2010年06月06日

Stefania Rava『The Sweetest Sound』

期待のイタリア人女性ジャズ・シンガー☆Stefania Rava『The Sweetest Sound』
The Sweetest Sound
発表年:2010年
ez的ジャンル:イタリアン女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :選曲センスが抜群!

今回は期待のイタリア人女性ジャズ・シンガーStefania Ravaの新作『The Sweetest Sound』です。

Stefania Ravaはイタリア、パルマ出身。アメリカで修業を積み、イタリアへ帰国後は大御所ピアニストRenato Sellaniの作品への参加や有力ジャズ・フェスティバルへの参加などで注目されるようになります。

そして、イタリア・ジャズ界の仕掛人の一人Paolo Scotti(Deja Vu Records主宰)がプロデューサーとして手腕を振るう注目レーベルNorma Bluとの契約に成功します。そして、昨年デビュー・アルバム『Send In The Crowns』がリリースし、確かな実力を持つヴォーカルとクール&モーダルなサウンドでクラブジャズ・ファンを歓喜させてくれました。

本作『The Sweetest Sound』は『Send In The Crowns』に続く2ndアルバムとなります。勿論プロデュースはPaolo Scottiです。

Andrea Pozza(p)、Aldo Zunino(b)、Shane Forbes(ds)というAndrea Pozza Trioがバックを務め、さらにゲストとしてイタリアの新進アルトサックス奏者Mattia Cigaliniが参加しています。Andrea Pozzaはidea6にも参加していましたね。

中身の方ですが、まずは選曲センスが抜群ですね。

Madeline BellMilton NascimentoJoe SampleCrusaders、Dexter Wansel、Joanne Grauer & Lorraine Feather、Sly & the Family、Judy Roberts、Stevie Wonder、といった名前を眺めるだけでワクワクするアーティストの人気曲を取り上げています。

オリジナルの雰囲気も引き継いでいる曲もあれば、ガラっと雰囲気を変えた新たな魅力で聴かせてくれる楽曲もあり、オリジナルと聴き比べるのも楽しい1枚です。

イタリアらしい小粋に洗練されたヴォーカル&演奏もたまりません。特にStefania Ravaのヴォーカルの存在感が素晴らしく、有名曲やバックの演奏に埋もれていないのがいいですね。

強力にプッシュしたいクラブジャズ作品です。

全曲紹介しときやす。

「That's What Friends Are For」
本作のキラー・チューンはこのオープニングでしょう!当ブログでも紹介したMadeline Bellによるフリーソウル・クラシックのカヴァーです(オリジナルはアルバム『This Is One Girl』収録)。イタリアらしい小粋なジャズ感覚に溢れたブラジリアン・グルーヴに仕上がっています。

Madeline Bell「That's What Friends Are For」
 http://www.youtube.com/watch?v=zlItxxAVKDA

「Burning Up The Carnival」
Joe Sampleによる人気ブラジリアン・フュージョンのカヴァー(オリジナルは『Voices in the Rain』収録)。ブラジリアン・テイストながらもフュージョンっぽくならず、スウィンギーにジャズしているのが印象的です。

Joe Sample「Burnin' Up The Carnival」
 http://www.youtube.com/watch?v=M1oMI0NoDZk

「Empty Faces」
Milton Nascimentoの名曲カヴァー(原題 「Vera Cruz」)。Miltonのオリジナルは『Courage』(1968年)に収録されています。当ブログではElis ReginaSergio Mendes & Brasil '66のカヴァーも紹介済みです。神秘的なMiltonワールドをStefaniaが見事に歌い切っています。小粋に疾走するバックの演奏もグッド!Mattia Cigaliniのサックス・ソロも盛り上げてくれます。

「Snowflake」
Joe Sample作品カヴァーの2曲目(オリジナルはCrusaders『Images』収録)。個人的にはオリジナル以上に好きですね。一気に突っ走るスピード感がたまりません。ここでのStefaniaはバックの演奏と一体化した素晴らしいスキャットを披露してくれます。

Crusaders「Snowflake」
 http://www.youtube.com/watch?v=ZD4wyo2FQ0w

「The Sweetest Pain」
Terri WellsのヴォーカルをフィーチャーしたDexter Wanselの人気フィリー・メロウのカヴァー(オリジナルは『Time is Slipping Away』収録)。オリジナルは"スウィート"よりも"メロウ"という表現が似合いましたが、落ち着いた雰囲気の本カヴァーは"スウィート"という表現がピッタリです。オリジナルとは異なる魅力を持った絶品カヴァーだと思います。

Dexter Wansel「The Sweetest Pain」
 http://www.youtube.com/watch?v=PctLKcvYLGk

「Can't Sleep」
人気ジャズ・サンバ「See You Later」も入っているJoanne Grauer『Introducing Lorraine Feather』(1977年)収録曲のカヴァー。ヒップな仕上がりにかなりグッときます。演奏自体はアルバムで一番好きかもしれません。

「Family Affair」
Sly & the Familyの名曲カヴァー。ジャズ・カヴァーの「Family Affair」もなかなか乙なもんですよ!Pozzaのピアノが冴えています。

「Never Was Love」
Judy Robertsヴァージョンでお馴染みの人気曲をカヴァー(Russ Long作)。Judy Robertsヴァージョンは『Judy Roberts Band』に収録されています。Judy Robertsヴァージョンがお好きな人ならば気に入るはず!むしろ、聴きやすさという点では本ヴァージョンの方が馴染みやすいのでは?

「The Sweetest Sound」
タイトル曲はビター・スウィートな雰囲気がグッドな大人のワルツ・チューンです。Mattia Cigaliniのフルートも印象的です。Ben Bernie /Kenneth Casey /Maceo Pinkard作。

「Ordinary Pain」
ラストは名盤『Songs In The Key Of Life』収録のStevie Wonder作品をカヴァー。楽曲の新たな魅力を示してくれるエレガントな仕上がりにグッときます。

1st『Send In The Crowns』(2009年)もぜひチェックを!

『Send In The Crowns』(2009年)
Send In The Crowns
posted by ez at 04:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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