2010年10月08日

Pat Metheny『Secret Story』

構想6年・・・圧倒的なスケール感を持った感動作☆Pat Metheny『Secret Story』
Secret Story
発表年:1992年
ez的ジャンル:究極のデトックス・ミュージック
気分は... :秘境へ・・・

久々のPat Methenyです。

これまで紹介してきたPat Metheny(Pat Metheny Group)作品は以下の4枚。

 『Offramp』(1982年)
 『First Circle』(1984年)
 『Still Life (Talking)』(1987年)
 『Letter from Home』(1989年)

今日紹介するのは1992年リリースの『Secret Story』です。

Pat Methenyのエントリーで毎回書いていますが、『First Circle』(1984年)、『Still Life (Talking)』(1987年)、『Letter from Home』(1989年)、『Secret Story』(1992年)の4枚は、僕にとっての究極のデトックス・ミュージックです。

これまでは紹介してきたアルバムは、Pat Metheny Group(PMG)名義のものばかりでしたが、本作はPat Metheny名義の作品です。と言うよりも、London Orchestraをはじめ、多数のミュージシャンが参加している一大プロジェクト作品と説明した方が適切かもしれませんね。

Steve Rodby(b)、Paul Wertico(ds)、Lyle Mays(key)、 Armando Marcal(per)といったPMGメンバーも参加していますが、PMGの枠で収まらないよりスケール感の大きな音世界の構築を試みた意欲作です。構想6年ということだけあって、Methenyにしかできない緻密に構築されたサウンドで我々を異次元の音世界へと誘ってくれます。

Pat Metheny作品は聴いていると大自然の映像が思い浮かんだり、世界中を旅している気分になるものが多いですが、本作もそんな気分を存分に堪能できます。特に本作は秘境を旅している気分になりますね。

全14曲76分を越える大作ですが、聴き終えると素晴らしいドキュメンタリーを観終えたような深い感動に包まれます。

全曲紹介しときやす。

「Above The Treetops」
カンボジアの霊歌「Buong Suong」をベースとしたオープニング。カンボジアの子供たちの声をサンプリングした神秘的な音空間の中を、Methenyのギターが美しくも切なく響き渡ります。このオープニングを聴いただけでマインドがリセットされます。
http://www.youtube.com/watch?v=RVl_zZvPT-A

「Facing West」
Lyle Mays(p) 、Armando Marcal(per)といったPMGメンバーが参加しています。PMGの諸作品がお好きな人であれば気に入るであろう、雄大な躍動感が魅力です。前向きモードになりたい時に聴きたい1曲です。『レールウェイストーリー』のBGMにもピッタリな感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=j8imgW-7f0M

「Cathedral In A Suitcase」
壮大なスケール感と緻密なサウンド構築にグッときます。雄大な大自然を目の当たりにし、圧倒される旅人の気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=jDJBqyPx33o

「Finding And Believing」
変拍子を用いたエスニック・フュージョン(?)とでも呼びたくなる1曲。1曲のみでかなり腹一杯になる充実の仕上がりです。London Orchestraによる中盤の雄大なストリングスも素晴らしいですね。Will Lee(b)& Steve Ferrone(ds)とPMGのSteve Rodby(b)& Paul Wertico(ds)という2組のリズム隊を起用しており、各パートを聴き比べるのも楽しいのでは?Mark Ledfordのヴォーカルにもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=F55OKMRL3kk

「The Longest Summer」
ただただ美しい1曲。お待ちかね!Methenyのギターシンセのソロも存分に堪能できます。本曲も「Finding And Believing」同様、2組のリズム隊を起用しています。
http://www.youtube.com/watch?v=gC084hF1ivU

「Sunlight」
ライトタッチのフュージョン・チューン。「Above The Treetops」と並んで僕のリピート回数が多い楽曲です。さり気なさの中にMethenyらしい緻密に計算された音世界が展開されます。「Facing West」同様、聴いていると元気と勇気が湧いてきます!
http://www.youtube.com/watch?v=PWVbD3w4wAA

「Rain River」
エレクトリック・シタールが印象的なミステリアス・チューン。人類未開の大自然を連想させるMethenyならではのスケール感と音像感を持った1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=J5gE-lePvBU

「Always And Forever」
Charlie Haden(b)、Toots Thielemans(harmonica)参加の美しいアコースティック・バラード。MethenyのギターとThielemansのハーモニカのダブル感動でウルっときます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=b_a3FxR0IwQ

「See The World」
PMGを連想させる透明度の高いフュージョン・チューン。クレジットを見る限り、一番参加メンバーの多い楽曲です。それだけ複雑に構築されているのでしょうね。Methenyのギター・ソロを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=16JSqXY5O-0

「As A Flower Blossoms (I Am Running To You) 」
矢野顕子さん参加曲。タイトルは彼女が歌う♪花のように咲いてあなたのもとへ駆けて行く♪というフレーズを英語にしたものです。
http://www.youtube.com/watch?v=K3wPRd85mIA

「Antonia」
アコーディオンの旋律が味わい深い仕上がり・・・と書きたいのですが、このアコーディオン・サウンドはMethenyがシンクラヴィアで弾いているものです。ヨーロッパの田舎町の光景が想起されます。
http://www.youtube.com/watch?v=W7EyCk2_Jc4

「The Truth Will Always Be」
隙間だらけの音空間が様々な音色でジワジワと埋められていきます。生物や植物の成長を早回しにした映像を観ながら聴くとピッタリな気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=a6qSJtwT3qI

「Tell Her You Saw Me」
アルバムのフィナーレを予感させる美しい1曲。全てを優しく包み込んでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=GBuzcYWrVo0

「Not To Be Forgotten (Our Final Hour) 」
London Orchestraによる美しいオーケストレーションでアルバムは幕を閉じます。アルバムの余韻を堪能しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=xdlGd0N6d18

2007年には未発表の音源5曲を追加収録した再発盤がリリースされています。

Pat Metheny Groupの過去記事もご参照下さい。。

『Offramp』(1982年)
オフランプ

『First Circle』(1984年)
ファースト・サークル

『Still Life (Talking)』(1987年)
Still Life (Talking)

『Letter from Home』(1989年)
Letter from Home
posted by ez at 01:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本当に視覚的な音ですよね。
いつか海外で電車の車窓から景色を眺めながら聴いてみたいな。
オープニングの「Above The Treetops」から持っていかれますね。声はカンボジアの子供だったんですか。こういう色の音楽に弱いんです..。
Posted by Kaz at 2010年10月09日 02:21
☆Kazさん

ありがとうございます。

旅人気分になりますよね。
僕も「Above The Treetops」に相当グッときます。
聴いていると修行僧のような気分となり、身が引き締まります。

Posted by ez at 2010年10月09日 15:00
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