発表年:1983年
ez的ジャンル:パワフル・レディソウル
気分は... :行くべきか、行かざるべきか・・・
今回はパワフルなレディソウル・シンガーPatti LaBelleが1983年にリリースした『I'm in Love Again』の紹介です。
Patti LaBelleは1944年フィラデルフィア生まれ。
LaBelleの前身グループThe Bluebellesを1961年結成し、何枚かのアルバムをリリースした後、1970年よりLaBelleとして活動を開始します。
当初の3枚のアルバムは商業的な成功を収めることはできませんでしたが、ニューオリンズR&Bの大物Allen Toussaintを迎えた4thアルバム『Nightbirds』(1974年)からは、全米チャート、同R&Bチャート共に第1位となった「Lady Marmalade」という大ヒット・シングルが生まれ、アルバムもゴールド・ディスクを獲得します。
『Cameleon』(1976年)を最後にLaBelleが解散した後はソロ活動に入ります。
LaBelleが所属していたEpicから『Patti LaBelle』(1977年)、『Tasty』(1978年)、『It's Alright with Me』(1979年)、『Released』(1980年)という4枚のアルバムをリリースしますが、大きな成功には恵まれませんでした。
そこで地元フィラデルフィアのPIRへ移籍します。PIRからは『The Spirit's in It』(1981年)、『I'm in Love Again』(1983年)、『Patti』(1985年)という3枚のアルバムをリリースします。この中から今日紹介する『I'm in Love Again』はゴールド・ディスクを獲得し、シングル「If Only You Knew」は全米R&BチャートNo.1となりました。
その後MCAへ移籍し、『Winner in You』(1986年)、『Be Yourself』(1989年)、『Burnin'』(1991年)、『Gems』(1994年)、『Flame』(1997年)等のアルバムをリリースし、Michael McDonaldとのデュエット「On My Own」が全米チャート、同R&Bチャート共に第1位となるなど確固たる地位を築き上げました。
Labelle『Nightbirds』は紹介していましたが、Patti LaBelleのソロ作の紹介は初めてになります。
本作『I'm in Love Again』はPIRからの第2弾アルバムであり、ソロ・シンガーとして初めて成功を収めたPattiにとって大きなターニング・ポイントとなった1枚です。Kenny Gamble、Leon Huff、Bunny Sigler、James Sigler、Cecil Womack、Dexter Wansel、Joseph Jeffersonという強力プロデューサー陣が制作に携わっています。
実態としては、寄せ集め的なアルバムという経緯もある作品のようですが、「Love, Need And Want You」、「If Only You Knew」という2大名曲を中心になかなか充実した内容だと思います。アルバム全体がエレガントな雰囲気に包まれているのがいいですね。
「Love, Need And Want You」、「If Only You Knew」はいつ聴いてもいいですね!
全曲紹介しときやす。
「I'm In Love Again」
タイトル曲はJames Sigler作、Bunny Siglerプロデュースのバラード。エレガントなアレンジとPattiのスケール感の大きなヴォーカルで心がホッコリしてきます。Pattiのヴォーカリストとしての素晴らしさを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=KOUH9GLrMJ4
「Lover Man (Oh, Where Can You Be?) 」
Billie Holidayなどでお馴染みのスタンダードをカヴァー(Jimmy Davis/Roger Ramirez/James Sherman作)。哀愁モードのジャジー・チューンですが、表情豊かなPattiのヴォーカルにグッときます。James Sigler/Kenny Gambleプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=0pYEcdBLiUI
「Love, Need And Want You」
本作のハイライトその1。Bunny Sigler/Kenny Gambleがソングライティング/プロデュースを手掛けた屈指の名バラード。シングルとして全米R&Bチャート第10位となりました。愛しい人への溢れる思いを歌い上げた永遠のラブソングです。
http://www.youtube.com/watch?v=NZ_oKq8jwu4
カヴァー/サンプリングでの人気からも本曲の名曲ぶりを確認できると思います。Nelly feat. Kelly Rowland「Dilemma」での引用をはじめ、当ブログでも紹介したJaguar Wrightによるネオ・フィリーなカヴァー、Chantay Savageによるドープなリメイク、Flesh-n-Bone「World So Cruel」やOutKast「Ghetto Musick」でのサンプリング等があります。最近ではLloyd「Lay It Down」でもサンプリングされていました。
Nelly feat. Kelly Rowland「Dilemma」
http://www.youtube.com/watch?v=8WYHDfJDPDc
Jaguar Wright「Love, Need And Want You」
http://www.youtube.com/watch?v=WiMqrDQpN-g
Chantay Savage「Love Need Want」
http://www.youtube.com/watch?v=5ScgJKuF-RU
Flesh-n-Bone「World So Cruel」
http://www.youtube.com/watch?v=HAXBBgaOJ5A
Lloyd「Lay It Down」
http://www.youtube.com/watch?v=FSkRBCPRf8Q
「If Only You Knew」
本作のハイライトその2。前述のようにPattiにとって起死回生となった全米R&BチャートNo.1シングルです。Cynthia Biggs/Dexter Wansel/Kenny Gamble作&プロデュース。切ない恋心をPattiが見事に表現しています。聴いているだけで胸に迫ってくるものがありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=2ret2I2MZ4s
この曲も多くのカヴァー/サンプリングあります。主なところを挙げると、Soul For Real、Phil Perry、Keke Wyattのカヴァー、Twista & Syleena JohnsonをフィーチャーしたDo or Dieやチカーノ・ラッパーCaponeによるHip-Hopカヴァー、Bizzy Bone「Nobody Can Stop Me」でのサンプリング等があります。
Soul For Real「If Only You Knew」
http://www.youtube.com/watch?v=USKOc2VM1fI
Phil Perry「If Only You Knew」
http://www.youtube.com/watch?v=7GV81PY80ks
Keke Wyatt「If Only You Knew」
http://www.youtube.com/watch?v=HLhocnceZm0
Do or Die feat. Twista & Syleena Johnson「If Only You Knew」
http://www.youtube.com/watch?v=aOYZO5Vu9Po
Capone「If Only You Knew」
http://www.youtube.com/watch?v=Sd_ciL_8tyk
Bizzy Bone「Nobody Can Stop Me」
http://www.youtube.com/watch?v=8dfFsq8pt8w
ここまでがオリジナルLPのA面です。
「Body Language」
オリジナルLPのB面のオープニングは、Harold Payne/Pat Luboff/Pete Luboff作、Kenny Gamble/James R. Ellisonプロデュースによるファンキーなダンス・チューン。Pattiもパンチの効いたヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=285PCG1cKRM
「I'll Never, Never Give Up」
Stephanie Huff/Leon Huff作、Leon Huffプロデュースという夫婦共作によるゴスペル・テイストのアップ・チューン。正直、サウンドは今イチですがPattiのヴォーカルには迫力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=Tmu46jnXtjM
「Love Bankrupt」
前曲に続く夫婦共作曲。コチラはLinda Womack/Cecil Womackによる夫婦デュオWomack & Womackが手掛けています。Womack & Womackにも通じる自然体の味わい深いソウル・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Ev1KFbMcL0M
「When Am I Gonna Find True Love」
ラストはJoseph Jeffersonプロデュースによるミッド・グルーヴ。なかなかノリの良いグッド・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=Pa72NHoZ3Js
ご興味のある方は、他のソロ作もチェックしてみて下さい。
『Patti LaBelle』(1977年)
『The Spirit's in It』(1981年)
『Winner in You』(1986年)
『Be Yourself』(1989年)
『Burnin'』(1991年)
『Gems』(1994年)、
『Flame』(1997年)