発表年:1970年
ez的ジャンル:セルメン系ボッサ・ジャズ/ポップ
気分は... :セルメン好きにはたまりません!
今回はSergio Mendesファンはグッとくる1枚、Bossa Rio『Alegria!』(1970年)です。
Bossa RioはSergio Mendes自らが世に送り出したSergio Mendes & Brasil '66の弟分グループ。Sergio Mendesは60年代前半にもBossa Rioというインスト・グループを率いていたのでややこしいのですが。
メンバーはGracinha Leporace(vo)、Pery Ribeiro(vo)、Manfredo Fest(key)、Osmar Milito(p)、Octavio Bailly Jr.(b)、Ronie Mesquita(ds)の6名。
Gracinha Leporaceは、Grupo Manifestoのメンバーとして活動した後、Sergio MendesにスカウトされてBossa Rioへ参加し、そのままSergio Mendesと結婚しました。Bossa Rio解散後も公私にわたるパートナーとしてMendesをサポートしています。Brasil '66、Brasil '77等の作品でも彼女の声を聴くことができます。
Pery Ribeiroはブラジルで名曲「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」をレコーディングした最初のシンガーなのだそうです。また、Octavio Bailly Jr.(b)、Ronie MesquitaはBossa Tresのメンバーだったこともあるリズム・セクションです。
グループは『Bossa Rio』(1970年)、『Alegria!』(1970年)という2枚のスタジオ作をリリースしています。また、1970年にSergio Mendes & Brasil '66と共に来日し、大阪万博のステージにBrasil '66の前座として出演したそうです。
ジャケに写るメンバーの風貌はBrasil '66ほど垢抜けていない印象も受けますが、中身は思い切りBrasil '66しています。勿論プロデュースはSergio Mendesです。セルメン・ファンであれば、かなり鉄板な仕上がりだと思います。楽曲は全てカヴァーですが、オリジナルと異なる雰囲気の楽曲も多く、そのギャップもなかなか楽しめます。
本来A&Mから送り出したアーティストなのですが、本作『Alegria!』はBlue Thumb(共同設立者の1人はTommy LiPuma)からリリースされています。その流れでセルメンのみならず、A&M、ロジャニコあたりとの接点も意識しながら聴くと、さらに楽しめるのでは?
全曲紹介しときやす。
「Spinning Wheel」
Blood, Sweat & Tearsの名曲カヴァー。オリジナルをイメージして聴くとあまりギャップに驚きますよ(笑)。ブラス・ロックの名曲が彼らの手にかかれば、ポップなボッサ・チューンに変貌してしまいます。よくもここまで変わるものですね! お見事!
http://www.youtube.com/watch?v=r7OPgH1eYN8
「Zazueira」
Jorge Benの名曲カヴァー。当ブログではこれまでElis Regina、Meta Roos & Nippe Sylwens Bandのカヴァーを紹介してきましたが、それらと比較するとよりソフトな仕上がりかもしれません。曲自体が大好きなので嬉しいカヴァーです。
「Girl Talk」
26歳の若さでこの世を去った女優Jean Harlow(1911-1937年)の伝記映画『Harlow』(1965年)の挿入歌カヴァー(Bobby Troup/Neal Hefti作)。Sergio Mendesも『The Great Arrival』(1966年)でカヴァーしているので、その影響かもしれませんね。A&MつながりではChris Montezもカヴァーしています。ここではセルメン風の軽快な仕上がりで聴かせてくれます。
「The Night Has A Thousand Eyes」
1963年のBobby Veeのヒットで知られるBenjamin Weisman/Dorothy Wayne/Marilynn Garrett作品のカヴァー。"若者の夜"といった趣の軽快なオリジナルと比較すると、若者の夜"といった趣のゆったりエレガントな仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=QbAI0cZi7L0
「What A Pity (Que Pena)」
Jorge Benのカヴァー2曲目。ソフトな仕上がりですが、他の楽曲以上にブラジル色を強くしています。僕の一番のお気に入りです。
Jorge Ben「Que Pena」
http://www.youtube.com/watch?v=9i46osqhlcY
「With Your Love Now」
原題「Mustang Cor de Sangue」。Marcos Valleのカヴァーです(Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作)。Marcosのオリジナルほどハジけてはいませんが、キュートな仕上がりにグッときます。
Marcos Valle「Mustang Cor de Sangue」
http://www.youtube.com/watch?v=BfgAnWFBeCI
「Open Your Arms」
原題「Andanca」(Danilo Caymmi/Edmundo Souto/Paulinho Tapajos作)。Pery RibeiroとGracinha Leporaceの男女ヴォーカルの絡みが実に素敵ですね。ロマンティック・ムードという点ではアルバム随一かもしれません。
「Eleanor Rigby」
Beatlesの名曲カヴァー1曲目。Pery RibeiroとGracinha Leporaceのヴォーカルがミステリアスな雰囲気を醸し出しています。以前に紹介したWes Montgomeryヴァージョンと並ぶお気に入りEleanor Rigbyカヴァーです。
「Don't Go Breaking My Heart」
Roger Nichols & The Small Circle Of Friendsのカヴァーでお馴染みのHal David/Burt Bacharach作品。Dionne Warwick、Herb Alpert & The Tijuana Brass、Aretha Franklinも取り上げています。本曲を知っている人であれば、かなり素直なカヴァーに仕上がっています。元々がボッサな雰囲気の楽曲なので当たり前すぎる気もしますが、それでもグッときてしまいます(笑)
「Blackbird」
Beatlesの名曲カヴァー2曲目。年末に紹介したDoces Cariocas「Blackbird e Asa Branca」(「Blackbird」のフレーズを挿入)もそうですが、案外このBeatlesソングはボッサな雰囲気が似合う楽曲なのかもしれませんね。
1st『Bossa Rio』(1970年)もセットでどうぞ!
『Bossa Rio』(1970年)
「Do You Know The Way To San Jose」(From 『Bossa Rio』)
http://www.youtube.com/watch?v=Wo3xrpQqJmA&
「Old Devil Moon」(From 『Bossa Rio』)
http://www.youtube.com/watch?v=eE7cgPv1hkw
「Cancao Do Sal」(From 『Bossa Rio』)
http://www.youtube.com/watch?v=C00Yr3nGbyM
先ほど、Tom Cruise主演の映画『Vanilla Sky』(2001年)を観ました。
観終わっても、判然としないモヤモヤ感が好きだったりします。
単にキュートなPenelope Cruzがミーハーで好きだけかもしれませんが(笑)
同じTom Cruise出演作で言えば、一般にはかなり評判悪い『Magnolia』(1999年)なんかも好きだったりします。変り者なのでしょうね(笑)
ありがとうございます。
曲名なければ、「Spinning Wheel」と気付かないかもしれませんね(笑)