発表年:1972年
ez的ジャンル:魂の鼓動系ニューソウル
気分は... :これぞ理想のライブ・ミュージック!
昨日投稿したOthello & The Hipknoticsの記事の中で、彼らが目指すのは“理想のライブ・ミュージックの追求”みたいなことを書いたけど、後で読み返して“理想のライブ・ミュージックはコレでしょ!”と本作が真っ先に思い浮かんだ。
ご存知の通り、Donny Hathawayは、Marvin Gaye、Stevie Wonder、Curtis Mayfieldと並ぶニューソウル四天王の一人である。
ただし、他の3人の音楽と比べると、Donny Hathawayの音楽は、いい意味でも、悪い意味でも圧倒的な重さがある。きっと彼の音楽において、当時の黒人社会の苦悩、自由への思い、平和への願い、崇高な愛などを訴えるメッセージが決定的に重要だったのであろう。そして、そのメッセージを伝えるために、意識的にポップでダンサブルな要素を排した音楽作りをしてきたあたりが、この重さを生んでいるのではと思いマス。
1970年半ば頃には、ベトナム戦争も終結し、黒人の意識改革を訴えたニューソウル・ブームも終息していった。それに従い、徐々にその存在感が薄くなると同時に、自らの理想と現実社会のギャップに悩みうつ病を患ったDonnyは、1979年1月13日にNYのビルの15階から身を投げ、自らの命を絶ってしまった。
そんな彼の生涯を知ると、名作『Extension of a Man』(1973年)などのスタジオ録音盤はズシリと重く聴こえる。なので、Donnyのアルバムは、Marvin Gaye、Stevie Wonder、Curtis Mayfieldと比べると圧倒的に聴く頻度が少ない。別に、キライじゃないんだけどねぇ。
Donny Hathaway作品の中で、唯一かなりの頻度で聴くのが1972年発表のライブアルバム『Live』デス。これは1971年に行われたLAのTroubadourとNYのthe Bitter Endでのライブを収めたものデス。 Bitter Endは以前に紹介した同じくライブの名盤Curtis Mayfield『Curtis/Live!』も録音されたライブハウスです。
Phil Upchurch(g)、Cornell Dupree(g)、Mike Howard(g)、Willie Weeks(b)、Fred White(ds)、Earl DeRouen(per)といったメンバーを従えて、Donnyがライブを満喫しているカンジがイイよね。何より、Donnyとバックと聴衆が一体化したライブならではの臨場感がひしひしと伝わってくる点が最大の魅力っす。
全曲紹介しときやす。
「What's Going On」
お馴染みMarvin Gayeの名曲のカヴァー。エレピの音色の気持ち良さと、もしかしたらMarvin以上にこの曲にハマっているかもしれないDonnyのソウルフルなボーカルがたまりません。イントロの時に、観衆の女性が“What's Going On”って叫ぶのライブらしくてイイっす。
「The Ghetto」
デビュー・アルバム『Everything Is Everything』に収録されているDonnyの初ヒット曲。でも、このライブ・バージョンの方がスタジオ録音より断然好きデス。12分以上に及び白熱した演奏は、ある意味このアルバムのハイライトなのでは?
ドラムがEarth,Wind & FireのFred White(Maurice Whiteの弟)のせいか、何となくEW&Fっぽいノリがあるのがいいですな!また、パーカッションのEarl DeRouenがソロも含めて大活躍っす。
「Hey Girl」
Earl DeRouenの作品。ハイテンションでノリノリではないけど、思わず体が揺れてしまうこの落ち着きのあるグルーヴ感が何ともスキっす。
「You've Got a Friend」
Carole Kingの不朽の名曲のカヴァー。あっさり、さらっと歌い上げたオリジナルのCarole KingやJames Taylorのバージョンあたりと比較すると、こってり、まろやかでコクのある仕上がりっす。特に、会場全体の大合唱がとっても感動的デス。ここまでがLAのTroubadourでのライブ。
「Little Ghetto Boy」
これもEarl DeRouenの作品。これも先に述べた落ち着きのあるグルーヴ感が魅力の曲。ここからがNYのthe Bitter Endでのライブ。ギターがPhil UpchurchからCornell Dupreeへ交代していマス。
「We're Still Friends」
スタジオ録音にあるDonny独特のヘビーなカンジが一番反映されている曲。
「Jealous Guy」
John Lennonの名曲のカヴァー。オリジナル『Imagine』(1971年)収録。John Lennonファンとしては、オリジナルの方がはるかにスキだけど、このバージョンも悪くはないデス。
「Voices Inside (Everything Is Everything) 」
最後は13分を超える熱演のこの曲で幕を閉じる。Cornell Dupreeのギターも含めて全体的にブルージーな仕上がりっす。
まさに“理想のライブ・ミュージック”ですな!
先に、スタジオ録音盤は聴く頻度が少ないって書いたけど、名曲「Where Is The Love」収録のRoberta Flackとのデュエットアルバム『Roberta Flack & Donny Hathaway』はよく聴きマス。
確かにダニーのアルバムは重いのですが、一方で私には芸術的な香りが漂う感じが好きで、結構聴いてます。逆にロバートとのデュエットアルバムはあまり好きになれず、売ってしまいました。
人それぞれですね(笑)。
(このライブはもちろん大好きです!!!)
ありがとうございます。
きっと僕にとって、Donny HathawayはJohn ColtraneやJanis Joplinあたりと似た存在なのかもしれません。
聴くのであれば、オーディオの前に正座して聴きたいってカンジですかね。
それが今日のようなPCやiPodで音楽を聴くことが多くなったライフスタイルの中で聴く頻度を少なくしているのかもしれませんね。
たまにはオーディオでキチンと『Extension of a Man』あたりを聴いてみますね☆
やらせかと最初思いました。
僕の中では本作とCurtis Mayfield『Curtis/Live!』、The Isley Brothers『The Isleys Live』と並び三大ライブ・アルバムという位置づけの作品です。