発表年:2010年
ez的ジャンル:スーパー・アーティスト
気分は... :これぞ大作!
スーパー・アーティストKanye Westの新作『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』です。
これまで当ブログで紹介してきた蟹江作品は以下の3枚。
『The College Dropout』(2004年)
『Graduation』(2007年)
『808s & Heartbreak』(2008年)
何故か2nd『Late Registration』(2005年)のみ未紹介になっています。別に大意はないのですが・・・
多方面から絶賛の嵐の新作『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』ですね、
ハワイで300万ドルという大金を投入して制作された大作ですが、大作の名に恥じない傑作を創り上げたと思います。僕の場合、大物アーティストの新作には期待値をあまり高く設定せず、及第点であれば満足!というスタンスで聴いていますが、本作の充実ぶりには正直驚かされました。
前作『808s & Heartbreak』のエレクトロ&歌モノ路線に少し不安を感じたのですが、新作はしっかりHip-Hopへ回帰しつつ、Hip-Hopを一段上のステージへ引き上げる意欲作となりました。
某大手CDショップで、本作とBlack Eyed Peasの新作『The Beginning』が並んで超プッシュされていました。聴く気もしない超駄作の前作『The E.N.D.』に続き、2作続けて大失敗を繰り返し、すっかり堕落したBEPの『The Beginning』と、前作から見事に軌道修正して大傑作を創り出した蟹江氏『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』は対照的な2枚ですね。
さて、『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』ですが、タイトル通り、美しくもダークな蟹江ワールドが展開される壮大なHip-Hopアルバムに仕上がっています。
アルバムを聴き終わって、一本の芯が通った作品という印象受けました。
Kanye Westというスーパー・アーティストの"スーパー"たる所以を存分に見せつけてくれた気がします。
Rihanna、Nicki Minaj、Justin Vernon(Bon Iver)、Jay-Z、Rick Ross、Pusha T(Clipse)、Swizz Beatz、The RZA、Kid Cudi、Raekwon、Dwele、Tony Williams、The-Dream、Charlie Wilson、John Legend、Eleanor Jackson(La Roux)、Alicia Keys、Elton John、Fergie、Ryan Leslie、Drake等のゲスト陣も超豪華です。
久々に大作アルバムというのをリアルタイムで聴いた気分になりました。
George Condoが手掛けたジャケも物議を呼びましたが、何種類かのジャケが用意されることで決着したようですね。僕が所有しているのは上記の問題となった"ヌード"ジャケです。ちなみに"バレリーナ"ジャケはコチラ。
『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』("バレリーナ"ジャケ)
このアートワークも含めて、クリエイティヴィティに充ちた傑作を堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「Dark Fantasy」
オープニングはタイトルの通り、ダークなムードに包まれ、ドラマチックにスタートします。Kanyeのラップが入る一気に蟹江ワールドらしくなりますね。期待の女性ラッパー/シンガー・ソングライターNicki MinajやJustin Vernon(Bon Iver)という本作で目立っている二人がバック・ヴォーカルで参加しています。プロデューサーにはThe RZA、No I.D.の名もクレジットされています。Mike Oldfield「In High Places」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=JZ2KDygcZyM
「Gorgeous」
Kid CudiとRaekwonをフィーチャー。プロデュースで参加しているMike Deanのギターを中心としたロック・テイストのトラックが印象的です。Gene Clark/Roger McGuinn作「You Showed Me」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=ypZsgPHeH1s
「Power」
アルバムからの先行シングル。King Crimson「21st Century Schizoid Man」のサンプリングが印象的に使われたパワフルな仕上がりです。後半にはDweleのヴォーカルもフィーチャーされています。プロデューサーの中には僕の大好きなアングラHip-HopユニットStrange Fruit ProjectのS1(Symbolyc One)の名もクレジットされています。Cold Grits「It's Your Thing」、Continent Number 6「Afromerica」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=L53gjP-TtGE
「All of the Lights (Interlude) 」
次に控える超話題曲のためのインタールード。
「All of the Lights」
超豪華メンバーがバック・ヴォーカルを務めていることで話題の1曲。Rihannaをはじめ、Kid Cudi、Tony Williams、The-Dream、Charlie Wilson、John Legend、Eleanor Jackson(La Roux)、Alicia Keys、Elton John、Fergie、Ryan Leslie、Drake等の凄いメンツがクレジットされています。正直、Rihanna以外はわかりづらいかもしれませんが、顔ぶれでだけで楽しめる1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=Uayey2PSGpA
「Monster」
Jay-Z、Rick Ross、Nicki Minaj、Bon Iverをフィーチャー。ダークなトラックにのってKanye、Jay-Z、Rick Ross、Nicki Minajが次々とライムを叩きつけます。大物に混じりNicki Minajが一番目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=EhYDUHHOx4M
「So Appalled」
Jay-Z、Pusha T(Clipse)、Prynce Cy Hi、Swizz Beatz、The RZAをフィーチャー。「All of the Lights」に負けない凄いメンツが参加していますね。哀愁モードのトラックが印象的です。Manfred Mann's Earth Band「You Are - I Am」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=YR_D1GGPx-Q
「Devil in a New Dress」
Rick Rossをフィーチャー。Smokey Robinson「Will You Still Love Me Tomorrow」をサンプリングしたソウルフルな仕上がり。やはり、こういうソウルフル・トラックを聴くとホッとしますね(笑)。
http://www.youtube.com/watch?v=K2BDcZyRgI4
「Runaway」
シングル曲。Pusha T(Clipse)をフィーチャー。単音ピアノの響きが印象的なスケール感の大きな仕上がりです。蟹江氏の凄さを見せつけてくれる感動的な1曲ですね。Backyard Heavies「Expo 83」をサンプリング。The-Dreamがバック・ヴォーカルで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Bm5iA4Zupek
「Hell of a Life」
歪んだエレクトロ・サウンドの醸し出すダークネスにグッときます。The Mojo Men「She's My Baby」、Tony Joe White「Stud-Spider」、Black Sabbath「Iron Man」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=yZ79lg4ZTIU
「Blame Game」
John Legendをフィーチャー。John Legendらしい温かみのある優しいメロディ&ヴォーカルを堪能できます。Richard James「Avril 14」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=Hn3udAUlIqs
「Lost in the World」
Justin Vernon(Bon Iver)をフィーチャーそたオートチューン使いの1曲。個人的にはアルバムで一番好きな曲です。完成度の高い音世界に魅了されます。Charlie Wilson、Alicia Keys、Eleanor Jackson(La Roux)といった豪華メンバーがバック・ヴォーカルを務めます。Manu Dibango「Soul Makossa」、Lyn Collins「Think (About It)」、Bon Iver「The Woods」ネタ。
http://www.youtube.com/watch?v=dyQpQhrQ5Zs
「Who Will Survive in America」
ラストは「Lost in the World」からシームレスに続く、本曲で締め括られます。Gil Scott-Heron「Comment No. 1」をサンプリングするあたりがエンディングに相応しいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=iqXOQ_sYK30
蟹江氏の過去記事もご参照下さい。
『The College Dropout』(2004年)
『Graduation』(2007年)
『808s & Heartbreak』(2008年)