発表年:1989年
ez的ジャンル:MPBの歌姫
気分は... :テンパっているかも?
今週は今年一番のフル稼働状態で、なかなか記事を書く時間が取れません(泣)
かなりテンパっているかも?
まぁ、こういう時に僕が聴くのはブラジルものに落ち着くのですが...
ということで、歌姫Marisa Monteのデビュー作『Marisa Monte』(1989年)です。一部では『MM』のタイトルで紹介されています。僕もジャケ下に小さく書かれた『MM』のタイトルで慣れています。
Marisa Monteの紹介は、『Mais』(1991年)、『Universo Ao Meu Redor』(2006年)に続き3回目になります。
僕の場合、Arto Lindsayプロデュースの2nd『Mais』(1991年)がMarisaとの出会いでした。なので、どうしても『Mais』や『Verde Anil Amarelo Cor de Rosa e Carvao(英題:Rose and Charcoal)』(1994年)、『Barulhinho Bom(英題:A Great Noise)』(1997年)といったArto Lindsay絡みの作品の印象が強いですね。
しかしながら、"Elis Reginaの再来"と呼ばれたMarisaのスケール感の大きさを堪能するという点では、デビュー作となる本作『Marisa Monte』も捨てがたいですね。
Maria Callasに憧れ、クラシック歌手になるためイタリアへ渡ったMarisaでしたが、その後MPBを歌うようになります。そして大物プロデューサーNelson Mottaに認められ、彼のプロデュースでデビュー・アルバム『Marisa Monte』をリリースします。
MottaはMarisaをTeatro Villa-Lobosでのライブ録音でデビューさせるという大胆な戦略に打って出ました。リアルタイムで聴いていたら、それがピンと来ていたか自信がありませんが、今日聴き直してみるとライブ・アルバムでのデビューというのはインパクトがありますね。
内容のバラエティ感にも驚かされます。今聴いても、アヴァンギャルドなオープニングに始まり、ポップス、ロック、ブルース、ソウル、ジャズ、レゲエと様々な音楽のエッセンスを取りれた構成に驚かされます。
そして、そうしたバラエティに富んだ楽曲、アレンジに合わせて、様々な唱法、表情を使い分けるMarisaの確かに実力に脱帽です。何より、どのようなタイプの楽曲、ヴォーカルでもMarisa Monte自身の圧倒的な存在感があるのが素晴らしいですね。ある種の凄みすら感じます。
デビュー作にしてこのオーラ!
Marisa Monteの偉大さを再確認できたデビュー作でした。
存在感の大きさに圧倒されます。
全曲紹介しときやす。
「Comida」
オープニングは80年代のブラジル・ロック・シーンを代表するグループTitasのカヴァーです。メンバーのNando ReisとMarisaは恋仲だったみたいですね。またメンバーのArnaldo Antunesは後にTribalistasで共演することになります。オリジナルとはかなり異なる雰囲気ですがパンチは効いています。この曲がオープニングというのもかなり大胆ですね。Marisaが持つアヴァンギャルドな側面がよく出ているのでは?
『Mais』でもTitasのメンバーが楽曲提供していたんですね。恥ずかしながら今回初めて気付きました。『Mais』はArto Lindsay絡みの人脈ばかりに気を取られていました(泣)。復習しておきま〜す。
Titas「Comida」
http://www.youtube.com/watch?v=kDauPMPIEDw
「Bem Que Se Quis」
個人的には本作のハイライト。ナポリ出身の人気イタリア人歌手Pino Danieleの作品です、オープニングから一転したクラシカルな仕上がりで、Marisaの歌唱力を堪能できます。疲れ切った今の僕の心身を癒すにはピッタリの1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=fxJqMsnSG44
「Chocolate」
「Bem Que Se Quis」と並ぶ僕のお気に入り。ブラジリアン・ソウルの人気シンガーであったTim Maiaのカヴァー。このカヴァーも素晴らしい!親しみやすいメロディ、アレンジをバックにヴィヴィドなヴォーカルを聴かせてくれます。ソフトなバック・コーラスとパワフルなMarisaのヴォーカルのコントラストがいいですね!Marcos Suzanoのパーカッションもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=_4uTU7jn718
「Ando Meio Desligado」
Os Mutantes)のカヴァー(オリジナルはアルバム『A Divina Comedia Ou Ando Meio Desligado』収録)。ここではオリジナルの妖しい魅力を残しつつ、よりテンポよく聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=dQXSHo-R-fA
オリジナルの持つサイケな雰囲気も大好きです!
Os Mutantes「Ando Meio Desligado」
http://www.youtube.com/watch?v=FBLbUfRKRB4
「Preciso Me Encontrar」
リオのサンバ・ミュージシャンであった故Candeiaのカヴァー。Marisaの表現力の豊かさを実感できます。デビュー作とは思えない大物の風格が漂います。
http://www.youtube.com/watch?v=FE8l5KzJ6tU
「O Xote das Meninas」
人気アコーディオン奏者、作曲家、歌手であったLuiz Gonzagaのカヴァー。ここではレゲエ調のリズムで聴かせてくれます。
「Negro Gato」
ここではJanis Joplinばりの激しいヴォーカルを聴かせてくれます。聴く者を圧倒するパワー持った強力なパフォーマンスです。インパクトという点ではアルバム随一かも?Paulo Moraのクラリネットもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=hiTxZ0db0jQ
「Lenda das Sereias, Rainha Do Mar」
「Negro Gato」から一転して、爽快かつエレガントな雰囲気で聴かせてくれます。このギャップにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=rAUIhTbqUYE
「South American Way」
アメリカで成功を収めた伝説的歌手Carmen Mirandaのカヴァー(Jimmy McHugh/Al Dubi作)。小気味良いテンポでサラっと聴かせてくれるのがいいですね。
Carmen Miranda「South American Way」
http://www.youtube.com/watch?v=eDwQN4UeF8E
「I Heard It Through the Grapevine」
邦題「悲しいうわさ」。Gladys Knight & the Pips、Marvin Gayeの大ヒットで知られる名曲(Norman Whitfield作品)のカヴァー。当ブログではRogerのヴァージョンも紹介しました。ここではレゲエ・アレンジで聴かせてくれる点が新鮮です。
「Bess, You Is My Woman Now」
お馴染みのオペラ『Porgy and Bess』挿入歌(Ira Gershwin/Dubose Heyward/George Gershwin作)。ここではQuarteto de Cordasの男性コーラスをバックにスタンダード感たっぷりに聴かせてくれます。
「Speak Low」
ラストはOgden Nash作詞、Kurt Weill作曲の名曲「Speak Low」のカヴァー。オリジナルはミュージカル『One Touch of Venus』(1943年)のために書かれたものです。この曲もハイライトの1つかもしれませんね。しっとりとしたジャジー感に包まれてアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=Dwjx4yqj_uU
あぁ、何もしないで、こういう音楽をずっと聴いていたい...
と言いつつ、仕事再開です...悲しいかな...