2010年05月20日

Talc『Sit Down Think』

クラブサウンドを通過したSteely Dan?☆Talc『Sit Down Think』
SIT DOWN THINK (紙ジャケット仕様)
発表年:2006年
ez的ジャンル:クラブ世代Steely Danフォロワー
気分は... :確信犯!

今日はロンドンのクラブサウンド好きにはお馴染み、ロンドン出身のユニットTalcのデビュー・アルバム『Sit Down Think』(2006年)です。

今まで何度も紹介しようと思いながら機会を逸していた1枚でしたが、ようやく取り上げることができました。

TalcDr.FunことJames KnightsThe GiftことNichol Thomsonの二人組です。グループ名は"Talking and Laughing Company"の略だそうです。

マルチ・ミュージシャンである二人は、これまで裏方としてジャズ・ファンク系を中心にこれまで様々なセッションに参加してきましたが、自らの音楽を追求するためにTalcを結成したようです。これまで今日紹介するデビュー・アルバム『Sit Down Think』(2006年)と2nd『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)という2枚のアルバムをリリースしています。

当ブログで紹介した他アーティスト作品で言えば、The Baker Brothers『Avid Sounds』にTalcの二人がゲスト参加しています。また、Nichol ThomsonはUKファンク・オールズターズThe Sound Stylisticsの一員でもあり、『Greasin' The Wheels』にトロンボーンで参加しています。

本作『Sit Down Think』ですが、"クラブサウンドを通過した懐かしく、新しいAOR"という説明が多いですよね。個人的にはクラブサウンドを通過したSteely Danフォロワーという説明の方がしっくりきます。Steely Danを聴いた人であれば、本作を聴いて95%以上の人がSteely Danを思い浮かべると思います。

その意味では、以前に紹介したSmooth Reunionに通じるものがあります。ただし、Smooth ReunionほどピュアなSteely Danフォロワーではなく、より確信犯的なものを感じます。さらにSteely Dan的な曲展開やコーラスにヴォコーダーを織り交ぜるセンスも曲者という気がします。

全てのソングライティング、アレンジ、歌・演奏を二人のみで完結させています。個人的にはどこか懐かしいメロディと巧みなヴォーカル・パートに魅力を感じます。ただし、最終的には懐古趣味に終わらない今日的サウンドになっていると思います。

曲者二人が生み出す確信犯サウンドを聴いていると、思わずニヤリとしますよ。

全曲紹介しときやす。

「The 1970's」
レトロな仕上がりを期待させるタイトルですね。曲調とヴォコーダー使いは確かにレトロ・モードですが、そこにTalcらしいスパイスが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=2AbYy1oqvbo

「Father Tomato」
Steely Danな曲展開やコーラスにグッときます。

「Bobby Fame」
70年代ロック系AOR風のイントロとサビの♪Bobby Fame〜♪Bobby Fame〜♪のキャッチーさが印象的です。

「Modern Sleep Over」
デビュー・シングル。本作のハイライトですね。Herbie Hancock風のヴォコーダー使いが印象的なアーバン・メロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=KfvoR6aqcws

「All At Sea」
僕の一番のお気に入り。どこか懐かしさを覚えるメロディが心憎いメロウ・チューン。夕暮れの海辺で聴くとピッタリな雰囲気ですね。

「Please Please Please Me」
曲自体は地味ですが、素晴らしいアレンジとコーラスが光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=NTlze2y6k80

「Niteklub」
シニカル・ムードが漂うポップ・チューン。

「Garden Of Dance」
シングルにもなったディスコ・モードのダンス・チューン。モロにディスコ・サウンドではなく、スッキリとした仕上がりがTalcらしいのでは?

「Cheese Dreams」
アルバム全体を通じて巧みなヴォーカル・パートを堪能できますが、本作はその典型ですね。

「Kings Of The Road」
70年代ロック・テイストの仕上がり。ギター・サウンドが強調されています。

「Memory」
「All At Sea」と並ぶお気に入り。黄昏モードのメロウ・チューンです。

「Dad's Tired」
ラストはアーバン・モードのセンチメンタルなバラードです。さらに本編終了後に隠しトラックが収録されているので聴き逃しなく!

2nd『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)もセットでどうぞ!

『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)
Licensed Premises Lifestyle
「Robot's Return」
 http://www.youtube.com/watch?v=g3-OZERGvlY

未聴の方はSmooth Reunion『Cleaning Up the Business』(2008年)も、ぜひチェックしてみて下さい。

Smooth Reunion『Cleaning Up the Business』(2008年)
クリーニング・アップ・ザ・ビジネス
posted by ez at 02:28| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 こんばんは。talcは1枚目も良かったんですが、2枚目方が個人的には好きですね.
AKB48ならぬ(笑)wah wah 45というクラブ系レーベルが発売元なのでなかなか世に知られづらいとこですが、もっと人気が出てもおかしくない気がします。
 Smooth Reunionはまったく知らなかったんですがスゴクいいです! とあるブログに 「ワタシには無縁の優雅な大人のひととき」と書いてあるのを見て笑ってしましたがまさにそんな1枚ですね。
"Steely Dan"の言葉に弱いのはオヤジリスナー"と書いてらっしゃたので(笑)、そんな管理人さんにおすすめな1枚がGeorg Levinの「everything must change」というアルバムです。今年の3月末に出た作品ですがモダンAORの傑作です。かなりオオススメです。(ゆるくハウシーですが)

Posted by 千葉ジャズマッシブ at 2010年05月21日 00:08
☆千葉ジャズマッシブさん

ありがとうございます。

Talcは万人受けするタイプではないと思いますが、音楽好きの心を擽るアーティストですね。

Georg LevinはYouTubeで数曲聴いてみましたがいいですね!
確かにハウス作品と一緒に聴きたくなります。
Posted by ez at 2010年05月21日 12:14
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