発表年:1995年
ez的ジャンル:N.Y.アヴァンギャルド×ブラジル
気分は... :ザッケローニでいいのかなぁ?
いよいよ8月もラストですね。
もっともこの暑さ続きでは、全く夏の終わりという気がしませんが・・・
サッカー日本代表の監督がザッケローニに決まりましたね。
かつての名将であることは認めますが、日本サッカーが目指すべき方向とフィットする監督なんですかね?
何かピンと来ないなぁ・・・
さて、今回はArto Lindsayの3回目の登場です。
『Prize』(1999年)、『Noon Chill』(1997年)に続いて紹介するのは『O Corpo Sutil/The Subtle Body』です。『曖昧な存在』という邦題が付けられていましたね。
『Envy』(1984年)をAmbitious Lovers作品として捉えれば、本作『O Corpo Sutil/The Subtle Body』はArto Lindsay初のソロ・アルバムとなります。
Arto Lindsay本人がプロデュースし、アシスタント・プロデューサーとして当ブログで最新作『Samba Carioca』を紹介した名ギタリストVinicius Cantuariaの名がクレジットされています。
レコーディングには、Vinicius Cantuaria、Marc Ribot、Nana Vasconcelos、Bill Frisell等のArto Lindsayでお馴染みのメンバーや、Towa Tei(テイ・トウワ)、坂本龍一、本田ゆか(チボ・マット)といった日本人ミュージシャン、さらにはBrian Eno参も加しています。
Ambitious Lovers時代からアヴァンギャルド感覚の中にブラジル音楽のエッセンスを織り交ぜていたArto Lindsayですが、ソロ作ではさらにブラジル色を強めています。全体的には「動」よりも「静」なアルバムですが、その中にArtoらしいアヴァンギャルド感覚が見え隠れするところが本作の魅力だと思います。
夏の終わりに聴くとフィットする1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Four Skies」
Arto Lindsay/Amadeo Pace作。Brian Enoが参加しています。DNAからのArto LindsayファンはEnoとの共演に惹かれますよね。静かなるアヴァンギャルドといった仕上がりです。淡々とした演奏の中でか細く響くArtoの弱々しい歌声が印象的です。
「Child Prodigy」
Artoとは親交の深いCaetano Velosoとの共作。夏の終わりの寂しさにピッタリな雰囲気のボッサ・チューン。メロウネスの中に漂うミステリアスな雰囲気が大好き!ピアノ&シンセで坂本龍一が参加しています。
「Anima Animale」
Arto Lindsay/Towa Tei/Vinicius Cantuaria作。見た目が草食系男子っぽいArtoが肉食系の側面を見せてくれます(笑)。Towa Tei、本田ゆかも参加し、ヒネリの効いたアヴァンギャルドなブラジリアン・チューンに仕上がっています。
「Este Seu Olhar」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー。実にロマンティックな仕上がりですね。坂本龍一のピアノ、Vinicius Cantuariaのギター、Nana Vasconcelosのパーカッションが絶妙のバッキングが名曲を盛り上げてくれます。
「My Mind Is Going」
Arto Lindsay/Joey Baron/Bill Frisell作。本作らしい静かなるパワーを感じる1曲です。N.Y.感覚のブラジル音楽といった雰囲気にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=IpD9xh2eONE
「Enxugar」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。Brian Eno参加の2曲目。美しさと虚しさが同居する内省的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=zDZOVP7D6L4
「No Meu Sotaque」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。ダウンタウンがGeisha Girls(ゲイシャガールズ)で「ノメソタケ - Minha Geisha」としたカヴァーした曲です。このように書くと誤解されそうですが、オリジナルは実にロマンティックなボッサ・チューン。僕の一番のお気に入り曲です。「Este Seu Olhar」同様、坂本龍、Vinicius Cantuaria、Nana Vasconcelosのバッキングが実に素敵です。
http://www.youtube.com/watch?v=j-Q-ohZuc6Y
「Unbearable」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。オーソドックスなボッサ・チューンのように聴こえますが終盤に軽くヒネリが効いています。
「Nobody in Bed」
Arto Lindsay/Bill Frisell作。Romero LubamboとMelvin Gibbsのギターの絡みが美しいです。
「Astronauts」
Arto Lindsay/Vinicius Cantuaria作。「No Meu Sotaque」と並ぶ僕のお気に入り。アヴァンギャルドなサンバ・チューンに仕上がっています。やはり、アヴァンギャルドなArtoワールドも聴きたいですよね。
「Sovereign」
Arto Lindsay/Ryuichi Sakamoto作。ラストは美しい教授のピアノをバックに、Artoならではのサウダージ・モードでアルバムは幕を閉じます。
Arto LindsayやAmbitious Loversの過去記事もご参照下さい。
『Noon Chill』(1997年)
『Prize』(1999年)
Ambitious Lovers『Greed』(1988年)
Ambitious Lovers『Lust』(1991年)