発表年:1968年
ez的ジャンル:男女コーラス系ジャズ・サンバ/ボサノヴァ
気分は... :秋でもブラジル!
今回はThe G/9 Group『Brazil Now!』(1968年)です。
ブラジル音楽ファン、サバービア好きの間ではお馴染みの名盤ですね。
The G/9 GroupはプロデューサーのHenrique Gandelmanが9名のミュージシャン/シンガーを集めたスタジオ・ユニット。Gandelmanの"G"とメンバー数の"9"より"The G/9 Group"というユニット名になった模様です。
集めれた9名の顔ぶれは、Dom Salvador(p)、Wilson Das Neves(ds)、Neco(g)、Sergio Barroso(b)、Pedro(per)、Joab(vo)、Zeze(vo)、Edardo(vo)、Valeria(vo)というメンバーです。また、Pachequinhoがアレンジを担当しています。
名うてのセッション・ミュージシャンによる小粋でエレガントなジャズ・サンバ/ボサノヴァ・サウンドをバックに、メイン・ヴォーカルのValeria嬢と3名の男性ヴォーカル陣が素晴らしい歌声を聴かせてくれます。
選曲にもグッときます。Antonio Carlos Jobim、Vinicius de Moraes/Baden Powell、Edu Lobo、Joao Donato、Marcos Valle、Caetano Veloso等の新旧ブラジル人コンポーザーの作品に加え、The Beatles、Cole Porterの作品も取り上げています。
Gandelmanがコンテンポラリーなブラジル音楽の魅力を、世界に向けて伝えようと制作された作品ですが、そんなGandelmanの思いが凝縮された充実作です。プロモーション不足でセールスは振るわなかったようですが、クラブDJ諸氏から再評価されたのを機に幻のブラジリアン・グルーヴ名盤として今日では高い人気を誇るアルバムです。
楽曲、アレンジ、演奏、ヴォーカル&コーラス、全てが揃った全曲オススメの1枚です。
ブラジル音楽の魅力が凝縮されています!
全曲紹介しときやす。
「P'ra Que Chorar(I'Lll Take a Chance)」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作。エレガントなジャズ・ボッサ・チューン。小粋なピアノとムーディー&ソフトリーな男女コーラスにグッときます・
「Vesti Azul」
Nonato Buzar作。少しお色気モードのValeria嬢のヴォーカルにグッときます。
「Ponteio」
Edu Lobo/Capinan作の名曲をカヴァー。軽快なコーラスと躍動感にグッときます。Nicola Conteが本曲をお気に入りらしいですが、何となくわかる気がします。
「Sambou, Sambou(Alphabet)」
Joao Mello/Joao Donato作。Donatoのオリジナルは『Sambou, Sambou』(1962年)に収録されています。キュートなValeria嬢のヴォーカルと小気味良いバックが印象的なメロウなジャズ・サンバです。
「Este Seu Olhar(That Look You Wear)」
Antonio Carlos Jobimの名曲。当ブログではArto Lindsayのカヴァーを紹介済みです。本ヴァージョンははロマンティックな仕上がりにウットリです。
「Viola Enluarada」
Paulo Sergio Valle/Marcos Valle作品。Marcosのオリジナルは本作と同じ1968年にリリースされた『Viola Enluarada』に収録されています。当ブログではSergio Mendes & Brasil '66のカヴァー(「Viola」も紹介済みです。本ヴァージョンは切ないムードにグッとボッサ・チューンに仕上がっています。
「Lady Madonna」
The Beatlesのヒット曲カヴァー(Lennon/McCartney作)。絶品のジャズ・サンバ・カヴァーに仕上がっています。こうやって聴いてみると、この曲ってジャズ・サンバがマッチしますね!
「Deixa(Let Me)」
Vinicius de Moraes/Baden Powell作の名曲。当ブログではElis Regina、Sambalanco Trioのカヴァーを紹介済みです。個人的には本作で一番のお気に入り。哀愁モードながらもキュートなジャズ・サンバ・チューンに仕上がっています。♪レット・ミ〜♪レット・ミ〜♪思わず口ずさんでしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=20C4Iw-0TYM
「Alegria, Alegria」
Caetano Veloso作。Caetanoのオリジナルは『Caetano Veloso』(1968年)に収録されています。軽快でリズミカルな仕上がりが印象的です。
「Retrato em Branco e Preto」
Antonio Carlos Jobim/Chico Buarque作。憂いを帯びたエレガントなボッサ・チューンです。
「I've Got You Under My Skin」
ラストはCole Porter作品のカヴァー。1936年のミュージカル映画『Born To Dance』挿入歌として作られたスタンダードです。当ブログではJoe Henderson、Sonny Rollins、Dinah Washington、Anita O'Dayのカヴァーを紹介済みです。このスタンダードが美しいボッサ・チューンに生まれ変わるなんて感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=j5jm998gndU
全11曲で30分にも満たない作品ですが、そんな事が全く気にならないミラクルな1枚です。
こういう名もない名盤を発掘してくれ人には、いくら感謝しても、たりません。
ありがとうございます。
アルバムで一枚で終わってしまうのは惜しいユニットですよね。
タイトルの通り、当時のブラジル音楽の魅力をコンパクトにパッケージされていますね!
まさに"必殺"の1枚だと思います。