発表年:1973年
ez的ジャンル:ディープ&キュート系レディ・ソウル
気分は... :深く笑い、深く泣ける!
昨晩、WOWOWで宅間孝行が主宰する人気劇団、東京セレソンデラックスの最新作『くちづけ』を放送していました。"日本で一番泣かせる劇団"の名に相応しい、深く笑い、深く泣ける素晴らしいお芝居にウルっとしてしまいました。我々が忘れかけている人間としての大切なものを教えられた気がします。
たまにはこういうお芝居でピュアな感性を取り戻さないといけませんよね。
東京セレソンDXの余韻に浸っている中で聴きたくなったのがTommie Young『Do You Still Feel The Same Way』(1973年)です。
Tommie Youngはテキサス州ダラス出身のソウル/ゴスペル・シンガー。
60年代後半からゴスペル・グループで歌い始め、1972年にダラスのナイトクラブで歌っていたところ、Soul Power Recordsの共同オーナーであり、プロデューサーのBobby Pattersonの目に留まり、レコーディングの機会を得ます。
こうしてリリースされたのが彼女の唯一のアルバム『Do You Still Feel The Same Way』(1973年)です。プロデューサーはBobby Patterson、オリジナル・アルバム収録全11曲のうち10曲がBobby Patterson & Jerry Stricklandのペンによるものです。バック・コーラス隊の中にはDorothy Mooreの名もクレジットされています。
今日ではフリーソウル人気曲「Hit And Run Lover」がハイライトとなるのでしょうが、アルバム全体としてはサザン・ソウルらしいディープな楽曲とキャッチー&ポップな楽曲が混在しているのが面白いですね。
Tommie Youngのヴォーカルはゴスペル仕込みのディープさと、ハイトーンな声質に起因するキュートさを併せ持っており、そのあたりが彼女ならでの魅力につながっていると思います。その意味ではディープな楽曲とポップな楽曲がバランスした構成は絶妙だと思います。
ディープなTommieとポップ&キュートなTommie共に堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Do You Still Feel The Same Way?」
オススメその1。タイトル曲はシングルカットされ、全米R&Bチャート第28位となりました。キュートなAretha Franklinって雰囲気のTommieのヴォーカルにグッとくるバラード。程好くイナタい感じもグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=boP0SfIzTXE
「Do We Have A Future?」
パンチの効いたアップ・チューン。当時のブラックパワーともリンクする張り詰めた緊張感が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=tscnKxpjUJI
「You Came Just In Time」
オススメその2。イナタいラブリー感にグッとくるスウィートなミディアム・スロウ。
http://www.youtube.com/watch?v=zV8pI5Xg0Kw
「She Don't Have To See You (To See Through You) 」
サザン・ソウルらしいアーシーなバラード。
「You Can Only Do Wrong So Long」
「You Came Just In Time」同様のポップさが魅力のミディアム・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=jMT0qdUDrrM
「You Can't Have Your Cake (And Eat It Too) 」
レイドバック感たっぷりのR&Bチューン。ゴスペル仕込みのTommieのヴォーカルを堪能できます。
「You Brought It All On Yourself」
ゴスペル調バラード。『くちづけ』を観た後の気分にピタっとハマります。
http://www.youtube.com/watch?v=OS87qa_0pEk
「That's All A Part Of Loving Him」
オススメその3。妖しげなフルートに先導されるパーカッシヴな疾走感にグッときます。こういうさり気なく格好良い曲大好きです!
http://www.youtube.com/watch?v=unAv1ec_tls
「That's How Strong My Love Is」
オススメその4。O. V. Wrightのデビュー・シングルであり、Otis Redding、Rolling Stones等もカヴァーしたソウル名曲のカヴァー(Roosevelt Jamison作)。本カヴァーでもディープに迫ります。
「Hit And Run Lover」
オススメその5。前述のように本作のハイライトとなるフリーソウル人気曲。ハッピー&ラブリーなグルーヴ感にグッとくるレディ・ソウルです。
http://www.youtube.com/watch?v=vWV73e0la9M
「Everybody's Got A Little Devil In Their Soul」
オススメその6。ディープなのにキュートというTommie Youngを魅力を象徴するような本曲でアルバムは幕を閉じます。
http://www.youtube.com/watch?v=cKPdncJBcVI
オリジナルは上記の11曲ですが、CDには「I'm Not Going To Cry Anymore」、「One Sided Love Affair」、「Take Time To Know Him」、「Get Out Of My Life」、「Midsummer Dream」というボーナス・トラック5曲が追加収録されています。これを軽視している人もいますが、なかなか楽しめる5曲です。
Tommieのデビュー・シングル「Take Time To Know Him」(Percy Sledgeのカヴァー、Steve Davis作)とシンセ入りの「Midsummer Dream」のギャップがなかなか面白いですね。「I'm Not Going To Cry Anymore」はポップな魅力に溢れています。そして、シングルにもなった「Get Out Of My Life」は本編では聴けないTommieの魅力を堪能できる秀逸ソウル・チューンです。