2006年03月18日

Soul II Soul『Club Classics Vol.1』

世界中をグランド・ビートに染めたUKクラブ・ミュージックの傑作☆Soul II Soul『Club Classics Vol.1』
Vol. 1 - Club Classics 10th Anniversary
発表年:1989年
ez的ジャンル:グランド・ビートの元祖
気分は... :ひんやり、ゆったり、ズシリ!

昨日紹介したLatrice『Illuminate』を聴いていたら、何故かグランド・ビートが聴きたくなった。US発の最新ウエストコースト・ハウスと15年以上前のUK発のクラブミュージックが、僕の頭の中でどのように結び付いたのか自分でも不明っす。心地良いクール&エレガント&スタイリッシュなグルーヴってあたりが共通しているのかな?

僕の記憶の中では、80年代後半から90年代前半にかけて、とにかくオシャレな音楽と言えばUKクラブ・ミュージックだった。このブログで紹介したアルバムで言えば、Mica Paris『Contribution』Alison Limerick『And Still I Rise』Beats International『Let Them Eat Bingo』なんかがそうっす。

そんな当時のUKクラブ・ミュージックを席巻した一大ムーブメントがグラウンド・ビートっす。グラウンド・ビート(Ground Beat)は、ゆったり&ズシリと重い打ち込みビートが特徴のクラブ・ミュージックのことっす。

そんなグランド・ビート・ブームのきっかけとなったアルバムがSoul II Soul『Club Classics Vol.1』っす。

Soul II Soulは、リーダーのJazzie Bが、Massive Attackの前身Wild BunchのメンバーだったNellee Hooperとの出会いを機に結成したグループである。実態は、Jazzie Bによるプロジェクトと呼んだ方がいいかもしれないけど。

一応、Jazzie BとNellee Hooperがグラウンド・ビートの生みの親として説明されることが多いと思うけど、実際はNellee Hooperと日本が誇るグルーヴ・マスターGOTAこと屋敷豪太がクリエイトしたものだと理解している。僕がかなりのGOTA好きであったことは、Simply Red『Stars』の時に紹介したと思いマス。

実際、Nellee Hooper(Massive Attack、Bjork、Madonna等をプロデュース)やGOTA(Bomb The Bass、Simply Red)のその後の活躍と、彼らが抜けたSoul II Soulのパワーダウンを考えれば、このSoul II Soulの心臓部は、この二人であったことが容易に想像できると思いマス。

ただ、このアルバムを支配する音数の少ないひんやり、ゆったり、ズシリと重いグルーヴは、レゲエ/ダブの影響が顕著である。このあたりは、Jazzie BがサウンドシステムDJだったことや、Jazzie Bや本アルバムのメイン・ボーカリストであるCaron Wheelerがジャマイカ系イギリス人であることが関係している気もしマス。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Keep on Movin'」
グラウンド・ビートの代名詞のような大ヒット曲。ズシリと重い硬質なグルーヴ、エレガントなピアノとストリングス、艶やかなCaron Wheelerのボーカルがうむだす、クールネスと言うよりヒンヤリという表現の方がピッタリのサウンドには、かなり衝撃を受けまシタ。当時、USのR&BシーンはJam & Lewisが絶好調であり、New Jack Swing(NJS)が台頭していた時期だけど、それらと比較して明らかに異質な曲だったもんね。この後、この曲をプロトタイプとして、多くのグラウンド・ビート作品が生まれまシタ。

「Back to Life」
「Keep on Movin'」と並ぶ彼らの大ヒット曲。ただ残念なことに、僕が持っているオリジナル盤にはA Cappellaバージョンしか収録されていません。正直、これはシングル・バージョンやその他のRemixバージョンを聴くことをオススメしマス。この曲もボーカルはCaron Wheelerっす。

Hip-Hopファンには、DJ ClueがMary J. BligeとJadakissをフューチャーし、この曲をリメイクした「Back To Life 2001」も見逃せないですよね。その後、「Back To Life 2003」も出ましたが。

「Fairplay」
「Keep on Movin'」、「Back to Life」のようなエレガントさは欠けるけど、UKらしいソウル+レゲエ/ダブなナンバー。この曲はRose Windrossのボーカルがフューチャーされていマス。

「Feeling Free」
Jazzie Bのラップが聴けるナンバー。Massive Attackのメンバーがバック・ボーカルを努めていマス。パーカッシブなトラックがイイカンジっす。

「Feel Free」
Doreen Waddellのボーカルをフューチャーした、レゲエ/ダブの影響が顕著なナンバー。「Keep on Movin'」同様にストリングスがイイカンジっす。ちなみに、ボーカルのDoreen Waddellは、その後万引きで逃亡中に、交通事故で死亡したそうです。

「Happiness」
この曲もDoreen Waddellのボーカルをフューチャーしたナンバー。「Keep on Movin'」の次にアルバムでお気に入りのナンバー。プログラミングでGOTAがクレジットされているので、多分このカッチョ良いグルーヴは、彼の貢献が大だと思いマス。

「Jazzie's Groove」
Jazzie Bの原点がサウンドシステムであることを認識できるナンバー。

ちなみに本作はアメリカでは『Keep On Movin'』のタイトルで発売されていマス。

彼らの他の作品では、『Volume III Just Right』(1992年)が好きですかね。それよりも、Caron Wheelerのソロアルバム『UK Blak』(1990年)、『Beach of the War Goddess』(1992年)の方が僕の愛聴盤デス。特に、『UK Blak』(*BlackではなくBlak)は本作と並ぶ傑作アルバムだと思いマス。
posted by ez at 01:30| Comment(0) | TrackBack(1) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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