発表年:2010年
ez的ジャンル:アルゼンチン産ボサノヴァ
気分は... :快適に過ごすためには・・・
今回はアルゼンチン産ボサノヴァの新作『Beira Mar』です。
数ヶ月前に購入していていましたが、この時期まで紹介するのを待っていた1枚です。
どうやら国内盤は未発売のようですね。
Mariana Meleroはアルゼンチン出身のシンガー/ギタリスト。
彼女の詳しいプロフィールはわかりませんが、アルゼンチン人ながらもブラジル音楽に大きく影響を受けた名ギタリストAgustin Pereyra Lucenaの弟子筋にあたる人のようですね。
これまでソロ作として『Ambar』(2000年)、Hernan Miguez、Norma IovinoとのトリオTrio Melero Miguez Iovino名義で『Beleza Pura』(2003年)、さらにHernan MiguezとRodrigo Aberasteguiがメンバー交代したTrio Melero Aberastegui Iovino名義で『Agua Doce』(2006年)といったアルバムをリリースしています。
2ndソロとなる本作『Beira Mar』も完成度の高いアルゼンチン・ボッサ作品に仕上がっています。
Caetano Veloso、Dorival Caymmi、Dori Caymmi、Chico Buarque、Luis Bonfa、Antonio Carlos Jobimといった名コンポーザーの作品を中心に、シンプルながらも素晴らしいアンサンブルとピュア・ナチュラルなヴォーカルを楽しめます。
バックにはRodrigo Aberastegui、Norma Iovino、Hernan Miguezという新旧トリオのメンバー等が参加しています。特にRodrigo Aberasteguiの好サポートぶりが目立ちます。
オーガニックなブラジル音楽/ボサノヴァを求めている人にはピッタリの1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Marambaia」
Henricao/Rubens Campos作。Elis Reginaも歌っていた曲ですね。美しいショーロ・タッチのギターとピュアなヴォーカルに心が洗われます。
「Menino Do Rio」
Caetano Veloso作品のカヴァー。オリジナルは『Cinema Transcendental』(1979年)に収録されています。本カヴァーは爽快かつロマンティックなボッサ・チューンに仕上がっているアルバムで一番のお気に入り曲。
「Rainha Do Mar」
Dorival Caymmi作の名曲をカヴァー。Rodrigo Aberasteguiのギターを中心に素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。
「En La Orilla De Este Rio」
Fernando Pessoa/Dori Caymmi作。Dorival Caymmi作品の次に息子Dori Caymmiの作品を持ってくるのが心憎いですね。Rodrigo AberasteguiのギターとエレガントなオーケストレーションをバックにMarianaのオーガニックなヴォーカルを堪能できます。
「Futuros Amantes」
Chico Buarque作の名曲をカヴァー。ここでは軽快なタッチながらも品のあるメロウ・チューンに仕上がっています。
「Hold Me Tight」
『With The Beatles』収録のBeatlesの名曲をカヴァー(Lennon/McCartney作)。エレピ、ギター、アコーディオンのみのバックでロマンティックに聴かせてくれます。Hernan Miguezのアコーディオンがいい味出しています。
「Noites Cariocas」
Jacob De Bandolim/H. B. De Carvalho作。Rodrigo Aberasteguiの素晴らしいギターにグッとくる1曲です。
「Orassamba」
Guinga/Aldir Blanc作。ブラジルとアルゼンチンの味わいが見事に融合したビターな仕上がりにグッときます。バックの楽器は全てRodrigo Aberasteguiが演奏しています。
「Correnteza」
Luis Bonfa/Antonio Carlos Jobim作。エレガントなアレンジで実に完成度の高い1曲に仕上がっています。
「Tiempo」
本作唯一のMariana Meleroのオリジナル。ピュア・ナチュラルな雰囲気がサイコーです。
「Sou Baiano Tambem」
Ze Miguel Wisnik作。「Menino Do Rio」と並ぶ僕のお気に入り曲。スタイリッシュなボッサ・チューンを求めている方は一番グッとくる1曲だと思います。
「Carinhoso」
Pixinguinha/Joao De Barro作。ギターとエレピのみのシンプルなアレンジで、しっとりとMarianaのヴォーカルを堪能できます。
「Alguien Cantando」
Caetano Veloso作。ラストはア・カペラで締め括ってくれます。
こういう素晴らしい作品はぜひ国内盤を発売して欲しいですね。
Trio Melero Miguez Iovino『Beleza Pura』(2003年)