発表年:1997年
ez的ジャンル:"90年代版AOR"系UKデュオ
気分は... :楽園からの葉書が届く・・・
今回はUK音楽好きにはお馴染みLighthouse Familyの大ヒット2ndアルバム『Postcards from Heaven』(1997年)です。
Lighthouse Familyは1993年にイギリス、ニューカッスルで結成されたユニット。
メンバーはヴォーカル担当のナイジェリア人Tunde Baiyenuとキーボード&ソングライティング担当のPaul Tuckerの二人です。
『Ocean Drive』(1995年)、『Postcards from Heaven』(1997年)、『Whatever Gets You Through the Day』(2001年)という3枚のアルバムをリリースし、いずれもUKアルバム・チャートTop10入りしています。特に『Ocean Drive』、『Postcards from Heaven』の2枚はTop3に入るヒットとなりました。また、これら3枚から5曲のUKチャートTop10入りシングルが生まれています。
日本での知名度はイマイチですが、本国イギリスでは相当な人気を誇ったユニットです。サウンド的には、クラブ・ミュージックとアーバン・サウンドが融合した"90年代版AOR"とでも呼びたくなる内容です。
僕の場合、80年代後半にAORが手詰まり状態になってから、それに代わるアーバンでスタイリッシュな大人の音楽としてUKクラブ・ミュージックやアシッド・ジャズを聴いてた側面があります。Lighthouse Familyもそんな流れで聴くとピッタリなアーティストかもしれませんね。
今日紹介する2nd『Postcards from Heaven』(1997年)は、彼らのアルバムの中でも最も成功した1枚であり、「Raincloud」(UKチャート最高第6位)、「High」(UKチャート最高第4位)、「Lost in Space」(UKチャート最高第6位)といったヒット・シングルが収録されています。
アルバムのプロデュースは、1st『Ocean Drive』に続きMike Pedenが起用されています。
Mike Peden(Michael Peden)の名を聞いてピンと来る方は、UK音楽通の方かもしれませんね。Mike Pedenは、パワフルな黒人女性ヴォーカリストPauline Henryも在籍していたユニットThe Chimesのメンバーであった人物であり、プロデューサーとして数多くの著名アルバムの制作に関与しています。
例えば、Yo Yo Honey『Voodoo Soul』(1992年)、Shara Nelson『What Silence Knows』(1993年)、『Friendly Fire』(1995年)、Des'ree『Supernatural』(1998年)は彼のプロデュース作品です。当ブログで紹介した作品で言えば、Paul Haig『Coincidence vs. Fate』にも関与しています。また、UKアーティストのみならずDaryl Hall『Soul Alone』(1993年)等も手掛けています。
スタイリッシュな側面を強く打ち出したデビュー・アルバム『Ocean Drive』と比較すると、より丁寧に音楽的な深みを追求している作品のように思います。
時代に付かず離れずといったサウンド作りが、2010年の今聴いても十分楽しめます。
全曲を紹介しときやす。
「Raincloud」
めくるめくオーケストレーションと共にアルバムはスタートします。アルバムからの1stシングルとして、前述のようにUKチャート最高第6位のヒットとなりました。Baiyenuのハートフルなヴォーカルとエレガントなアーバン・サウンドが実にマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=hU_g-vI6C2s
「Once in a Blue Moon」
ライナーノーツでも解説の中田利樹氏も指摘していますが、曲調がLenny Kravitz「It Ain't Over Till It's Over」にソックリです。まぁ、ご愛嬌と言うことで・・・
http://www.youtube.com/watch?v=9KN9OuDm83E
Lenny Kravitz「It Aint Over Til Its Over」
http://www.youtube.com/watch?v=vAhKf_Ro4ZU
「Question of Faith」
彼らの曲作りの上手さを感じる1曲。アコースティックなグルーヴ感もいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=C_YSmSVcv7c
「Let It All Change」
個人的にはアルバムで一番のお気に入り。80年代後半から90年代初めのUK音楽シーンを席巻したグラウンドビート好きの人であれば、相当グッとくるアーバン・グルーヴです。このあたりのサウンド・メイクはいかにもMike Pedenらしいのですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Pv_qEjttRLw
「Sun in the Night」
尺八風のサウンドと共に始まるバラード。UKならではの叙情的なメロディが独特の味わいを醸し出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=c4fj90oDZ-U
「High」
UKチャート最高第4位のヒットとなった2ndシングル。曲の盛り上げ方が憎らしいほど上手ですね。このあたりもMike Pedenの手腕なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Qj62HiLk-Ag
「Lost in Space」
UKチャート最高第6位のヒットとなった3rdシングル。ヒット・シングルの中ではコレが一番好きです。アルバムで最も美しいメロディを持つ楽曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=7N4JaIvGsc4
「When I Was Younger」
彼らが表層的なスタイリッシュ・サウンドばかりを追い求めるグループではないことを実感できる感動的な1曲。
「Restless」
個人的には「Let It All Change」と並ぶお気に入り。まさにクラブ・ミュージックとアーバン・サウンドが融合した仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=adslkOeA9YU
「Postcard from Heaven」
物静かで落ち着いたタイトル曲でアルバムは幕を閉じています。この曲なんか顕著ですが、彼らの書く楽曲のテイストってSimply RedのMick Hucknallに通ずるものがある気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=GeNG7ns-LIo
デビュー・アルバム『Ocean Drive』(1995年)も本作と同様に素晴らしい作品です。スタイリッシュなサウンドを重視する方ならば、『Ocean Drive』の方が好みかも?
『Ocean Drive』(1995年)
「Lifted」
http://www.youtube.com/watch?v=osAoJ7mhF5Q
「Ocean Drive」
http://www.youtube.com/watch?v=8tG-W0Rh9cA
「The Way You Are」
http://www.youtube.com/watch?v=6HDTlnbStBQ
本作を聴いていたら、当時大好きだったデンマークのポップ・ユニットGangwayが無性に聴きたくなり、彼らの作品群をCD棚から引っ張り出し、iTunesに取り込んでいる最中です。今では忘れ去られたグループですが、Gangwayは相当良いですよ。個人的には将来必ず再評価されるグループと信じています。