発表年:1974年
ez的ジャンル:レゲエ/カリブ系ブルース
気分は... :何となく良い流れなのでは?
サッカーW杯グループEはデンマークがカメルーンを2対1で逆転し、決勝トーナメント進出の残り1席を日本とデンマークの直接対決で決することになりました。他の試合結果に左右されず、日本は引き分け以上でOKというわかりやすい構図がいいですね。こうなるとオランダ戦を1点差負けは意味のある敗戦だったかもしれませんね。
日本が決勝トーナメントに進出した場合、対戦するF組も波乱の展開ですね。
F組はイタリアが余裕の1位通過だと思っていたのですが、現状ではパラグアイが1位、イタリアが2位の公算が大きいと思います。そうなると、E組2位は決勝トーナメント初戦でパラグアイとの対戦となります。これは日本にとって良い流れのように思うのですが・・・。逆に決勝トーナメント初戦で「オランダ対イタリア」という好カードが実現するかもしれませんね。
さて、今回は多様なルーツ・ミュージックを探求する黒人ミュージシャンTaj Mahalの2回目の登場です。
『The Natch'l Blues』(1968年)に続いて紹介するのは、1974年リリースの『Mo' Roots』です。
ブルース・リヴァイバリストとして作品をリリースしてきたTaj Mahalが、ジャマイカ/カリブ音楽へアプローチした最初の作品が本作『Mo' Roots』です。彼の父親がカリブ海からの移民で彼自身もジャマイカン・コミュニティの中で育ったことから、自身のルーツ探求としてジャマイカ/カリブ音楽へと向かったのでしょうね。
この路線の作品として、『Music Keeps Me Together』(1975年)、『Music Fuh Ya'』(1977年)、『Evolution』(1978年)等ありますが、それらと比較して『Mo' Roots』は語られることが少ないですよね。他作品と比べてレゲエ色が強いからでしょうか?
アルバムを特徴づけるのは、「Johnny Too Bad」、「Slave Driver」、「Desperate Lover」という3曲のロック・ステディ/レゲエのカヴァーです。特にThe Wailersのカヴァー「Slave Driver」は、作者のBob Marley自身とBarrett兄弟のAston "Familyman" Barrettがリミックスを担当している本家Wailersのお墨付きカヴァーです。
レコーディングにはHoshal Wright(g)、Billy Rich(b)、Kwasi "Rocki" Dzidzornu(conga、tb、per)、Kester "Smitty" Smith(ds、per、timbales)、Rudy Costa(ss、fl)、Merle Saunders(org)、Aston "familyman" Barrett(p)、Carole Frederick(back vo)、Tommy Henderson(back vo)、Claudia Lennear(back vo)、Merry Clayton(back vo)といったミュージシャンが参加しています。Aston "Familyman" Barrettがベースではなくピアノで参加しているのが面白いですね。
3曲のロック・ステディ/レゲエのカヴァー以外は全てTaj Mahalのオリジナルです。
地味な扱いの作品ですが、僕の大プッシュ曲「Why Did You Have To Desert Me?」 をはじめ、聴き所の多いアルバムだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Johnny Too Bad」
ジャマイカのロック・ステディ/レゲエ・グループThe Slickersの名曲カヴァー。オリジナルはレゲエ・ファンにはお馴染みの映画『The Harder They Come』のサントラにも収録されていました。本ヴァージョンはTajらしいブルース・フィーリングにカリビアン・テイストも加わったレゲエ・カヴァーに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=oEdcoaCukH4
The Slickers「Johnny Too Bad」
http://www.youtube.com/watch?v=lRm7j2UL3YY
「Blackjack Davey」
ブルージーなレゲエ・チューン。コンガのパーカッシヴなリズムが軽やかな仕上がりとなってグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=8QOAl2GNbas
「Big Mama」
Tajらしいアーシーなソウル・チューン。ソウルフルな女声コーラス隊が雰囲気を盛り上げてくれます。本作らしくありませんが大好きです!Aston "Familyman" Barrettが殆どレゲエ色の無い本曲のリミックスを務めているのが面白いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=rnBKWdYjWYk
「Cajun Waltz」
タイトルからすると、アコーディオンやフィドルの音色が聴こえてきそうな予感がしますが、そんなことはありません(笑)Tajらしいソウルフルで味わい深いブルース・チューンに仕上がっています。本曲もAston "Familyman" Barrettがリミックスを担当しています。
http://www.youtube.com/watch?v=V3j7eSdJXdw
「Slave Driver」
前述のThe Wailersのカヴァー。何と言っても、Bob MarleyとAston "Familyman" Barrettという本家Wailersによるリミックスに注目です。I-Threesを思わせるソウルフルな女声コーラス隊も加わり、まるで(Bunny Wailer、Peter Tosh脱退後の)後期Bob Marley & The Wailersのような雰囲気ですね。その意味では(オリジナルWailersによる)名盤『Catch a Fire』収録のWailersヴァージョンと聴き比べるのも楽しいと思います。
The Wailers「Slave driver」
http://www.youtube.com/watch?v=JlTFBHHF3IQ
「Why Did You Have To Desert Me?」
個人的には本作のハイライト。僕が本作を好きな最大の理由は本曲が収録されているからです。フリーソウル好きの人ならば歓喜するファンキー&メロウ・グルーヴ。スペイン語パートもあり、実に格好良い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=Ipp8gdQElVE
「Desperate Lover」
Bob Andy作のロック・ステディ名曲をカヴァー。Bob Andyは1960年代を代表するジャマイカのロック・ステディ・グループParagonsのオリジナル・メンバーの一人です。本ヴァージョンは「Slave Driver」同様にBob Marley & The Wailersの雰囲気が漂うレゲエ・チューンに仕上がっています。
Bob Andy「Desperate Lover」
http://www.youtube.com/watch?v=xrATMwqib1o
「Clara (St. Kitts Woman) 」
ラストは激シブのヴォーカルで締め括ってくれます。カリビアン・テイストとまでは言えませんが、本作の中で一番カリブを感じる曲かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=A4wcBzRE44Y
次作『Music Keeps Me Together』以降ますます汎カリブ的なアプローチを強めていきます。
『Music Keeps Me Together』(1975年)
『Music Fuh Ya'』(1977年)
『Evolution』(1978年)