発表年:1979年
ez的ジャンル:後期フィリー・サウンド
気分は... :イングランド散る・・・
サッカーW杯は決勝トーナメント1回戦の目玉「イングランド対ドイツ」戦が行われ、1対4でドイツが快勝しました。前半のランパード"幻のゴール"は本当に気の毒でしたね。
ただし、イングランドは疑惑の判定云々よりもグループリーグを1位通過できなかったことが、ベスト16止まりに終わった最大の原因だと思います。また、若手の台頭が目立つドイツと比較して、4年前と大して顔ぶれが変わらないメンバー構成もどうだったのかな?という気がします。
逆にドイツはチームが一戦ごとに成長している印象を受けます。その意味ではグループリーグのセルビア戦の敗戦が良い薬となっているのでは?
できれば準々決勝は「ドイツ対アルゼンチン」を観たいですね。
今回は後期フィリー・サウンドを支えたキーマンの一人Dexter Wanselの4thソロ『Time Is Slipping Away』(1979年)です。
Dexter Wanselはペンシルベニア出身のキーボード奏者/プロデューサー/アレンジャー。
Gamble & HuffのPhiladelphia International Records(PIR)において、70年代後半よりプロデューサー/アレンジャー/ソングライティングとして重用され、The Jacksons、MFSB、Billy Paul、Jean Carn、Lou Rawls、Teddy Pendergrass、Patti Labelle、The Stylistics、The Jones Girls等を手掛けました。まさに70年代後半から80年代前半のPIRを牽引した功労者の一人と言えるかもしれませんね。
また70年代に後半にはDexter Wansel自身ソロ作として、『Life on Mars』(1976年)、『What the World Is Coming To』(1977年)、『Voyager』(1978年)、『Time Is Slipping Away』(1979年)という4枚のアルバムをリリースしています。
※その後、2004年に久々のソロ『Digital Groove World』をリリースしています。
今回紹介する『Time Is Slipping Away』は、上記の4枚のソロ作の中で今日最も人気の高い1枚だと思います。シングルにもなった「I'll Never Forget (My Favourite Disco) 」をはじめとするダンス・チューンと、ハイライト曲「The Sweetest Pain」や「New Beginning」といったメロウ・チューンがバランス良く配されている充実作です。
Dexter Wanselが全曲プロデュースし、殆どの曲のソングライティングも手掛けています。The Jones Girls「Nights over Egypt」、Patti Labelle「If Only You Knew」を共に書いたCynthia Biggsとの共作も3曲含まれています。
殆どがヴォーカル曲であり、Wansel自身がヴォーカルを務める曲もありますが、それ以上にThe Jones Girls、Terri Wells等のゲスト・ヴォーカル陣の華やかさが目立っています。
個人的には「The Sweetest Pain」に代表されるメロウ・サウンドにグッときます。
Wanselにそっくりのブルドッグと共に写るジャケはイマイチですが、コンテンポラリーなサウンド・センスは抜群だと思います。
後期フィリー・サウンドを支えたキーマンのサウンドをじっくり堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「I'll Never Forget (My Favourite Disco) 」
シングルにもなったオープニング。The Jones Girlsがヴォーカルを務めるダンス・チューン。めくるめくフィリー・サウンドの中にもコンテンポラリーなアレンジ・センスが光ります。
http://www.youtube.com/watch?v=FJF4SfhuZeY
「The Sweetest Pain」
本作のハイライト。Terri Wellsのヴォーカルをフィーチャーした人気のメロウ・チューン。アーバン感覚のクール&メロウ・サウンドにグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=PctLKcvYLGk
当ブログで紹介済みのLoose EndsやStefania Ravaのカヴァーも良いですよ!また、DJ Cam「Dieu Reconnaitra Les Siens」、J. Rawls feat. Venus Malone & Wordsworth「Inhale Exhale」、Cash Crew feat. 2 Neg「Turn It Out」等のサンプリング・ソースにもなっています。
Loose Ends「The Sweetest Pain」
http://www.youtube.com/watch?v=EYjRqdwbwlw
DJ Cam「Dieu Reconnaitra Les Siens」
http://www.youtube.com/watch?v=425rOjZ7ejo
J. Rawls feat. Venus Malone & Wordsworth「Inhale Exhale」
http://www.youtube.com/watch?v=8b2vVb9TOV0
Cash Crew feat. 2 Neg「Turn It Out」
http://www.youtube.com/watch?v=1QupyBnh09M
サンプリング・ソースという点では、『Life on Mars』収録の「Theme from the Planets」も定番ですね。
「Theme from the Planets」
http://www.youtube.com/watch?v=dNQ8PFD1AU8
「Funk Attack」
オリエンタル・ムードのイントロでスタートするファンク・チューン。シンセのブリブリ感とギターのセクシーな音色が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=Rtd7JJA4hBU
「Time Is Slipping Away」
タイトル曲はWansel自身がリード・ヴォーカルをとるアーバン・メロウ・チューン。悪くはありませんが、他の曲の出来が素晴らしいので少しインパクトが弱いかも?
http://www.youtube.com/watch?v=a5mtW1uv_G4
「It's Been Cool」
軽快なダンス・チューン。国内盤ライナーにも書かれているようにRod Temperton作品にありそうな雰囲気ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XBc-iFRSvLI
「Let Me Rock You」
The Jones Girlsのヴォーカルをフィーチャーしたキャッチーなディスコ・チューン。決して熱くなりすぎない感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=WVKKwExrpvQ
「New Beginning」
作者のHerb Smithがリード・ヴォーカルを務めるメロウ&スウィートなミディアム・スロウ。Herb Smithのバリトン・ヴォーカルがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=MICU99hl2ng
Space Cowboy「Crazy Talk (Nique & Pique)」、The LOX Feat. Lil Kim,DMX「Money, Power & Respect」の元ネタにもなっています。
Space Cowboy「Crazy Talk (Nique & Pique)」
http://www.youtube.com/watch?v=Q5RL5lGXh3g
「One For The Road」
ラストはフュージョン風のインスト。Wanselのシンセ・ソロとWillie Williamsのサックスが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=r6OW7VzIlcs
さぁ、これから「メキシコ対アルゼンチン」です。
アルゼンチンにとっては侮れない相手ですよね。
メッシと共にマラドーナ監督のパフォーマンスに注目です(笑)