2010年05月03日

Love『Forever Changes』

Arthur Lee率いるLoveの代表作!☆Love『Forever Changes』
Forever Changes
発表年:1968年
ez的ジャンル:元祖黒人ロッカー系サイケデリック・ロック
気分は... :お楽しみが散りばめられた1枚!

今日は60年代ロック・ファンにはお馴染みLoveの代表作『Forever Changes』(1968年)です。

Loveは元祖黒人ロッカーArthur Leeが率いたロック・バンド。1965年にArthur LeeByrdsのローディーであったBryan Macleanを中心にL.A.でグループが結成されました。Arthur Leeはイギリスに渡りブレイクする前のJimi Hendrixとも交友があったようです。

新興レーベルElectraと契約したLoveは1966年にデビュー・アルバム『Love』をリリースします。シングルとなった「My Little Red Book」はBurt Bacharach作品でしたでしたが、そのBacharach作品とは思えないガレージ・ロックな仕上がりでした。

「My Little Red Book」
http://www.youtube.com/watch?v=BsSM-DDjuhQ

1967年にリリースした2nd『Da Capo』でサイケデリック・ロックへアプローチしたグループは、最高傑作との評価を受ける3rdアルバム『Forever Changes』で音楽的なピークを迎えます。しかしながら、商業的には成功とは程遠い状況でした(『Forever Changes』の全米アルバム・チャート最高154位)。

4thアルバム『Four Sail』以降はオリジナル・メンバーはArthur Lee一人となり、彼のワンマン色が強くなります。そして7thアルバム『Reel to Real』を最後にグループは解散します。その後も音楽活動を続けていたArthur Leeですが、1996年に銃火器所持で逮捕され5年間の服役生活を送ることになります。出所後の2002年にはLoveを再結成し、ツアー活動を行っていましたが、白血病のため2006年に亡くなりました。享年61歳でした。

『Forever Changes』(1967年)は60年代のロックガイド本には必ず登場するアルバムですね。

しかしながら、僕が本作に惹かれるのは"サイケデリック・ロック"名盤という昔ながらの評価に対する関心ではなく、本作の持つ雑多な音楽性や80年代ネオ・アコ/ギター・ポップ・グループに与えた影響に対する関心からです。

雑多な音楽性という点では「Alone Again Or」「Maybe the People Would Be the Times or Between Clark and Hilldale」で聴かれる、Herb Alpert & The Tijuana Brassのアメリアッチ・サウンド(アメリカン・ポップス+マリアッチ)の影響が興味深いですね。

また、80年代ネオ・アコ/ギター・ポップ・グループとの関連では、Pale FountainsAztec Cameraへ影響を与えたアルバムという点が興味深いです。

メンバーがドラッグ中毒でレコーディングが進まず、「Andmoreagain」「The Daily Planet」の2曲に関しては、Hal Blaine(ds)、Carol Kaye(b)、Billy Strange(g)、Don Randi(p)というスタジオ・ミュージシャンを呼んでレコーディングしています。

これから聴かれる方は、"サイケデリック・ロック"名盤という先入観がない方が、純粋に楽しめるかもしれません。お楽しみがいろいろな所に散りばめられた作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Alone Again Or」
シングル曲にもなったオープニング。Bryan MacLean作。UFO、The Damned、Sarah Brightman、CalexicoMatthew Sweet & Susanna Hoffs等多くのアーティストがカヴァーしている人気曲でもあります。スパニッシュ・テイストのアコースティック・ギターおよびトランペットが印象的な哀愁チューンです。前述のようにアメリアッチ・サウンドの影響を感じる仕上がりです。その意味でCalexicoのカヴァーはばっちりハマりますね。
http://www.youtube.com/watch?v=7yVBMUXr4xo

Calexico「Alone Again Or」
 http://www.youtube.com/watch?v=DJkGEQEgMZc

「A House Is Not a Motel」
Pale FountainsファンはMichael Headのお気に入り曲・ライブ・レパートリーとしてお馴染みですね。哀愁モードの疾走感がグッときます。中盤のドラム・ブレイクとサイケなギター・ソロがなかなかグッときます。Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=FN2RK7HvIaA

「Andmoreagain」
Arthur Lee/Bryan MacLean作。前述のようにHal Blaine、Carol Kaye等がバックを務めています。美しさと虚しさが同居する感じがいいですね。ストリングスもそんな雰囲気を盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=h82sL4cTXSU

「The Daily Planet」
「Andmoreagain」同様、Hal Blaine、Carol Kaye等がバックを務めています。アレンジはNeil Young。The Who『Tommy』と一緒に聴きたくなる演奏です。Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=Tyhb9B07QOU

「Old Man」
Bryan MacLean作。リード・ヴォーカルもMacLeanです。ストリングスを含む美しいアレンジながらもトリップ感に満ちています。
http://www.youtube.com/watch?v=vINoPRPHXKY

「The Red Telephone」
サイケなフォーキー・チューン。好きな人にはたまらないストレンジな雰囲気にグッときます。Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=5Ioxj73deq0

「Maybe the People Would Be the Times or Between Clark and Hilldale」
僕の一番のお気に入り曲。Aztec Cameraファンは必聴の1曲ですね。聴いていて思わずニンマリするはずです。「Alone Again Or」同様、アメリアッチ・サウンドを意識した演奏が印象的です。Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=N1PhMSTj0uw

「Live and Let Live」
この曲は"フラワー・チルドレン"ムードを満喫できます。サイケなギター・ソロも含めてその方面が好きな方にはグッとくるはず!Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=4uZtAArvvlk

「The Good Humor Man He Sees Everything Like This」
美しすぎるメロディ&アレンジにグッときます。終盤の針飛びのような効果は狙いすぎの感もありますが・・・。Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=qvIDHz8yOE0

「Bummer in the Summer」
Bob Dylanのようなヴォーカルが印象的なカントリー・ロック・チューン。Arthur Lee作。
http://www.youtube.com/watch?v=npvhbKlvYr4

「You Set the Scene」
Arthur Lee作。軽快なフォーキー・チューンの前半から中盤以降のドラマチックな展開へとなだれ込むスケール感の大きな仕上がりです。この1曲があるだけで大作アルバムという印象を与えてくれるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=K71uYiCriHE

興味がある方は他のLove作品もチェックしてみて下さい。

『Love』(1966年)
Love : Mono/Stereo Expanded Edition

『Da Capo』(1967年)
Da Capo

『Four Sail』(1969年)
Four Sail
posted by ez at 00:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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