発表年:2010年
ez的ジャンル:北欧系ブルーアイド・ソウル/SSW
気分は... :"北欧のStevie Wonder"はもう卒業?
今日は日本でも大人気の"北欧のStevie Wonder"ことTuomoの3rdアルバム『My Own Private Sunday』です。
フィンランド、ヘルシンキ生まれのシンガー/キーボード奏者Tuomoの紹介はデビュー・アルバム『My Thing』(2007年)に続き2回目となります。
デビュー・アルバム『My Thing』(2007年)に収録された名曲「Don't Take It Too Hard」でブレイクし、"北欧のStevie Wonder"として注目を浴びるようになり、2009年にリリースした2nd『Reaches Out For You』でもその勢いを示してくれたTuomo(本名:Tuomo Prattala)。2007年、2009年に来日公演を行い、日本でも絶大な人気誇る北欧アーティストの一人になりましたね。
『Reaches Out For You』のリリースから1年も経たないうちに、3rdとなる本作『My Own Private Sunday』をリリースしたあたりに、彼の絶好調ぶりが窺えます。
ライナーノーツによると、本作『My Own Private Sunday』に関してTuomo本人は、「殆どの曲がゆっくりとした時間の中で、ギター片手にのんびり座っているうちにできた」と語っているようです。
そんな制作過程を反映してか、本作はサウンド以上に歌詞に重点が置かれているような印象を受けます。サウンド面でもロックやSSW色の強い楽曲もあり、従来のクラブジャズ/ソウルのイメージ以上に幅広い音楽性を示してくれています。全体としては"踊らせる曲"よりも"聴かせる曲"の比重が高い構成です。
"北欧のStevie Wonder"という呼称はそろそろ止めて、よりトータルなサウンド・クリエイター&シンガー・ソングライターという見方をすべきなのかもしれませんね。
ワンランク・ステージアップした成熟したTuomoを堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Back To Day One」
オープニングは人生を振り返る歌詞とスケール感の大きなアレンジが印象的なバラード。一人でしみじみと聴きたいですね。Tuomoの成熟ぶりを感じます。
http://www.youtube.com/watch?v=0gDIdqrYrJc
「Help Me Thru These Difficult Times」
Tuomo流ゴスペル・ソング。目を閉じて聴くと、ジワジワと胸の奥へと染み渡ってくる感じがグッときます。オルガンの音色とソウルフルなTuomoのヴォーカルの絡みが絶妙です。
「Where It Counts」
ライナーノーツにTuomo自身が「ソウルなのかカントリー・ロックなのか分からない」と語ったと説明されていましたが、そんなにカントリー臭くはないと思います。60年代後半〜70年代初めのロックがお好きな人は気に入りそうな曲調ですが。
「The Torturee's Mantra」
ロック色が強い仕上がり。Tuomo自身のロック・スピリッツを発散している演奏なのでは?
「Hold Me (Till The Morning)」
Judee Sill「The Kiss」からインスパイアされた感動的なバラード。Judee Sill(1944-1979年)はSSW好きの方にはお馴染みの悲運のアメリカ人女性SSW。彼女はAsylumより生涯2枚のアルバムをリリースしていますが、「The Kiss」は2nd『Heart Food』に収録された名曲の誉れ高い楽曲です。Tuomoもこの名曲に魅了されたのでしょうね。本曲の美しいメロディと切ない歌声を聴きながら、コカインの過剰摂取で他界したJudee Sillの生涯に思いを馳せると胸が締め付けられますね。
「Prepare To Die」
Tuomoのメロディー・メイカーとしてのセンスに溢れたピアノ・ポップ。アレンジも抜群で実に完成度の高い1曲に仕上がっています。
「Future History」
軽快なTuomoソングを聴きたい方には鉄板な1曲。ハンドクラッピングも入ったモータウン調の仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=TbCByq8RmWo
「Mutually Assured」
ファンキーなミッド・グルーヴ。リラックスしたグルーヴ感がいいですね。メロディアスな曲もいいですが、こういうグルーヴィーな曲こそがTuomoらしいですよね。
http://www.youtube.com/watch?v=oRB6q-vMuSI
「The Perfect Day」
美しいフォーキー・チューン。さりげない雰囲気が僕好みです。聴いていると、静かなる闘志が湧いてきます。
「The Circus」
個人的には本作のキラー・チューンだと思っています。名曲「Don't Take It Too Hard」好きの人は気に入ると思いまます。昔Style Council好きだった人なんかもグッとくる曲かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=8wzdN2ubHwU
「Make Me」
ピアノの弾き語りによる感動的なバラード。子守唄として聴くと、ぐっすり安眠できそうな感じです。
「My Own Private Sunday」
タイトル曲はワルツ調の素敵なエレピ&ピアノ・チューン。ジャジーな雰囲気とSSW的な味わいが相俟って素晴らしい出来栄えです。
未聴の方は過去2作もチェックを!
『My Thing』(2007年)
「Don't Take It Too Hard」
http://www.youtube.com/watch?v=Db07ELQJuDE
『Reaches Out For You』(2009年)
「Sweet With Me」
http://www.youtube.com/watch?v=kc-J2lSqTjA