発表年:1990年
ez的ジャンル:Talkin' Loud系UKソウル
気分は... :今週はシンドイ(泣)
やはり今週はシンドイ1週間になりそう(泣)
今日は90年代前半アシッド・ジャズ期のUKソウルを聴いていた方にはお馴染みの男性シンガーOmar(Omar Lye-Fook)のデビュー・アルバム『There's Nothing Like This』(1990年)です。
Omar(Omar Lye-Fook)は1968年ロンドン生まれのジャマイカ系イギリス人。ドラマーであった父親Byron Lye-Fookの影響で幼い頃から音楽に親しんでいたようです。
1990年に今日紹介するデビュー・アルバム『There's Nothing Like This』(1990年)を父親ByronのレーベルKongo Danceからリリースします。これに注目したGilles PetersonとNorman Jayが自らのレーベルTalkin' Loudから同じ1990年に再リリースします。
この再リリースを機にアシッド・ジャズ・ファンやUKソウル・ファンから注目される存在となりました。
その後『Music』(1992年)、『For Pleasure』(1994年)、『This Is Not a Love Song』(1997年) 、『Best By Far』(2001年)、『Sing (If You Want It)』(2006年)といったアルバムをリリースしています。
本作『There's Nothing Like This』はTalkin' Loudからのリリースということでアシッド・ジャズ作品との分類もあるみたいですが、基本的にはUKソウルの作品です。
僕が持っているのは上記のTalkin' Loud盤ではなく、オリジナルのKongo Dance盤です。
Kongo Dance盤のジャケはこんな感じです。
こっちの方がミステリアス&アンダーグランドな雰囲気でいいですよね!
僕が持っているOmar作品は『There's Nothing Like This』、『Music』、『For Pleasure』、『This Is Not a Love Song』の4枚です。『For Pleasure』までしか持っていないと思っていたら、CD棚の奥から『This Is Not a Love Song』が見つかりました。探せばあるものですね(笑)
Kongo Dance盤で持っていることから察しがつくように、個人的には当時かなり期待していた記憶があります。殆ど一人で創りあげたそのサウンドは今聴いても実に刺激的です。よく言われるようにデモ・テープのようなチープな音作りですが、その作りすぎていない感じが逆に独特の味わいを生み出している気がします。
僕の期待も虚しく大きな成功を収めることができなかったOmarですが、本作『There's Nothing Like This』は強烈な印象を残してくれました。
今日ではブラジリアン・フレイヴァーなサウンドが指摘される本作ですが、当時はあまりそういった感覚はありませんでしたね。むしろ、ジャマイカン・フレイヴァーな感覚で聴いていた記憶があります。
低予算でも素晴らしい音楽をクリエイトできることを証明してきれたUKソウルの名盤だと思います。
全曲紹介しときやす。
※Kongo Dance盤の曲順です。Talkin' Loud盤は曲順が異なります。
「Meaning Of Life」
当時僕が一番好きだったのがこのオープニングです。チープなサウンドのスカスカ感が逆にいい雰囲気を醸し出しています。ジャマイカンなトロピカル・フレイヴァーもグッド!
「Don't Mean A Thing」
本作の持つ独特のグルーヴ感にグッときます。購入した当時はこの1、2曲目を繰り返してよく聴いていました。
「Positive」
ジャジー・キーボードとScratch Professorによるスクラッチも入ったHip-Hopテイストのトラックが印象的です。
「Fine」
多重録音でOmarが全てのヴォーカルをこなしたア・カペラ。ジャマイカ系UKブラックによるソウルって雰囲気ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bMY7quoFsUQ
「Stop Messing Around」
このあたりは90年代初めらしくNJSしています。UKテイストのGuyといった雰囲気なのでは?
「Serious Style」
このミッド・グルーヴに関しては、もう少しいいサウンド・プロダクションで聴きたい気分がします。
「There's Nothing Like This」
人気のタイトル曲はブラジリアン・フレイヴァーとUKソウルが上手く融合したメロウ・チューン。当時も良い曲だと思いましたが、今聴くとさらにグッときますね。
http://www.youtube.com/watch?v=mFnclBOlr6o
「I'm In Love」
ジャマイカン・モードのまったりメロウ・チューン。何処となくボッサな雰囲気も感じるのは僕だけでしょうか。
「You And Me」
1syソロ『UK Blak』をリリースしたばかりで、乗りにノッていたCaron Wheelerが参加しています。同じジャマイカ系イギリス人同士で意気投合したのかもしれませんね。サウンドの方もCaron Wheelerとの共演らしいクールなUKソウルに仕上がっています。
「I Don't Mind The Waiting」
UKクラブ・ミュージック経由のUKソウルって雰囲気が大好きです。
僕は『This Is Not a Love Song』(1997年)までしか持っていませんが、『Best By Far』(2001年)や『Sing (If You Want It)』(2006年)ではAngie Stoneとも共演しています。
『Best By Far』(2001年)
Omar Feat.Angie Stone「Be Thankful」
http://www.youtube.com/watch?v=euCCX4osKgs
『Sing (If You Want It)』(2006年)
Omar Feat.Angie Stone「Stylin'」
http://www.youtube.com/watch?v=EKpMP-LoRLI
ありがとうございます。
基本的にはOmar自身のキーボード、ベース、ドラムでベース・トラックを作り、若干のゲスト・ヴォーカル&ミュージシャンが加わったかたちでアルバムは制作されています。当時はマルチ・プレイヤーという点も彼に期待を抱いた大きな要因でしたね。
作り込まれていく2nd以降よりも、シンプルながらも彼本来の音楽性がよく反映されている1stが一番好きです。