発表年:1968年
ez的ジャンル:元祖アイドル系フレンチ・ポップ
気分は... :W杯開幕!
いよいよW杯が開幕しましたね。
オープニング・ゲーム「南アフリカ対メキシコ」は、開幕ならではの前半の重苦しさ、地元南アの先制ゴール後の歓喜、そしてメキシコの同点ゴール後のため息とW杯独特の空気が満喫できる試合でしたね。
もうすぐ始まる「フランス対ウルグアイ」戦も楽しみです。
そんな流れで今日はフレンチ・ポップをセレクト!
"元祖アイドル"とも呼べるブルガリア出身のフレンチ・ポップス歌手Sylvie Vartanが1968年にリリースした作品『La Maritza(邦題:パリの妖精)』です。代表曲「Irresistiblement(邦題:あなたのとりこ)」が収録されたアルバムです。
Sylvie Vartanは1944年ブルガリアのソフィア近郊イスクレッツ生まれ。ソフィアのフランス大使館で働いていたブルガリア人の父の影響で幼少期からフランス文化に親しんでおり、8歳の時に家族と共にパリに移住してきました。
彼女の7歳年上の実兄であり、音楽プロデューサー/ジャズ・トランペット奏者であったEddie Vartanが担当するレコーディングで女性シンガーが急遽降板したため、思わぬかたちでSylvieにレコード・デビューの機会が訪れます。こうして1961年にFrankie Jordanとデュエットによるデビュー・シングル「La Panne D'essence」をリリースします。
そして、1964年に彼女自身が出演した映画『アイドルを探せ(原題:Cherchez L'idole)』の主題歌「La Plus Belle Pour Aller Danser(邦題:アイドルを探せ)」が世界的な大ヒットとなり、一躍アイドルとして人気を集めるようになりました。同時にイエイエ・ブームの中でファッション面でも大きな影響力を持ちました、
「La Plus Belle Pour Aller Danser」
http://www.youtube.com/watch?v=8Tj6kYfAmt8
その後60年代〜70年代にかけて数多くのヒット曲を放ち、現在も現役アーティストとして勢力的に活動しているようです。
彼女の人気ぶりは知らない世代の僕ですが、それでも「Sylvie Vartan=レナウンのワンサカ娘」というイメージは子供の頃にありました。勿論、僕が観ていたレナウンCMは後年のヴァージョンですが、でもそのオリジナルはSylvie Vartan本人が出演し、歌っていたことは知らぬ間に認識していました。
「レナウンCM/ワンサカ娘(Sylvie Vartanヴァージョン)」
http://www.youtube.com/watch?v=ru85M861aD0
今日紹介する『La Maritza(邦題:パリの妖精)』(1968年)は彼女のキャリアの中でも大きなターニング・ポイントとなった1枚のようです。1968年4月に交通事故を起こし(同乗のビジネス・パートナーは死亡)、再起不能説も流れる中でリリースされたのが本作です。
単に復帰作というのみならず、アイドルから大人のシンガーへと成長した彼女の成熟ぶりを堪能できる作品です。楽曲もオリジナル重視の構成になっており、よりアーティストとしてのアイデンティティを打ち出した作品に仕上がっている気がします。
何と言っても代表曲「Irresistiblement(邦題:あなたのとりこ)」収録が魅力ですね。まぁ、難しいことは考えずに、この代表曲を中心に楽しむという聴き方でいいのでは?
僕の場合、彼女の作品中ジャケが最もキュート!というのが最もお気に入りの理由なのですが(笑)
全曲紹介しときやす。
「La Maritza」
邦題「想い出のマリッツァ」。Jean Renard/Pierre Delanoe作。祖国ブルガリアへの想いを綴った彼女の代表曲の1つだそうです。哀愁モードの郷愁ソングは僕の中のSylvie Vartanのイメージとはかけ離れているので、あまりピンと来ませんが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=f6eBKO684RA
「Un P'tit Peu Beaucoup」
邦題「もうちょっとだけ」。小粋なフレンチ・ポップといった仕上がりです。Carlosとの息の合った掛け合いが楽しげです。C. Caulier/J. Walter/A. Entremont作。
「J'ai Cache Le Soleil」
邦題「太陽をかくした」。美しいメロディと少し物悲しいSylvieの歌声が実にグッとくるポップ・チューン。アレンジも含めてエヴァーグリーンな魅力があってサイコーです!Ralph Bernet/Jacques Revaux作。
「Jolie Poupee」
邦題「きれいな人形」。交通事故後の復帰TV番組のタイトルも本タイトルでした。エレガントなアレンジの王道ポップといった雰囲気が好きです。Jean Renard/Georges Aber作。
http://www.youtube.com/watch?v=_IhSxkX1cmU
「Irresistiblement」
邦題「あなたのとりこ」。本作のハイライト。リアルタイムで知らない人も映画(『ウォーターボーイズ』)、ドラマ(『可愛いだけじゃダメかしら』)、CM(サントリー、キリンビール、全日空)、TV番組挿入歌(『めざましテレビ』)等で聴いているはずだと思います。今聴いてもフレッシュな印象を受ける、聴く者をとりこにするエヴァーグリーンな名曲ですね。Jean Renard/Georges Aber作。
http://www.youtube.com/watch?v=kjobTsB_Sq0
「On A Toutes Besoin D'un Homme」
邦題「男は必要なもの」。ミュージカル風のアレンジが印象的です。TVショーで歌うとピッタリな感じですね。Roger Dumas/Jean Jacques Debout作。
http://www.youtube.com/watch?v=ekxoamxowAk
「Face Au Soleil」
邦題「太陽に向かって」。60年代ポップらしいキャッチーな仕上がりがいいですね。Tommy Brown/Mick Jones/Frank Gerald作。作者一人Mick Jonesは後にForeignerを結成する、あのMick Jonesです。
「Deux Bateaux」
邦題「二隻の船」。感動的な盛り上がりが印象的です。A. Donat/Jacques Demarny/G. Favereau作。
「Il Sait Revenir」
邦題「彼は帰ってくる」。Ann Kopelman/Eddie Vartan作。兄Eddieらしいジャジーな味わいが印象的です。
「Le Silence」
邦題「沈黙」。哀愁モードのシャンソン。Ann Kopelman/A.Franck作。
「Une Feuille D'or」
邦題「金の葉」。昔の歌謡曲っぽい哀愁感がグッときます(笑)。Yves Dessca/Philippe Monnet作。
オリジナル・アルバムは以上の11曲ですが、CDにはボーナス・トラック3曲が追加収録されています。この3曲がなかなかグッときます。
「Ballade Pour Un Sourire」
ボートラその1。邦題「愛のフーガ」。1969年のシングル曲。なかなかドラマチックな哀愁ポップに仕上がっています。Jean Jacques Debout/Roger Dumas作。
http://www.youtube.com/watch?v=7iSUhHuK4BY
「Les Hommes (Qui N'ont Plus Rien A Perdre) 」
ボートラその2。邦題「悲しみの兵士」。1969年のヒット・シングルであり、彼女の代表曲の1つ。タイトルの通り反戦歌であり、この時代らしい曲なのでは? Jean Renard/Frank Gerald作。
http://www.youtube.com/watch?v=jwGiH5UVtNc
「Abracadabra」
ボートラその3。邦題「アブラカダブラ」。タイトルの通り、妖しげなオリエンタル・ムードが漂うミステリアスなポップ・チューン。結構彼女のキャラとマッチしていると思います。Dossena-Lucarelli-Righini作。
http://www.youtube.com/watch?v=0tUfXSMSEDA
さて、前評判の低いフランス代表の実力は如何に!
妻がファンで(1964年以来)
彼女のコンサート4回お供させられました。
ありがとうございます。
僕の場合、アーティスト単位ではなく作品単位で聴くという聴き方ですね。
アーティスト単位で聴く・聴かないという感覚があまりないかもしれません。
特に僕のような雑多な聴き方でアーティストにこだわると、いくらお金があっても足りませんから(笑)