2010年05月21日

Lenine『O Dia Em Que Faremos Contato』

新世代のブラジル音楽を印象付けた出世作☆Lenine『O Dia Em Que Faremos Contato』
O Dia Em Que Faremos Contato
発表年:1997年
ez的ジャンル:新世代ブラジリアン・ロック
気分は... :未知の世界のサウンドは・・・

今回は現在のブラジル音楽シーンを代表する才能の一人Lenineの出世作『O Dia Em Que Faremos Contato』です。

Lenineは1959年、ペルナンブーコ州レシーフェ生まれ。1983年のLula Queirogaとの共作アルバム『Baque Solto』がデビュー作のようです。

その後1993年のMarcos Suzanoとの共演作『Olho de Peixe(邦題:魚眼)』で注目を浴びるようになり、その成功を受けてリリースされたメジャー作品が本作『O Dia Em Que Faremos Contato(邦題:未知との遭遇の日)』(1997年)です。

その後はブラジル音楽シーンの中で確固たる地位を獲得し、自身の作品のみならずプロデューサーとしても活躍しています。

今日紹介する『O Dia Em Que Faremos Contato』は、SFイメージのジャケも含めてインパクトのある作品でしたね。当時はブラジル音楽の新譜は殆どノーチェック状態でしたが、何故か本作だけはしっかり購入していました。それだけ話題の作品であり、ブラジル音楽ファン以外にも訴求する魅力を持っていたと思います。

SFイメージのジャケは、昔のSFシリーズのアートワークがモチーフになっているようです。確かにノスタルジックな雰囲気のSFイメージですよね。

ジャケだけ観ると、テクノやエレクトロなサウンドを想像してしまいますが、実際にはノルデスチらしい土着的リズムが目立つ新世代ブラジリアン・ロックに仕上がっています。新しい感性と伝統的スタイルが融合したリズミックな演奏が本作の魅力だと思います。

プロデュースはChico Neves。レコーディングにはMarcos Suzano、Liminha、 Barone、Fernando Vidal、Carlos Malta、Barrao、Othon Bastos、Zabumba、Toninho Ferraguti、Pedro Sa等が参加しています。

ブラジル音楽に対する僕の固定観念を覆し、ブラジル音楽の新たな可能性を感じさせてくれた刺激的な1枚です。

全曲紹介しときやす。

「A Ponte」
邦題「橋」。オープニングはモデム音と共にスタート。タイトルには異なる文化の橋渡しといった思いが込められているようです。ノイズ音と土着的なリズムが融合した本作らしい仕上がり。フランスのグループFabulous Trobadorsとブラジルの2人組Caju E Castanhaの曲をサンプリング(後者はかなり昔の音源らしいですが)。Lenine/Lula Queiroga作。

「Hoje Eu Quero Sair So」
邦題「今日は一人で出かけたい」。美しいメロディが印象的ですね。LenineのバンジョーとMarcos Suzanoのパーカッションに幻想的なギターが重なります。Lenine/Mu Chebabi/Caxa Aragao作。
http://www.youtube.com/watch?v=m63wWTdfF_w

「Candeeiro Encantado」
邦題「魔法のランプ」。切れ味鋭いリズミックな疾走感が刺激的ですね。リズムの洪水となる後半の展開にはHip-Hop的要素も感じてしまいます。Lenine/Paulo Cesar Pinheiro作。

「Etnia Caduca」
邦題「混ざりゆく人種」。土着的な雰囲気が漂うリズミックな仕上がり。パーカッシヴなギターが格好良いですね。Lenine作。

「Distante Demais」
邦題「計り知れない距離」。センチメンタルなワルツ・チューン。オープニングから刺激的な楽曲が続いたので、ようやく一息つける感じです。Lenine/Dudu Falcao。

「O Dia Em Que Faremos Contato」
邦題「未知との遭遇の日」。サンバ・グルーヴと共にリオのカーニヴァルに登場したSFワールドが歌われます。ノスタルジックなSFワールドが描かれたジャケのイメージとリンクしています。Lenine/Braulio Tavares作。
http://www.youtube.com/watch?v=6imYV1dyk30

「A Balada Do Cachorro Louco」
邦題「マッド・ドッグのバラード(傷は深く) 」。野性味溢れる仕上がりです。Lenine/Lula Queiroga/Chico Neves作。

「Aboio Avoado」
邦題「イカれた牛追い歌」。Ze Rochaというコンポーザーの作品。1分にも満たない曲ですが、Lenineがアカペラで歌っています。

「Dois Olhos Negros」
邦題「黒い双眼」。マッドな土着的グルーヴ感が印象的です。Lula Queiroga作。
http://www.youtube.com/watch?v=-x7gepNce3s

「O Marco Marciano」
邦題「火星の陸標」。ヴィオレイロという伝統的なスタイルによる歌&演奏のようですが、変てこな(?)コーラスもあって独特の雰囲気があります。Lenine/Braulio Tavares作。

「Que Baque E Esse?」
邦題「なんてバッキだ」。意味不明の邦題ですね(笑)。サックスも加わり、重量感のある演奏を堪能できます。Lenine作。

「Pernambuco Para O Mundo」
邦題「ペルナンブーコより世界へ」。Lenineの故郷ペルナンブーコ州レシーフェに関連するアーティストの楽曲「Voltei Recife」(Luiz Bandeira作)、「Frevo Ciranda」(Capiba作) 、「Sol E Chuva」(Alceu Valenca作)、「Rios, Pontes E Overdrives」(Chico Science/Fred Zero Quatro作)のメドレーです。

「Bundalele」
邦題「ブンダレレー」。Lenine/Braulio Tavares作。1993年のカーニヴァルのために作ったサンバだそうです。

「Mote Do Navio」
邦題「我らが船のモットー」。Pedro Osmar作。軽快な仕上がりです。

他のLenine作品もどうぞ!

Lenine & Marcos Suzano『Olho de Peixe』(1993年)
魚眼

『Na Pressao』(1999年)
Na Pressao

『Falange Canibal』(2002年)
FALANGE CANIBAL

『In Cite』(2004年)
In Cite

『Labiata』(2008年)
Labiata
posted by ez at 11:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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