2010年02月08日

Clementine『Solita』

Ben Sidranとのコラボ第三弾☆Clementine『Solita』
ソリータ
発表年:1997年
ez的ジャンル:日本産フレンチ・ポップス
気分は... :色メガネで見ないで!

今日は日本人に大人気のフランス人女性シンガーClementine(クレモンティーヌ)です。"クレモンティーヌなんて洋楽じゃないでしょ!"なんて言わないでくださいね!

Clementine(本名:Clementine Mitz)は1963年フランス、パリ生まれの女性シンガー。

1988年フランスCBSからシングル「Absolument Jazz」でデビュー。その後日本のソニー・ミュージックエンタテインメントと契約し、数多くのアルバム、シングルをリリースしています。詳しく書いても、ちゃんと読んでもらえないかもしれないので、このあたりは省略します(笑)

日本ではCMソングなどにも多く起用され、多くの人が知らず知らずのうちに、彼女のウィスパー・ヴォーカルを耳にしているのではないかと思います。また、オシャレなカフェ・ミュージックの代名詞的な存在かもしれません。

一方で、日本以外の国で"Clementineってオシャレだよね!"と言っても、まず通じないでしょう。特に彼女の本国フランスでは殆ど知名度がないのでは?

その意味でClementineというアーティストは、"クレモンティーヌ"というカタカナ表記の日本産アーティストという位置づけが適切なのかもしれません。実際、プロデュースやバックを日本人アーティストが務めている作品も多いですからね。

そんな背景もあって、良い作品をコンスタントにリリースし続けているにも関わらず、アーティストとして正当な評価を受ける機会が少ない気がします。

今日紹介する『Solita』(1997年)は僕のイチオシClementine作品であり、今まで色メガネでClementineを見ていた人にもぜひ聴いて欲しい作品です。

本作の目玉は何と言ってもBen Sidran全面プロデュースという点です。先月、Ben Sidranの記事をエントリーしてから、急に本作のことが気になりはじめました。

本作以前にもClementineとBen Sidranは、『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)、『Sings Ben Sidran』(1993年)といった共演作をリリースし、家族ぐるみで交流するなど公私にわたり良好な関係を構築していたようです。

『Sings Ben Sidran』のように全曲Ben Sidran作品で固めた作品も悪くありませんが、有名スタンダードやヒット曲カヴァーも交えた本作『Solita』のような作品の方がBen Sidranのアレンジ・センスの素晴らしさがより実感できる気がします。

Clementineの魅惑のウィスパー・ヴォーカルと、それを知り尽くしたBen Sidranのアレンジ・センスを堪能しましょう。

Ben Sidran好きの人もグッとくる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Don'cha Go 'Way Mad」
Illinois Jacquet/Jimmy Mundy作詞、Al Stillman作曲のスタンダード。 Ella Fitzgerald、Frank Sinatra等のカヴァーが有名です。以前からClementineのレパートリーであったものを、Ben Sidran一流のアレンジで調理しています。アーバン・テイストながらもミステリアスな空気も流れる独特の雰囲気がたまりません。

「These Foolish Things」
Harry Link/Holt Marvell/Jack Strachey作のスタンダードをフランス語でカヴァーしています。様々な歌手・アーティストがカヴァーしているジャズ・スタンダードですが、Clementineの父がフランス人歌手/俳優Jean Sablonのヴァージョンをお気に入りだったようです。ロック・ファンはBryan Ferryヴァージョンでお聴きになった方もいるかもしれませんね。スタンダード然とした正統派アレンジをバックにしたフレンチ・ウィスパーに魅了されます。

「Polka Dots and Moonbeams」
Johnny Burke作詞、Jimmy Van Heusen作曲のスタンダード。Frank Sinatraのヴァージョンが有名みたいですね。Ben Sidranのアレンジ・センスが光るアーバン・メロウ・チューンにグッときます。

「Make Yourself Comfortable」
Bob Merrill作のスタンダード。Sarah Vaughan、Steve & Eydie、Bette Midler等がカヴァーしています。ここではBenとClementineの素敵なデュエットを聴くことができます。最初の二人のやりとりが実にいいですね。全体的にはロマンティックなジャジー・チューンに仕上がっています。

「Solita」
タイトル曲はClementineの娘であり、現在では母と共に歌手として活動するSolitaをイメージしたものです。バカンス中に仲間内で"Solitaをイメージした楽曲づくり"のコンテストを行い、優勝したのがBenの息子Leoです。Benの息子がClementineの娘をイメージした楽曲を作るなんて実に素敵じゃありません?曲自体はラブリー・モードの優しい仕上がりです。

「Always Remember You」
レコーディングに参加しているギタリストJimi Behringerの作品。Kenny Halmenの素敵なソプラノ・サックスのソロからスタートする甘く切ないラブ・ソング。甘酸っぱい感じが胸にグッときます。

「Sunny」
Bobby Hebbの1966年のヒット曲のカヴァー。当ブログでは以前にDusty SpringfieldBirgit Lystagerのヴァージョンを紹介しています。ClementineはBoney Mヴァージョンを愛聴していたようです。仕上がりはBoney Mのようなディスコ調ではなく、Clementineらしいメロウ・グルーヴとなっています。
http://www.youtube.com/watch?v=vTom8KQ69f8

Dusty Springfield「Sunny」
 http://www.youtube.com/watch?v=ehy6VjLU8DY
Bobby Hebb「Sunny」
 http://www.youtube.com/watch?v=IbUl_E-R91Q
Boney M「Sunny」
http://www.youtube.com/watch?v=yD8DcgpLp_w

「This Will Make You Laugh」
Nat King Coleが1941年にレコーディングした作品(Irene Higginbotham作)。この曲もClementineの父が好きだったようです。実にロマンティックなアレンジにグッときます。フレンチ・ウィスパーが雰囲気をさらに盛り上げてくれます。

「Chuck E.'s in Love」
当ブログでも紹介したRickie Lee Jonesのヒット曲(全米チャート第4位)のフランス語カヴァー。オリジナルの雰囲気に近いですが、フランス語の語感とウィスパー・ヴォーカルがこの名曲にマッチしています。

「You Got What It Takes」
Marv Johnson、1959年のヒット・シングル。Clementine自身はDinah Washington & Brook Bentonヴァージョンがお気に入りだったようです。 ここではDinah & Brookヴァージョンのノリを継承しつつ、アーバン・テイストの洗練されたアレンジで聴かせてくれます。

Dinah Washington & Brook Benton「You Got What It Takes」
 http://www.youtube.com/watch?v=j6YQIPz_FrA

「Midnight Tango」
オリジナルはBen Sidranが在籍していたSteve Miller Bandのヴァージョンです(「Steve Miller's Midnight Tango」のタイトルでアルバム『Number 5 』収録)。ダークな雰囲気のオリジナルから一変し、Clementineらしい哀愁モードのカフェ・ミュージックに仕上がっています。

「Baba Coo」
Ben Sidran/Leo Sidran作。オルガンの響きが印象に残る小粋なジャジー・チューン。Ben Sidranらしいアレンジにグッときます。

「Hey Hey Baby」
Benの人気曲のカヴァー。オリジナルは『Don't Let Go』<(1974年)に収録されています。Benのヴォーカルも入りオリジナルの雰囲気を引き継いでいますが、こちらの方がよりメロウな仕上がりになっています。

Ben Sidran「Hey Hey Baby」
 http://www.youtube.com/watch?v=rfZzlPfv8Lg

「Sur La Route」
作詞はClementine、作曲は彼女の友人であるギタリストのManu Vergeadeです。パーカッシヴ&フォーキーなメロウ・チューンに仕上がっています。冬の夜の旅を歌った内容ですが、夏の終わりの海岸といった雰囲気ですね。

この際、他のClementine作品も聴き直してみては?

『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)
スプレッド・ユア・ウィングス
Ben Sidran & Clementine「Chances Are」
http://www.youtube.com/watch?v=K-etjjUuS3M

『Continent Bleu』(1989年) ※Johnny Griffinとの共演
コンティノン・ブルー

『Sings Ben Sidran』(1993年) ※全曲Ben Sidran作品
パリス・ウォーク

『Ils Et Elle』(1994年) ※IncognitoのBluey、Deodato等プロデュース
イル・エ・エル〜彼らと彼女

今日は朝からNFLのスーパーボウルですね!
早起きするので今夜はもう寝ま〜す。
posted by ez at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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