発表年:2004年
ez的ジャンル:クラブ系ブラジル音楽/ボサノヴァ
気分は... :絶妙のサジ加減!
晴天が続くと、ブラジル音楽やラテン音楽が聴きたくなりますね。特に昨日の暑さは夏モードの作品が聴きたい気分でしたね。
その気分を反映してセレクトした作品は、ブラジル人女性シンガーClara Morenoの3rdアルバム『Morena Bossa Nova』(2004年)です。
人気ブラジル人女性シンガー・ソングライターJoyceの娘であるClara Morenoの紹介は、最新作『Miss Balanco』(2009年)に続き2回目となります。
本作『Morena Bossa Nova』は、2nd『Mutante』(1998年)から約6年ぶりにリリースされた3rdアルバムであり、ブラジル音楽/ボサノヴァを打ち込みサウンドも取り入れた新感覚クラブ・サウンドで聴かせてくれます。打ち込みサウンドと言ってもやり過ぎず、生楽器と上手く馴染んでいるのが本作の魅力だと思います。
プロデューサーも務めるRudolfo Stroeter(b)や母親Joyce(vo、g)をはじめ、Tutty Moreno(ds)、Celso Fonseca(g)、Marcos Suzano(per)、Webster Santos(g)、Robertinho Silva(per)、Teco Cardoso(fl、sax)、Nailor "Proveta"(as)ら名だたるブラジル人ミュージシャンがバックを務めます。さらにノルウェー人キーボード奏者Bugge Wesseltoftも参加しています。
Ronaldo Bastos/Celso Fonsecaの名曲「Slow Motion Bossa Nova」、母Joyceの名曲「Aldeia de Ogum」というお楽しみカヴァー2曲がハイライトだと思いますが、それ以外にもクラブ・テイストのスタイリッシュなブラジル音楽を満喫できます。
打ち込みサウンドはあくまでClaraのヴォーカルや素晴らしい生演奏を引き立てるツールであり、ブラジル音楽ファンも十分楽しめる内容だと思います。一方で矛盾するようですが、クラブ・テイストなのでブラジル音楽ファン以外の方も楽しめますよ。
まぁ、聴いてみればわかります!
全曲紹介しときやす。
「Eletromble (Lao) 」
オープニングはWebster Santosのギター、Marcos Suzanoのパーカッションと打ち込みサウンドが交錯するクラブ仕様のダンサブルなエレクトロ・サンバ。本作における新感覚MPBサウンドを象徴する仕上がり。Rudolfo Stroeter作。
「Morena Bossa Nova」
タイトル曲は母Joyceの作品。Joyceもバック・ヴォーカルで参加しています。エレクトロ・サウンドを取り入れた新感覚ボッサ・チューンに仕上がっています。個人的にはThe Bird And The Beeあたりと一緒に聴きたくなります。
「Samba E Tudo」
Ronaldo Bastos/Celso Fonseca作。オリジナルは彼らの人気コラボ作『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)に収録されています。ここでは軽快かつ華やかなバカンス・モードのサンバ・チューンに仕上がっています。さり気ない打ち込みサウンドが新感覚気分を盛り上げてくれます。
「Ela (Rap Da Clara) 」
Gilberto Gil/Rodolfo Stroeter作。アフロ・ブラジリアンな土着的リズムとエレクトロ・サウンドが上手く融合しています。
「Mercado Da Mae Preta」
Rudolfo Stroeter作。清々しい爽快感に満ちた仕上がり。打ち込みナシの演奏は正統派ブラジル音楽ファンも楽しめるはず!Teco Cardosoのフルートが実に涼しげです。
「Outras Praias」
Celso Fonseca作。Webster Santos(g)、Rudolfo Stroeter(b)、Tutty Moreno(ds)、Teco Cardoso(bs)、Nailor "Proveta"(as)らバック陣の好サポートが光ります。
「Slow Motion Bossa Nova」
本作のハイライトであると同時に僕の一番のお気に入り。日本でも人気の高いRonaldo Bastos/Celso Fonseca作品のカヴァー。オリジナルは前述の「Samba E Tudo」と同じく『Juventude/Slow Motion Bossa Nova』(2001年)に収録されています。当ブログではCelso Fonseca『Natural』(2003年)収録のヴァージョンを紹介済みです。作者のCelso Fonseca本人も登場する本ヴァージョンではクラブ・テイストのスタイリッシュな「Slow Motion Bossa Nova」を聴くことができます。オリジナルとは異なる魅力を楽しむことができますよ!
Celso Fonsecaは次作『Meu Samba Torto』(2006年)ではプロデューサーを務めることになります。
「Feiticeira」
Rudolfo Stroeter作。Teco Cardosoのアルト・サックスに先導されて、Claraがセクシーなヴォーカルを聴かせてくれます。
「Kabrum」
Rudolfo Stroeter作。クールな仕上がりが魅力です。作者Rudolfo Stroeterのベース・プレイにもグッときます。
「Solidao」
Alcides Ferreira/Antonio Carlos Jobim作。新世代MPBらしいアレンジにグッときます。
「Aldeia de Ogum」
「Slow Motion Bossa Nova」と並ぶ本作のハイライト。母Joyceの人気アコースティック・グルーヴのカヴァーです。Joyceのオリジナルは当ブログでも紹介した『Feminina』(1980年)に収録されています。打ち込みサウンドも取り入れたフロア仕様の仕上がりですが、母親同様に魅惑のスキャットを聴かせてくれます。母娘の聴き比べも楽しいですよ。
「Dans Mon Ile」
ボサノヴァの誕生に貢献したHenri Salvador の名曲をカヴァー。母も参加したJoyce(g)Webster Santos(g)、Rudolfo Stroeter(b)、Tutty Moreno(ds)、Teco Cardoso(fl)というバック陣の演奏が素晴らしいです。
「Heavy Telecoteco」
ラストはJoyce作品。母娘のヴォーカルの掛け合いがサイコーです。バック陣の好サポートも加わった軽快かつ小粋な仕上がりにグッとくるはず!
これを機会に他のClara Moreno作品もチェックしてみて下さい。
『Clara Moreno』(1996年)
『Mutante』(1998年)
『Meu Samba Torto』(2006年)
『Miss Balanco』(2009年)