発表年:2000年
ez的ジャンル:西ロンドン系クロスオーヴァー/フューチャー・ジャズ
気分は... :未来への疾走・・・
今回は西ロンドンのフューチャー・ジャズ・シーンで活躍するModajiのデビュー・アルバム『Modaji』(2000年)です。
ModajiことDominic Jacobsonはバッキンガムシャー出身。兄の影響を受けて、少年時代にソウル、ジャズ・ファンク/フュージョンを聴いていたようです。ちなみにアーティスト名はDave Grusinの楽曲「Modaji」に由来するものです。
当ブログで既に紹介した西ロンドン・シーン黎明期に活躍したNeon Phusionのメンバーと交流を持つようになったことがきっかけで、西ロンドン系アーティストが多数所属していたレーベルLaws Of Motionと関わりを持ち、1997年に同レーベルより12"シングル「Starburst Over Orion」をリリースします。
その後何枚かのシングルをリリースした後、満を持して制作されたのがデビュー・アルバム『Modaji』(2000年)です。同作品はNeon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』(1999年)に続く、Laws Of Motionレーベルのアルバム・リリース第2弾でした。
『Modaji』以外にModaji名義では『Pre-Sets』 (日本のみ2000年リリース、UKでは2002年リリース)、『Excursions』 (2003年)、『Speaker Quake』 (2007年)といったアルバムをリリースしています。またHarvey Lindoのプロジェクト名義で『Kid Gloves: A Modaji Long Player』 (2005年)といったアルバムをリリースしています。
先日、たまたま家でCDを整理していたら、数年ぶり(?)に本作を見かけたので、"どんな作品だったっけ?"と思いながら久々に聴いてたら、かなり良かったのでエントリーすることにしました。
Neon Phusion『The Future Ain't the Same as It Used 2 B』や本作『Modaji』はリアルタイムで購入していましたが、当時はこれらのアーティストが"西ロンドン系"や"ブロークン・ビーツ系"に属しているなんて認識は全くありませんでした。従って、Neon PhusionとModajiの接点も全く知りませんでした。ライナーノーツを今読み返すと、そのあたりのことがきちんと書かれていますが、当時は殆ど読んでいなかったので(泣)なので、『Modaji』もハウス・アルバムに近いイメージを持っていたかも?
僕が久々に聴いて気に入った理由は、フロア仕様楽曲ばかりではなく、アーバン・ナイトなソウル・チューンやリラックスできるダウンテンポの楽曲なども含まれるアルバム全体の心地好さですかね。その意味ではトータルなクオリティを感じる内容に仕上がっています。
Neon Phusion2000Black、DKD、さらにはソロ活動も知られる西ロンドンを代表するプロデューサー/キーボード奏者Kaidi TathamやReel Peopleのマルチ奏者Mike Pattoも参加しています。
意外にソウルを感じる1枚かもしれません。
全曲紹介しときやす。
「One And The Same」
オススメその1。いきなり"モダージ!アリガト!"という日本語が飛び出すオープニング。Marcus Beggのヴォーカルをフィーチャーした西ロンドンらしいクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=geP4eJ5_uH4
「Fuel For The Fire」
オススメその2。Jagの男声ヴォーカルをフィーチャー。クールな疾走感がたまらないクロスオーヴァーです。Danny Huckridgeのベースもグッときますね。
「Shook Up」
オススメその3。Cindy Brown、Iomi Brownのヴォーカルをフィーチャー。オーガニックな味わいにグッとくるダウンテンポのソウル・チューンに仕上がっています。
「Into Something」
オススメその4。Melissa Browneのヴォーカルをフィーチャー。トライバルなテイストのハウス・チューンですが、実に心地好く聴くことができます。
「No Disguise」
オススメその5。Jagのヴォーカルをフィーチャーしたジャジーな絶品ソウル・チューン。クールな質感の中にヒューマンな温もりを感じられるのがサイコー!
http://www.youtube.com/watch?v=gH_6VAQr9LU
「See The Changes」
オススメその6。Melissa Browneの女声ヴォーカルをフィーチャー。クールなメロディアスなアップ・チューン。アーバン・ナイトな疾走感にグッときます。
「Outside From The Inside」
オススメその7。Kaidi TathamとDominicのコラボ色が強いコズミック&ソウルフルなジャズ・ファンク・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=H5fBsE1E5Q0
「Sanctuary」
オススメその8。Mike Pattoが楽曲提供&キーボード&ベースで参加しています。アコースティックな味わいも加えたスタイリッシュなフューチャー・ジャズに仕上がっています。
「Rush」
オススメその9。Melissa Browneの女声ヴォーカルをフィーチャーしたソウルフルなミッド・グルーヴ。UKらしいアーバン・サウンドにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=fK9fLC-h7hg
「Shocka's Joint」
ひたすら心地好い音世界が続くフューチャー・ジャズ。Sid Gauldの幻想的なトランペットが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=gLW1IuIgMQU
「Shooklude」
ラストはKaidi Tathamのミステリアスなキーボードが響き渡ります。
殆どがオススメ曲になっていましたね(笑)
それだけ充実作ということで!
国内盤には「No Disguise(Instrumental)」、「One And The Same(Ensign Mix)」、「One And The Same(Remixed By Jazztronik Meets Everton Nelson)」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
気になる方は他の関連作品もぜひチェックを!
『Pre-Sets』(2000年)
『Excursions』(2003年)
『Speaker Quake』(2007年)
Harvey Lindo『Kid Gloves: A Modaji Long Player』(2005年)
リリースされたこの年って4hero、Domu等西ロンドンクリエーターのアルバムがどどっとリリースされた年でした。僕が彼らの作品に惹かれるのはブロークンビーツ云々というよりソウル、ジャズ、フュージョンなどの過去の遺産とテクノやヒップホップなどの現在のサウンドが彼らの中ある同列感覚にシンパシーを感じるからかもしれません。クロスオーバーってやつでしょうか。だからジャイルスや沖野氏といった雑種感覚が強いジャズDJが真っ先にブロークンビーツに食いついたのも納得いきます。
ひさびさにこれを聴きながら今晩寝よう思います。おやすみなさい。
P・S もっていたらごめんなさいですが、これいいですよ!
http://www.traxsource.com/index.php?act=show&fc=tpage&cr=titles&cv=14109
ありがとうございます。
この頃の当該ジャンルの作品は手元に持っていても、殆どその背景を意識せずに聴いていました。当時から雑多な音楽の聴き方をしており、ジャンルの呼称にもかなり無頓着だったかもしれません。また、4Heroも『Two Pages』止まりで以降の作品のチェックを怠り、近年『Creating Patterns』以降の作品の魅力を知った次第です。
"過去と最新サウンドの同列感覚が魅力!"というご指摘は実に的確ですね。全く同感です。
『Look A Little Further』聴いていました。
かなりいいですね。詳しくチェックしたいと思います。
ご推奨ありがとうございました。