
2つ目の悲劇は、最愛の父Bobby Williamを亡くしたことです(詳細はわかりませんが、国内盤CDの帯にそう書いてあります)。Angieの父はゴスペル・グループのシンガーだったようですね。
そんな悲劇を乗り越えて制作された本作『Unexpected』ですが、何かが吹っ切れたようにAngie Stoneらしい輝きを放っています。前作と同じような商業的成功を収めるかは不明ですが、前作のようなモヤモヤした思いを抱かせない大満足な1枚に仕上がっています。ジャケのド派手な衣装でバイクにまたがる、若々しいAngie姉さんの姿が全てを物語っているようです。
Angie本人は"クラシックなAngie Stoneの中に、少し冒険したAngie Stoneもいるアルバム"と本作を評しているようです。
CDショップのサイトを見ると、"予期せぬ"新しいアプローチという説明が強調されていますが、そうした曲はせいぜい全12曲中2曲程度であり、残りはファンが期待するクラシックなAngie Stoneを存分に堪能できます。しかも前作のようにおとなしくまとまらず、ギラギラと輝くAngie 姉さんに出会えると思いますよ!
プロデュースはAngie Stone本人に加えて、Steven"Supe" White、Jazze Pha、Jonathan Richmond、Sly Williams、Willie "Chuck" Shivers、Karrim "Ikon" King and Fitzroy "The Art Teacher" Reidが起用されています。Angie作品ではお馴染みのJonathan Richmond、『Stone Love』以来となるJazze Phaを除くと新顔ですね。特にSly Williamsプロデュースの4曲が充実していますね。
また、前作『The Art Of Love & War』に続き参加のJuanita Wynnがバック・ヴォーカル/ソングライティングの両面で大きく貢献しているのが目立ちます。
これから年末にかけて大物R&Bシンガーたちが新作をリリースしますが、僕の中で今年のNo.1R&Bアルバムは本作で確定です。
全曲を紹介しときやす。
「Unexpected」
いきなり♪I got this from Sly Stone♪とスタートするオープニング。そのフレーズの通り、Sly & the Family「Family Affair」ネタのトラックになっています。♪こんなの予想できない〜♪とアルバム全体への期待が高まるプロローグです。
「I Ain't Hearin' U」
アルバムからの1stシングル。ファンは大満足のソウルフル&グルーヴィーな仕上がりです。Angie姉さんにはこういうノリの良い曲が似合います。この1曲を聴いて、前作以上に僕の好きなAngie姉さんが戻ってきたと確信できました。Steven"Supe" Whiteプロデュース、Steven"Supe" White/Juanita Wynn作。
http://www.youtube.com/watch?v=XmcRHn7qPZo
プロデューサーのSteven"Supe" Whiteは、当ブログでも紹介したLeela James『Let's Do It Again』ではドラマーとして、いい仕事ぶりを聴かせてくれましたが、ここではサウンドクリエーターとしてAngie姉さんの個性にマッチしたトラックを提供してくれています。
「Free」
Jazze Phaプロデュース。また、T.I.等ラップ作品のフィーチャリング・ヴォーカルでお馴染みのRicco Barrinoがソングライティング&ヴォーカルで参加しています。Jazze Phaプロデュースと言えば、『Stone Love』からシングル・カットされた「I Wanna Thank Ya」(feat. Snoop Dogg)のイメージが今でも印象に残っています。ここではエレクトロ・サウンドを駆使した今時のR&BサウンドでAngie姉さんの新たな魅力を引き出していますね。
http://www.youtube.com/watch?v=0xLYFGfju9I
「Maybe」
Jonathan Richmondプロデュース、Jonathan Richmond/Juanita Wynn作。♪"多分"を頼って生きられるの?♪プライベートでショックな出来事が続いたAngieの揺れ動く心を代弁しているかのような歌詞にグッときます。"
http://www.youtube.com/watch?v=JIX8vR5r6kE
「Hey Mr. DJ」
Sly Williamsプロデュース。クレジットにはありませんが、いきなりMichael Jackson「Rock With You」の冒頭のドラムでスタートします。Angie姉さんのソウルフルな魅力をストレートに堪能できる味わい深いミッド・チューン。Minnie Riperton「Here We Go」もサンプリングしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Auoc8hxbHQU
「Kiss All Over Your Body」
Sly Williamsプロデュース。Sly Williams/Angie Stone作。ミディアム〜スロウ系では一番のお気に入り!美メロ好きはグッとくること間違いナシ!の絶品スロウです。
http://www.youtube.com/watch?v=RS7YACltco0
「I Don't Care」
Willie "Chuck" Shiversプロデュース。いきなりプリティなヴォーカルを聴かせてくれるのは(多分)娘Diamond Stoneだと思います。Diamondの参加はAngie作品では恒例になってきましたね。♪人にどう言われようと気にしない!♪と歌うAngie姉さんはらしくていいですよね。
「Why Is It」
Sly Williamsプロデュース。Sly Williams/Juanita Wynn/Angie Stone作。「Kiss All Over Your Body」同様美メロ好きのハートをトキメかせます。こちらの方がよりナチュラルな仕上がりです。別れた恋人との揺れる女心を歌った歌詞もグッときます。、女性の方は涙ウルウルになりますよ!と言う僕もウルウルですが(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=gVGAyClAMK8
「Tell Me」
サウンド面でのインパクトはが良くも悪くもアルバムで一番でしょう(Karrim "Ikon" King and Fitzroy "The Art Teacher" Reidプロデュース)。オートチューン・ヴォーカルにエレクトロ・サウンドは今時のR&Bらしいですが、ファンは賛否両論分かれるでしょうね。僕の感想は、このタイプをアルバムに1曲だけ収録するのであればOK!2曲以上は必要ナシ!といったところでしょうか。
「Think Sometimes」
Willie "Chuck" Shiversプロデュース。亡き父に捧げたバラードのようです。落ち込んでいるときに聴くと前向きなれそうな歌詞ですね。人生たまには考えないとね(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=myWRVEzx3cQ
「I Found A Keeper」
Sly Williamsプロデュース。Sly Williams/Dolton P.Smith/Angie Stone作。ハッピーなラブソングで締めてくれるのが嬉しいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=HxcXmJ8y3kQ
「Unexpected (Reprise)」
ラストは「Unexpected」のリプライズ。大満足のアルバムの余韻に浸ってアルバムは幕を閉じます。
ファンの予想を上回る充実ぶりで"驚き"をもたらす作品だと思います。
個人的には前作のモヤモヤ感が晴れてスッキリしたのが嬉しいですね。