発表年:1967年
ez的ジャンル:スウィンギン・ロンドン系オルガン・ロック
気分は... :僕はこのジャケが好き!
今回はJulie Driscoll, Brian Auger & The Trinity『Open』(1967年)です。
60年代後半の"スウィンギン・ロンドン"時代のファッション・リーダー的存在であった女性シンガーJulie Driscollとハモンド・オルガンを中心としたグルーヴィーなジャズ・ロックで人気を博したBrian Auger & The Trinityの共演第一弾アルバムです。
これまで当ブログで紹介したBrian Auger関連作品は以下の5枚です(発売年順)。
Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity
『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express
『Second Wind』(1972年)
『Closer to It!』(1973年)
『Straight Ahead』(1975年)
『Reinforcements』(1975年)
Julie Driscoll、Brian Auger & The Trinity共にそれまで何枚かのシングルはリリースしていましたが、アルバム・リリースは本作『Open』が初めてとなります。
Julie DriscollとBrian Augerは幻のスーパー・グループThe Steampacketで活動を共にしており、その流れで再編成されたBrian Auger & The Trinityとの共演が実現しました。
The Steampacketは、既に実績を重ねていたブルース・シンガーLong John Baldry(vo)をリーダー格に、スーパースターになる前のRod Stewart(vo)、Julie Driscoll(vo)、Brian Auger(org)、当時のThe TrinityのメンバーであったMicky Waller(ds)とRicky Brown(b)、後にEric Burdon & The Animalsに参加するVictor Briggs(g)というメンバーによるスーパー・ユニットでした。しかしながら、各メンバーが異なるレコード会社とソロ契約していたため、それが活動の障害となり約一年ほど活動した後に解散しています。
さて、本作『Open』ですが、構成としてはオリジナルLPのA面がBrian Auger & The Trinityのみのインスト中心のジャズ・ロック色の強いパート、B面がJulie Driscollも加わったR&B/ソウル色の強いパートとなっています。
本作におけるThe Trinityのメンバーは、Brian Auger(key、vo)、David Ambrose(b)、Clive Thacker(ds)、Gary Boyle(g)という編成です。
内容としては、60年代後半の"スウィンギン・ロンドン"時代を象徴するモッドで、グルーヴィーで、ソウルフルで、サイケな1枚に仕上がっています。収録されている4曲のカヴァーが、Wes Montgomery、Lowell Fulsom、The Staple Singers、Donovanというあたりがアルバムの雰囲気を象徴していると思います。
本作は発売国ごとに異なるジャケがいくつか存在しますね。
僕が保有しているのはUS盤であり、そちらは上記のようなジャケです。個人的には見慣れているこのジャケが一番しっくりきます。
オリジナルUK盤ジャケはこんな感じです。
『Open』 ※オリジナルUK盤ジャケ
他にもフランス盤、ドイツ盤は異なるジャケだったようです。
プロデュースは悪名高き(?)敏腕マネージャーGiorgio Gomelsky。Richard Hillがアレンジを担当しています。GomelskyのMarmaladeレーベルから発売されました。
また、本作と同時にシングル「Save Me」(Aretha Franklinのカヴァー)をリリースしていますので、併せてチェックしてみて下さい。
「Save Me」
http://www.youtube.com/watch?v=sl8coZUKCtM
モッド・ジャズ、R&B/ソウル、ロック、サイケの要素を取り入れたスウィンギン・ロンドンらしい1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「In And Out」
オープニングはWes Montgomeryのカヴァー。Gary BoyleのギターとAugerのハモンドが絡む小粋なモッド・ジャズに仕上がっています。
「Isola Natale」
オススメその1。軽くラテン・フレイヴァーの効いたモッドなオルガン・ジャズに仕上がっています。ここでもGary Boyleのギターがいい味出しています。
http://www.youtube.com/watch?v=gp5_9y0zg18
「Black Cat」
オススメその2。今日的には本作のキラー・チューンです。Augerのヴォーカルが入ったグルーヴィーなオルガン・ロックです。オルガン・グルーヴ好きにはたまらん格好良さですね。The Spencer Davis Group「I'm a Man」あたりとセット聴きたい1曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=bT8tsDclHzU
「Lament For Miss Baker」
美しいAugerのピアノを堪能できるリリカルなインスト。
http://www.youtube.com/watch?v=6p-eqg10pdc
「Goodbye Jungle Telegraph」
エスニック・モードのパーカッシヴ感が印象的な1曲。実に摩訶不思議なムードを持った演奏です。
ここまでがオリジナルLPのA面です。
「Tramp」
オススメその3。ここからJulie Driscoll参加です。本曲はLowell Fulsomのカヴァー。Otis Reddingのヒットなどでもお馴染みの曲ですね。Julieのソウルフルなヴォーカルを堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=D1-iIiEq20Y
「Why (Am I Treated So Bad)」
The Staple Singersのカヴァー。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、本作らしいオルガン・グルーヴに仕上がっています。それにしてもJulieはビジュアルからは想像できないほどソウルフルなヴォーカルを聴かせてくれますね。
「A Kind Of Love In」
オススメその4。全英チャート第5位となったシングル「This Wheel's On Fire」(アルバム未収録)のB面曲にもなりました。アルバム中最もポップな仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=8SRBVbxtaXY
シングル「This Wheel's On Fire」は当ブログでも紹介したBob Dylan/Rick Danko作の名曲カヴァーです。作者ヴァージョンはThe Band『Music From Big Pink』、Bob Dylan & The Band『The Basement Tapes』で聴くことができます。そんな名曲をサイケ・モードで聴かせてしまうのが、Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinityらしいですね。
「This Wheel's On Fire」
http://www.youtube.com/watch?v=c7sQvBkcJdY
「Break It Up」
オススメその5。「Black Cat」と並ぶキラー・チューン。個人的には一番のお気に入り!パンチの効いたグルーヴィーなR&Bチューンに仕上がっています。Julieのヴォーカルが最高!ここでのAugerはオルガンではなくピアノで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=77Ee1FCJ1vg
「Season Of The Witch」
ラストはDonovanのサイケ名曲をカヴァー。最後にサイケを持ってくるあたりが"スウィンギン・ロンドン"時代らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Sv338_POnC0
Brian Auger関連の過去記事もご参照下さい。
Julie Driscoll,Brian Auger & The Trinity『Streetnoise』(1969年)
Brian Auger's Oblivion Express『Second Wind』(1972年)
Brian Auger's Oblivion Express『Closer to It!』(1973年)
Brian Auger's Oblivion Express『Straight Ahead』(1975年)
Brian Auger's Oblivion Express『Reinforcements』(1975年)