発表年:1987年
ez的ジャンル:ブルージー系女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :秋にはCassandraの低音ヴォーカルがピッタリ!
ジャズ界最高の女性シンガーの一人Cassandra Wilsonの4回目の登場です。
これまで当ブログで紹介したCassandra Wilsonは以下の3枚(発売年順)。
『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
『New Moon Daughter』(1995年)
『Traveling Miles』(1999年)
今回紹介するのは1987年リリースの2bdアルバム『Days Aweigh』です。
やはり秋になるとCassandraのミステリアス&ブルーシーな低音ヴォーカルが聴きたくなりますね。
ちょうど最新作『Silver Pony』をリリースしたばかりCassandra Wilsonですが、これを機会に過去作品をチェックしてはいかがでしょうか?
『Silver Pony』(2010年)
これまでBlue Note時代の作品ばかりでしたが、今回紹介する『Days Aweigh』はJMT時代の作品です。
故郷ミシシッピからN.Y.へ進出し、先鋭ジャズ集団M-Base Collectiveの一員としてSteve Colemanらと活動を共にしていたCassandraが、JMTからリリースしたデビュー・アルバム『Point of View』(1986年)はシーンに大きなインパクトを与えた1枚でした。
天才女性ジャズ・ヴォーカリストと注目を浴びたCassandraが、『Point of View』に続きリリースしたのが『Days Aweigh』です。案外聴きやすい作品であり、インパクトという点では『Point of View』に劣るかもしれません。しかしながら。その後のBlue Noteで大ブレイクするCassandra Wilsonを予感させる充実の1枚です。
レコーディング・メンバーはCassandra Wilson(vo、g)、Jean-Paul Bourelly(g)、Steve Coleman(per、s)、Mark Johnson(ds)、Olu Dara(cor、vo)、Graham Haynes(tp)、Kenny Davis(b)、Kevin Bruce(b)、Rod Williams(p、syn)です。
M-Base系ミュージシャンに加え、Jean-Paul Bourelly(前作『Point of View』にも参加)、Olu Dara(Nasの父親)といった前衛派ミュージシャンも参加しています。
メイン・ストリーム寄りの仕上がりの中にも、Cassandraらしいミステリアス&ブルージーな味わいを堪能できます。
Blue Note時代の完成されたCassandraも素晴らしいですが、JMT時代のCassandraも未完成ならではの魅力があります。
全曲紹介しときやす。
「Electromagnolia」
Cassandra Wilson/Olu Dara作。Olu Dara参加曲。汎カリブ的な雰囲気を持った和やかなオープニング。Cassandra Wilsonらしくない仕上がりに意表を突かれます。
「Let's Face The Music」
Irving Berlin作。1936年に映画『Follow the Fleet』のために作られたスタンダード。クラブジャズ・ファンも気に入りそうなスリリングな演奏にグッときます。Cassandraのヴォーカルも快調です。
「Days Aweigh」
タイトル曲はJean-Paul Bourelly作です。ミステリアスな仕上がりがCassandraらしいですね。作者Bourellyのギターもいい味出しています。
「Subatomic Blues」
Cassandra Wilson作。プリンセス・オブ・ダークネスの本領発揮のブルージーなヴォーカルに魅了されます。Steve Colemanのアルト・サックスも盛り上げてくれます。やはり、Cassandraにはブルースがよく似合いますな。
「Apricots On Their Wings」
Henry Threadgill作。Cassandraのスキャットが絶品です。スウィンギーなパートとジャズ・ファンクなパートのメリハリも素晴らしいです。Kevin Bruce Harrisのベースも格好良いです。
「If You Only Know How」
Cassandra Wilson作。ブラジリアン・フレイヴァーの軽快な仕上がり。Graham Haynesのトランペット・ソロに続き、Cassandraが表情豊かなヴォーカルを聴かせてくれます。
「You Belong To You」
Cassandra Wilson作。既に貫禄十分のCassandraヴォーカルが素晴らしいですね。中盤のSteve ColemanとGraham Haynesの掛け合いもグッド!
「Some Other Time」
ミュージカル『On the Town』のために書かれたスタンダード(Adolph Green/Betty Comden/Leonard Bernstein作)。Rod WilliamsのピアノをバックにCassandraらしい低音ヴォーカルを存分に聴かせてくれます。
「Black And Yellow」
Rod Williams作。ラストはプリンセス・オブ・ダークネスにピッタリなミステリアスな仕上がり。深い深い闇へと吸い込まれそうです。
Cassandra Wilson作品の過去記事もご参照下さい。
『Blue Light 'Til Dawn』(1993年)
『New Moon Daughter』(1995年)
『Traveling Miles』(1999年)