2010年01月14日

Jeanne Moreau『Jeanne Chante Jeanne』

ヌーベルヴァーグを代表する女優による昼下がりのシャンソン/フレンチ・ボッサ!☆Jeanne Moreau『Jeanne Chante Jeanne』
ジャンヌ・シャント・ジャンヌ
発表年:1965年? or 1970年?
ez的ジャンル:ヌーベルヴァーグ女優系シャンソン/フレンチ・ボッサ
気分は... :女優Jeanne Moreau≠歌手Jeanne Moreau

Jeanne Moreauは1928年フランス、パリ生まれの女優・歌手。
数多くのヌーベルヴァーグ作品に出演するなどフランスを代表する女優の一人ですね。

1948年に女優としてデビューし、1957年にLouis Malle監督の『Ascenseur Pour L'Echafaud(邦題:死刑台のエレベーター)』への出演で脚光を浴び、1960年の『Moderato Cantabile(邦題:雨のしのび逢い)』ではカンヌ映画祭の主演女優賞を受賞しています。

一般的には悪女イメージのする女優さんなのではないでしょうか?
僕はやはり『死刑台のエレベーター』の印象が強いです。

そんな女優Jeanne Moreauのイメージとは程遠い、爽快ラブリー・ヴォイスを聴かせてくれるアルバムが今日紹介する『Jeanne Chante Jeanne』です。

歌手としてのJeanne Moreauは、それまでにも『Jeanne Moreau/Douze Chansons』『Douze Chansons Nouvelles』『Les Chansons De Clarisse』といったアルバムをリリースしており、本作『Jeanne Chante Jeanne』は4枚目のアルバムとなる模様です。

ただし、リリース年が不明です。。CDのクレジットや帯には1965年作品となっていますが、ライナーノーツには1970年リリースとなっています。調べてもよくわからないので、便宜上とりあえず1960年代カテゴリーに入れておきました。

さて、内容ですが全曲Jeanne Moreauが詞を書き、Jacques DatinAntoine Duhamel(映画音楽で有名な作曲家ですね)の二人が作曲を担当しています。また、Musical Directorとしてフレンチ・ジャズのヴァイヴ奏者Guy Boyerの名がクレジットされています。

Clementineのカヴァーでもお馴染みの「Les Voyages」などフレンチ・ボッサ的なイメージが強い作品かもしれませんが、シャンソン、ジャズ、ブラジルが程よくブレンドされた、小粋で愛らしいアルバムに仕上がっています。

多くの人が女優Jeanne Moreauとは異なる歌手Jeanne Moreauに、新鮮な驚きを感じる作品ではないかと思います。

全曲紹介しときやす。

「La Celebrite La Publicite」
緩急を巧みに使い、華やかな映画スターとそれとは無縁の平凡な日常という対立する2つの世界を表現したオープニング。Guy Boyerのヴァイヴが印象的ですね。

「L'enfant Que J'etais」
穏やかなアコースティック・サウンドをバックに♪彼女は優しくてチャーミングだけれど、わがままで自己主張しすぎるし...♪と歌います。

「Les Voyages」
おそらく本曲目当て本作をゲットした人も多いであろう軽やかなフレンチ・ボッサ。Guy BoyerのヴァイヴとGeorge Grenuのフルートが心地よく響きます。

「Quelle Merveille Ton Coeur」
あまり注目されない曲ですが、僕の一番のお気に入りはラブリー・モードのコレ!アコースティック・サウンドによるラブソングです。こんなに愛らしいJeanne Moreauなんて僕のイメージが完全に覆されました。

「Juste Un Fil De Soie」
晴れやかな雰囲気にグッとくるボッサ・チューン。本作にフレンチ・ボッサを期待する人には間違いない仕上がり。

「Notre Ile Ton Ile Mon Ile」
牧歌的な雰囲気も漂うシャンソン。こういう曲がないとフレンチらしくないですよね。

「Les Petits Ruissseaux Font Les Grandes Rivieres」
ミュージカル映画の1シーンのような明るく楽しいスウィンギーなジャズ・チューン。女優Jeanne Moreauのイメージとはかなり異なりますが...

「Errante Du Coeur」
どこか遠くを見つめてながら聴きたくなるアコースティック・チューン。この手のメロディ&サウンドとフランス語の語感は実にマッチしますね。

「Je Suis A Prendre Ou A Laisser」
哀愁モードのジャズ・チューン。ジャズ・ヴォーカル的な聴き方をするとこの曲が一番グッとくるかも?

「Quelle Histoire」
軽快なサンバ・チューン。少しコミカルな雰囲気もあってなかなか楽しめます。

「On Dit Que Je Ne Suis Pas Sage」
ミステリアスな雰囲気が漂います。女優Jeanne Moreauのイメージに最も近い印象を受けます。

「Le Vrai Scandale C'est La Mort」
内容はシリアスなメッセージ・ソングみたいですが、ヴォーカル&メロディ&サウンドは実にチャーミングです。

記事を書いていたら『死刑台のエレベーター』が観たくなってきました。
posted by ez at 08:35| Comment(4) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ジャンヌ・モローは決して美人ではないけど、不思議な魅力がありますね。特にあの扇情的な唇。「恋人たち」の月光を浴びた逢いびきのシーンが好きです。
それにしても、ルイ・マル監督の音楽へのこだわりっていいですね。
Posted by ドコドン at 2010年01月14日 14:41
ezさん、こんばんは。

これは興味深いですね。是非聴いてみたいものです。

フランスの女優は、結構アルバムを出していますよね。
ただ、スクリーンのイメージと同じようなものが多いのですが、これはちょっと異質な感じですね。

是非、聴いてみます!
Posted by Apollo at 2010年01月14日 23:52
☆ドコドンさん

ありがとうございます。

> 美人ではないけど、不思議な魅力がありますね。

その独特のオーラこそが女優としての資質なのかもしれませんね。

> ルイ・マル監督の音楽へのこだわりっていいですね。

音楽好きとしては、映像と音楽が一体化している作品は印象に残りますよね。
特にフランス映画はそうした作品が多いですね。
Posted by ez at 2010年01月15日 07:34
☆Apolloさん

ありがとうございます。

> フランスの女優は、結構アルバムを出していますよね。

お国柄でトータルなアーティストとしての資質を持っている女優が多いのかもしれませんね。

> これはちょっと異質な感じですね。

他の作品をきちんと聴いているわけではありませんが、彼女のアルバムの中でも少し異質な作品なのだと思います。機会があればぜひ聴いてみてくださいね。
Posted by ez at 2010年01月15日 07:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック