発表年:1965年
ez的ジャンル:ジャズ・サンバ・トリオ
気分は... :男の顔には...
今回はSambalanco Trioの3rdアルバム『Reencontro Com Sambalanco Trio』です。
Sambalanco Trioの紹介は、Lennie Daleとの共演作Lennie Dale & Sambalanco Trio『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』(1965年)に続き2回目になります。
ただし、『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』はLennie Dale中心の記事の書き方だったので、実質的には今回が最初の紹介と言えるかもしれませんね。
Sambalanco Trioは1962年にサンパウロで結成されたジャズ・サンバ・トリオ。グループ名"Sambalanco"はサンバ(Samba)とバランソ(Balanco)を組み合わせたものだと思います。メンバーはCesar Camargo Mariano(p)、Humberto Clayber(b)、Airto Moreira(ds)の三人。
Cesar Camargo Marianoは故Elis Reginaの2番目の夫であり、Maria Ritaの父親でもあります。Airto Moreiraはご存知の通り、妻Flora Purimと共にその後アメリカへ渡り、ジャズ/フュージョン・シーンで大活躍することになります。
Sambalanco Trio単独では、『Samblues』(1964年)※『Sambalanco Trio vol.1』のタイトルも在り、『Improviso Negro』(1965年)※『Sambalanco Trio vol.2』、『Nana』のタイトルも在り、『Reencontro Com Sambalanco Trio』(1965年)という3枚のアルバムをリリースしています。
今回紹介する『Reencontro Com Sambalanco Trio』(1965年)は彼らの3rdアルバムであると同時にラスト・アルバムとなる作品です。
Tamba Trioと並ぶジャズ・サンバを代表するトリオと位置づけられるSambalanco Trioですが、個人的にはTamba Trioとは相当異なる印象を受けます。
Sambalanco Trioの場合、歌ものがないせいかブラジル音楽というよりもジャズを聴いている感覚の方が強いかもしれません。特にピアノ・トリオという編成がそういった印象にさせるのでしょうが。
一方で、ピアノ・トリオにありがちな小ぢんまりとまとまっていない所が彼らの魅力だと思います。特にAirto Moreiraのドラムがバシバシ主張しているのがいいですね。
一人でウィスキーでも飲みながら聴きたくなるアルバムです。
その意味では、やはり気分がブラジル・モードよりもジャズ・モードの時に聴くのがいい作品かもしれません。
全曲紹介しときやす。
「Samba Pro Pedrinho」
Tereza Souza/Walter Santos作品。軽快なジャズ・サンバでスタートします。
「Deixa」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作の名曲。当ブログでは以前にElis Reginaのヴァージョン(『Elis, Como e Porque』のボーナス・トラック)を紹介しています。Sambalanco Trioヴァージョンは軽快な中にもエレガントな雰囲気が漂うのがいいですね。
「Lenda」
Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作。Marianのリリカルなピアノを中心としたロマンチックな仕上がりにウットリです。
「Tensao」
Humberto Clayber作。三人の息が合ったエキサイティングな演奏に聴いている側もテンション上がります。Airtoのドラムがハジけているのがいいですね。
「Razao De Viver」
Eumir Deodato作品。エレガントな演奏ですがパッションが感じられます。
「Pra Machucar Meu Coracao」
Ary Barroso作。小粋なエレガントさが僕好みの演奏です。ラウンジでグラス片手に聴くのにピッタリな雰囲気です。
「Pot-Pourri:Samblues - Sambinha - O Amor Que Acabou - Nana - Praque Chorara - O Morro Nao Tem Vez - Roda De Samba - Samblues」
1st『Samblues』、2nd『Improviso Negro』からのメドレー。「Samblues」「Sambinha」「O Amor Que Acabou」「Praque Chorara」「O Morro Nao Tem Vez」は『Samblues』、「Nana」「Roda De Samba」は『Improviso Negro』に収録されています。まさにSambalanco Trio美味しいとこ取りのメドレーです。本作のハイライトなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=HUWCKUQVdVo
Antonio Carlos Jobim作の「O Morro Nao Tem Vez(悲しみのモロ)」は『Lennie Dale E O Sambalanco Trio』でも取り上げていましたね。
「Deixa Pra La」
Luiz Fernando Freire/Sergio Augusto作。小気味良さの中に抜群のセンスを感じます。
「So...Pela Noite」
Airto Moreira作品。ジャズ・ファンがグッとくる仕上がりなのでは?
「Step Night Up」
Oliver Nelson作。1分半の短い曲ですが、洗練されたテンポの良さに魅了されます。
http://www.youtube.com/watch?v=11YqzQAy80M
「Manha De Nos Dois」
Mariza/Cesar Camargo Mariano作。ラストはしっとりとした演奏でアルバムは幕を閉じます。
1st『Samblues』(1964年)、2nd『Improviso Negro』(1965年)もどうぞ!
『Samblues』(1964年)
『Improviso Negro(Nana)』(1965年)
好みからいえばこれに女性スキャットとかかぶさってくれば最強ですが。贅沢でしょうか。
ありがとうございます。
> これに女性スキャットとかかぶさってくれば最強ですが。贅沢でしょうか。
Tamba Trioと比較すると、ヴォーカルものが無い点で好き/嫌い分かれるかもしれませんね。