2010年03月06日

Hirth Martinez『Hirth From Earth』

全てがユニークなMartinezのデビュー作☆Hirth Martinez『Hirth From Earth』
ハース・フロム・アース
発表年:1975年
ez的ジャンル:超個性派男性シンガー・ソングライター
気分は... :実にユニーク!

今回は超個性派男性シンガー・ソングライターHirth Martinezのデビュー・アルバム『Hirth From Earth』(1975年)です。

Hirth Martinezは1945年L.A.生まれ。

1970年代にThe BandRobbie Robertsonプロデュースによるデビュー・アルバム『Hirth From Earth』(1975年)、John Simonプロデュースによる2nd『Big Bright Street』(1977年)という2枚のアルバムをリリースし、一部ファンから高い評価を得たものの、それ以降シーンから姿を消します。

そして、1998年に突如21年ぶりの3rd『I'm Not Like I Was Before』をリリースし、ファンを大いに喜ばせました。

僕の場合、Hirth Martinezの名前を初めて知ったのはフリーソウルのコンピ『Free Soul River』でした。このコンピでエンディングを飾ったのが本作のオープニング曲「Altogether Alone」です。その直後に21年ぶりのカムバック作『I'm Not Like I Was Before』がリリースされ、その人気ぶりに驚いた記憶があります。

さて、本作『Hirth From Earth』ですが、Robbie RobertsonプロデュースということでThe Band的なサウンドをイメージしてしまいますが、ロック、ジャズ、ブルース、カントリー、フォーク、ソウル、ラテン、ブラジルと多様な音楽のエッセンスが取り入れられています。個人的にはメキシコ系の血が流れるMartinezのラテン魂が顔を覗かせる曲が好きですね!

また、基本はダミ声ヴォーカルのMartinezですが、「Altogether Alone」等の曲ではソフト・タッチのヴォーカルも披露し、様々な表情でそのユニークな歌世界を聴かせてくれるのも魅力です。

レコーディングにはHirth Martinez(vo、g) 、Robbie Robertson(g)以外に、The BandGarth Hudson(p、el-p、org)、Ben Keith(pedal steel)、Bob Boucher(b)、Chuck Rainey(b)、Russ Kunkel(ds)、Spider Webb Rice(ds)、Sergio Pastora(conga)、さらにStevie Wonder三部作の功労者の二人Robert Margouleff(syn)、Malcolm Cecil(syn)等が参加しています。

聴きながら思わずニンマリしてしまうセンスの良さが光る1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Altogether Alone」
オススメその1。アルバムのハイライト。前述のようにフリーソウル人気曲でもあります。メランコリック&メロウ&ブルージーな雰囲気のボッサ・チューンに仕上がっています。ライトなアコースティック・サウンドにシンセのオブリガートが絡み、素敵だけど何処か不思議な音世界を生み出しています。歌の内容はUFOとの遭遇を歌ったユニークなものです。シンセのオブリガートはUFOなんですね...そう思って聴くとさらに興味深いです。

「Winter Again」
僕の苦手なカントリー・タッチの仕上がりですが、 Martinezのアクの強いヴォーカルのおかげでイモ臭くならずに済んでいるので一安心(笑)

「Djinji」
オススメその2。Martinezのダミ声ヴォーカルとソウル&ジャズ・タッチのファンキー・サウンドが実にマッチしたブルーアイド・ソウル風の仕上がり。ホーン・サウンドも盛り上げてくれます。格好良い曲なのに何処かユーモラスなのがこの人らしさでしょうか。

「Be Everything」
オススメその3。ワルツ調の哀愁サウンドをバックにした寂しげなMartinezの多重ヴォーカルが印象的です。夢の中のような雰囲気を醸し出すLarry Fallonによるストリングス・アレンジが素晴らしいですね。

「Comin' Round The Moon」
Robbie Robertsonのギター・プレイが冴えるシャープなロック・チューン。Dr.Johnを連想させるMartinezの風貌とマッチする仕上がりです。

「It」
小粋なジャジー・チューン。優しげなソフト・ヴォーカルは「Djinji」あたりのダミ声ヴォーカルと同一人物のヴォーカルとは思えません。

「That's The Way It's Gotta Go」
オススメその4。ラテン・フレイヴァーのファンキー・グルーヴ。再びダミ声に戻ったMartinezのヴォーカル、Robbie Robertsonのギター、ファンキーなリズム隊、ストリングス&ホーン隊と全てが一体化した演奏は素晴らしい!の一言に尽きます。

「Silent Movies」
オススメその5。センチメンタルな気分になるカントリー・ロック。Ben Keithの味わい深いペダル・スティールが印象的です。ゆっくりと時間が流れていく感じがたまりません。

「Pity On The Fool」
ブルージーなロック・チューン。Garth Hudsonのオルガンも加わり、Robbie Robertsonのギターと合わせてThe Band風サウンドが堪能できる1曲です。

「I Don't Know Why The Hell」
オススメその6。ボッサ・テイストの効いた小粋なポップ・チューン。都会的なアレンジにグッときます。

「Saturday Night」
ニューオリンズしているジャジー・チューン。Martinezのダミ声ヴォーカルがサッチモ(Louis Armstrong)のようで良くマッチしています。

「Cold Dark Mornin'」
オススメその7。エキサイティングなリズムに魅了される新感覚のブルース・チューンといったところでしょうか。前曲ではサッチモのように聴こえたMartinezのダミ声ヴォーカルが、ここではMick Jaggerのように思えてきます。この曲にRolling Stonesを感じるのは僕だけでしょうか?

「You Are A Star」
ラストはオールド・ジャズ風の仕上がり。アコーディオン等も加わり、少し切ない雰囲気にグッときます。実に素敵なエンディングです。

Norman Seeffによるジャケも印象的ですよね。
ヴォーカルもサウンドもジャケも...あらゆる面で個性を感じる1枚です。

John Simonプロデュースによる2nd『Big Bright Street』(1977年)もセットでどうぞ!
ビッグ・ブライト・ストリート(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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