2010年10月23日

The Janet Lawson Quintet『The Janet Lawson Quintet』

クラブジャズ・クラシック「So High」収録!☆The Janet Lawson Quintet『The Janet Lawson Quintet』
The Janet Lawson Quintet
発表年:1981年
ez的ジャンル:ヴォーカリーズ系変幻自在ジャズ・ヴォーカル
気分は... :素晴らしいテクニック!

今回はThe Janet Lawson Quintetの1stアルバム『The Janet Lawson Quintet』(1981年)です。

Judy Roberts Band『The Judy Roberts Band』(1979年)あたりと並んで、クラブジャズ/サバービア・ファンから支持の高い女性ジャズ・ヴォーカル作品ですね。

グループの中心であるヴォーカルのJanet Lawsonは1940年ボルチモア生まれ。

ミュージシャン一家に生まれたJanetは幼少期から音楽に慣れ親しんでいたようです。その後、ジャズ・ヴォーカリストを目指したJanetは1960年にN.Y.へ向かいます。

そしてArt Farmerのグループでデビューし、その後はセッション・シンガーとして活躍しました。1970年にはソロ名義でシングル「Two Little Rooms」をリリースしています。「Two Little Rooms」よりもB面に収録された「Dindi」Antonio Carlos Jobimのカヴァー)の方が今日人気ですね。

Janet Lawson「Dindi」
 http://www.youtube.com/watch?v=thKXVjk8Mkw

1976年には自身のトリオを結成し、これが母体となりThe Janet Lawson Quintetとなります。The Janet Lawson Quintet名義では『The Janet Lawson Quintet』(1981年)、『Dreams Can Be』(1983年)という2枚のアルバムをリリースしています。

今日紹介する『The Janet Lawson Quintet』(1981年)は、前述のようにクラブジャズ/サバービア・ファンから支持の高い作品です。特にGilles Peterson監修の『Jazz Juice』シリーズで取り上げられた「So High」、サバービアでプッシュの「Sunday Afternoon」の2曲が人気ですね。

本作におけるメンバーは、Janet Lawson(vo)、Bill O'Connell(p)、Ratzo B. Harris(b)、Jimmy Madison(ds)、Roger Rosenberg(bs、ss、fl)の5名。

まず、ヴォーカリーズを含むJanetの変幻自在なヴォーカルに圧倒されます。

テクニック面からジャズ・ヴォーカルの持つ可能性を実感できる作品とも言えます。その素晴らしいテクニックは、本作がグラミーの最優秀女性ジャズ・ヴォーカル・パフォーマンスにノミネートされたことでも証明されています。

そんな存在感のあるヴォーカルを支えるバックの演奏も実に気が利いています。

ヴォーカリーズを聴き慣れない人は、最初に戸惑うかもしれませんが、聴き込むほどにその表現力に魅了されるはずです。

全曲紹介しときやす。

「You Promised」
オープニングは10分超の大作。エキゾチック・サウンドによる幻想的な音空間を、Janetの変幻自在なスキャットが駆け巡ります。ジャケのイメージとは異なる大胆なJanetのヴォーカルに驚かれます。また、Ratzo B. Harrisのベース・プレイが聴きものです。曲はSam Brown作のインスト曲「Dance of the Wind Chimes」にCarman Mooreが歌詞をつけたもの。

「Jitterbug Waltz」
Thomas "Fats" Wallerが1942年に作った曲。時にレイジー、時に絶叫するJanetのスキャットは迫力十分です。

「Sunday Afternoon」
オススメその1。Blossom Dearieでお馴染みの名曲をカヴァー(Blossom Dearie/Len Saltzberg)。「So High」と並ぶ本作のハイライト。Blossom Dearieのキュートなオリジナルに対して、本カヴァーはJanetのヴィヴィドなヴォーカルが心地好い軽快なサニー・ボッサ・チューンに仕上がっています。Bill O'ConnellのエレガントなピアノやRosenbergのサックス・ソロも盛り上げてくれます。Blossom Dearieのアルバムも近々紹介する予定ですのでお楽しみに!

「'Round Midnight」
説明不要!Thelonious Monkの名曲カヴァー。お馴染みのスタンダードを、ここではジャズ・ヴォーカリストらしい情感たっぷりの表現で聴かせてくれます。さり気なさの中に気品が漂うバックの演奏がグッド!

「So High」
オススメその2。前述のようにクラブジャズ・クラシックとして人気の高い曲です(Diane Snow作)。Gilles Petersonが気に入るのも頷ける、躍動感が格好良いジャズ・サンバ・チューンです。Janetのヴォーカルも素晴らしいですが、バックの演奏が最高にイカしています!
http://www.youtube.com/watch?v=zH6KTorcWtE

「Nothin’Like You」
オススメその3。Bob Doroughのカヴァー(Bob Dorough/Fran Landesman作)。Bob Dorough自身がヴォーカルをとったMiles Davis『Sorcerer』のヴァージョンで有名な曲ですね。スウィンギーな疾走感が実に小粋です。Janetのジャズ・ヴォーカリストとしての技量の高さを随所で堪能できます。

ここまでがオリジナルLPの6曲です。CDには以下のボーナス・トラック2曲が追加収録されています。共にジャズ・ピアニストDavid Lahmのアルバム『Real Jazz For The Folks That Feel Jazz』(1982年)収録曲です。David LahmとJanetは1970年代後半から付き合いのある演奏仲間のようです。

「Shazam(Captain Marvel)」
オススメその4。作者はDavid LahmとChick Coreaですが、、演奏はJanet Lawson Quintetのメンバーによるものです。ラテン・フレイヴァーの効いた軽快なフュージョン・チューンです。

「Harold’s House of Jazz」
「Shazam(Captain Marvel)」同様、『Real Jazz For The Folks That Feel Jazz』収録曲です。ただし、こちらはJanetのみがヴォーカルで参加しています。そのせいか、他の曲とは異なる印象を受けます。David LahmとJanetの昔からのレパートリーのようで、Janetのヴォーカルはノリノリです。

Janet Lawson Quintet名義のアルバムとして、『Dreams Can Be』(1983年)もあります。コチラは未聴なので、機会があればぜひ聴いてみたいと思います。

『Dreams Can Be』(1983年)
janet lawson quintet
posted by ez at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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