
発表年:1977年
ez的ジャンル:キュート系女性SSW
気分は... :愛はすぐそばに!
気分はバンクーバー五輪モードですが、よくよく考えると今日はバレンタインデーですね。となれば、キュートな女性シンガー・ソングライターものがマッチしそうなのでは?
セレクトしたのはValerie Carterのソロ・デビュー・アルバム『Just A Stone's Throw Away』(1977年)です。
ジャケのキュートなValerieの表情を眺めているだけでグッとくるアルバムですよね(笑)
Valerie Carterの紹介は、2ndアルバム『Wild Child』(1978年)に続き2回目となります。
ソロ・デビューとなる本作以前に、ValerieはJon Lind(元Fifth Avenue Band)、Richard Hoveyと組んだトリオHowdy Moonの一員として、アルバム『Howdy Moon』(1974年)をリリースしています。Little FeatのLowell Georgeがプロデュースを担当したことで話題になりましたが、ブレイクには至らずアルバム1枚を残したのみでグループは解散してしまいます。
その後しばらくはJackson Browne、Linda Ronstadt等のバック・コーラスとして過ごす日々が続くValerieでしたが、Howdy Moonのマネージャーを務めていたBob CavalloがEarth, Wind & Fire、Weather Reportのマネジメントを担当していた関係で、CBSとパイプができ、ソロ・アルバムをレコーディングする機会を得ます。
少し脱線すると、Howdy Moonの同僚であったJon LindがEW&F「Boogie Wonderland」やRamsey Lewis「Sun Goddess」(Maurice Whiteとの共作)といった楽曲提供したのも、Bob Cavalloの力が大きかったのでしょうね。ちなみにBob Cavalloの息子のRob CavalloもGreen Day作品等で敏腕プロデューサーぶりを発揮していますね。
話をValerie Carterに戻すと、ソロ・デビュー作『Just a Stone's Throw Away』には、Lowell George、Bill Payne、Paul Barrere、Samuel ClaytonというLittle Feat勢、Maurice White、Verdine White、Fred White、Larry Dunn、Al McKay、Andrew WoolfolkというEW&F勢を中心に、Jackson Browne、Linda Ronstadt、John Sebastian、Deniece Williams、Herb Pedersen、Jeff Porcaro、Fred Tackett、John Hall、Ernest Watts、Jerry Peters、Skip Scarborough、David Campbellなど豪華ミュージシャンが勢揃いしています。彼女のこれまでのキャリアとBob Cavalloの人脈を感じるメンツですね。
プロデュースはGeorge Massenburgですが、Lowell George、Maurice Whiteがそれぞれ2曲ずつ共同プロデュースしています。また、Bill Payne、Jerry Peters、David Campbellがアレンジを担当しています。
こうした多彩なメンバーが揃っただけあって、サウンドの方もロック、フォーク/カントリー、ソウル、ジャズと実にカラフルです。
AOR色が強く、よりサウンドが洗練された『Wild Child』(1978年)の方が僕の嗜好にはマッチしていますが、Valerie Carterらしさという点では本作かもしれませんね。
ハイライト曲はフリーソウル・クラシックとして人気のメロウ・チューン「Ooh Child」でしょうが、それ以外にEW&Fとの融合、郷愁感漂うフォーク/カントリー・チューン、小粋なアレンジ・センスが光るジャジー・チューンと様々な聴き所がある作品だと思います。
キュートなValerieの歌声でバレンタインデーを過ごすのはいかが?
全曲紹介しときやす。
「Ooh Child」
前述のように本作のハイライト。The Five Stairstepsのカヴァーです(Stan Vincent作)。Valerie以外にも数多くのアーティストがカヴァーしている名曲ですね。そんな中でもキュート&メロウなValerieヴァージョンが、やはりピカイチという気がします。バレンタインデー気分にもピッタリでしょ!2nd『Wild Child』のAOR路線を予感させる仕上がりです。Matt Dillon主演の映画『Over the Edge(邦題:レベルポイント)』(1979年)のサントラにも収録されていました。
http://www.youtube.com/watch?v=4tywkUVBfRE
Five Stairstepsのオリジナルも含めて、様々な「Ooh Child」を聴き比べるのも楽しいですね。バレンタインデー気分という点では、本曲のフレーズを冒頭に挿入しているJoe「Better Days」あたりもグッときます!
The Five Stairsteps「Ooh Child」
http://www.youtube.com/watch?v=_DHRGrIqmb0
Joe「Better Days」
http://www.youtube.com/watch?v=0CoMRfM9biQ
「Ringing Doorbells in the Rain」
Valerie Carter/Ron Koss作。雨に打たれながら恋人の部屋の前でベルを鳴らす切ない女心を歌ったものです。胸が締めつけられるような内容ですが、メロウ・サウンドにグッときてしまいます。
「Heartache」
Lowell George/Ivan Ulz作。Lowell George作らしいジワジワ感がいいですね。
「Face of Appalachia」
John SebastianとLowell Georgeの共作。Johnヴァージョンは『Tarzana Kid』(1974年)に収録されています。フォーク/カントリー系の曲では一番好きですね。バンジョーの響きとValerieの歌声が郷愁モードへ誘ってくれます。
「So, So, Happy」
Skip Scarborough作。Jerry Petersによるジャズ・テイストの小粋なアレンジをバックに、♪So, So, Happy〜♪とValerieが歌えば、聴いているコチラも思わずハッピー・モードになってしまいます!Maurice White共同プロデュース曲ですが、それほどEW&F色は出ていません。
「A Stone's Throw Away」
タイトル曲は女性SSWのBarbara Keith作品(Doug Tibblesとの共作)。オリジナルはBarbaraの2nd『Barbara Keith』に収録されています。Lowell Georgeが共同プロデュースしている曲であり、モロにLittle Featな感じの激シブのファンキー・チューンに仕上がっています。
「Cowboy Angel」
Valerie Carter/Lowell George作。この曲もLowell Georgeが共同プロデュースです。味わい深く感動的なバラードに仕上がっています。広大な大地を眺めながら聴きたくなります。
「City Lights」
Valerie Carter作。Maurice White共同プロデュースの2曲目です。ホーン・セクションも含めてモロにEW&Fサウンドです。ただし、ヴォーカルだけ異常にクールなのが面白いですね。
「Back to Blue Some More」
Valerie Carter/Lowell George/Bill Payne作。ジャジー&レイジーな感じがグッときます。「Ooh Child」あたりと比較すると、別人のような妖艶ヴォーカルを聴かせてくれます。
バンクーバー五輪の開会式は、聖火台のハプニングもあり、イマイチ評判が良くなかったようですね。個人的にはNBAのスター選手ナッシュやNHL史上最大のスター選手であったグレツキーの登場に興奮していたのですが...
あと開会式に俳優のドナルド・サザーランドが出ていたのを観て、彼や息子のキーファー・サザーランドがカナダ人であることを初めて知りました。と言うことは、ジャック・バウアーはカナダ人だったのか???なんて変なことも想像していまい...(笑)