発表年:1972年
ez的ジャンル:ソフト・サイケ/サイケ・フォーク系MPB
気分は... :サイケな異色作!
ブラジルを代表するシンガー・ソングライターMarcos Valleです。
Marcos Valleの紹介は、『Vontade De Rever Voce』(1981年)、『Previsao Do Tempo』(1973年)、Celso Fonsecaとの共演作『Pagina Central』(2009年)に続き4回目となります。
個人的には60年代後半から70年代前半のMarcos Valleが気になっています。
具体的には、『Viola Enluarada』(1968年)、『Mustang Cor de Sangue』(1969年)、『Marcos Valle』(1970年)、『Garra』(1971年)、『Vento Sul』(1972年)、『Previsao Do Tempo』(1973年)、『Marcos Valle』(1974年)あたりですね。
その中から今回は『Vento Sul』(1972年)をセレクト。
Marcos本人も認めているように、上記7枚の中でも最も異色作かもしれません。
"ソフト・サイケ/サイケ・フォーク"という印象のアルバムですね。
Juarez Machadoが手掛けたジャケがアルバムの持つ不思議なムードをよく表しています。
本作では当時ブラジルを代表するプログレッシヴ・グループであったO Tercoとの共演が話題となりました。Sergio Hinds(g)、Cezar de Merces(b)、Vinicius Cantuaria(ds)といったメンバーは当時のMarcosのバック・バンドも務めていたようですね。
それ以外にPaulo Guimaraes(fl)、Claudio Guimaraes(g)のGuimaraes兄弟とMauricio Maestro(b)、さらにはMilton Nascimentoのバック・バンドも務めたSom ImaginarioのメンバーFrederico(g)、Robertinho Silva(per)がレコーディングに参加しています。
ソフト・サイケ/サイケ・フォークなアルバムと言っても、Marcosワールドは健在です。
2曲を除き、兄Paulo Sergio Valleとのコンビによる作品です。
ブラジル音楽好きというよりも、Marcos Valle好き、サイケ・ロック/サイケ・フォーク好きの人がグッとくる作品かもしれませんね。
全曲紹介しときやす。
「Revolucao Organica」
邦題「有機的革命」。ブラジリアン・プログレ・ロックといった趣のストレンジなオープニング。妖しげに響くPaulo Guimaraesのフルートも印象的です。
「Malena」
アルバムで一番のお気に入り。ポップなソフト・サイケ・チューンに仕上がっています。♪Aleluia〜♪Aleluia〜♪のコーラス部分が大好きです。
「Pista 02」
邦題『滑走路02〜アイレロンにさわらずに着陸する方法』。航空パイロットであったPaulo Sergio Valleらしい歌かもしれません。歌詞と演奏のリズムがばっちりシンクロしているのがいいですね。
「Voo Cego」
邦題「暗闇の飛行」。Claudio Guimaraes作品です。フォーキーなソフト・サイケ。牧歌的な中にストレンジな雰囲気が漂います。
「Bodas de Sangue」
邦題「血の洗礼」。Ian Guestがオーケストレーションを担当したインスト・チューン。荘厳な雰囲気
http://www.youtube.com/watch?v=CrBsHka_W0Q
「Democustico」
頭文字Dの単語を並べたDつながりソングです。ポエトリー・リーディングのような歌い方やサウンド面も含めてSerge Gainsbourgっぽい雰囲気です。
「Vento Sul」
邦題「南の風」。タイトル曲はビューティフルな仕上がりです。切なる思いがグッと伝わってきます。
「Rosto Barbado」
邦題「ひげ面」。哀愁ブラジリアン・グルーヴですが、ロック・テイストのFredericoのギター・ソロがアクセントになっています。
「Mi Hermoza」
邦題「美しい人」。パーカッシッヴなサイケ・フォークですが中盤のロック・パートも盛り上がります。
http://www.youtube.com/watch?v=j9rdm24gEzo
「Paisagem de Mariana」
邦題「マリアーナの風景」。Frederico作品です。妖しい空気の流れる哀愁フォーキー・チューン。
「Deixa O Mundo E o Sol Entrar」
邦題「世界と太陽に腕を開いて」。ラストは実に穏やかです。ただし、悲しみを乗り越えて歩みだそうとする、開き直った穏やかさといった感じですが。Hugo Bellardがオーケストレーションを担当しています。
「O Beato」
邦題「狂信者」。CDのボーナス・トラック。本作と同じ1972年にリリースされたTVドラマのサントラ収録曲。本編の雰囲気とは全く異なるハジけた仕上がりです。
この時期のMarcosは本当に面白いですね。
まだまだ歯抜け状態のマイ・コレクションですが、ぜひコンプリートさせたいですね。
『Viola Enluarada』(1968年)
『Mustang Cor de Sangue』(1969年)
『Marcos Valle』(1970年)
『Garra』(1971年)
『Previsao Do Tempo』(1973年)
『Marcos Valle』(1974年)