発表年:1992年
ez的ジャンル:オーガニック系Hip-Hop
気分は... :土臭いけど知的なHip-Hopだよ〜ん!
とうとうW杯出場32ヶ国の出場メンバーが出揃いましたね!
各国それなりのサプライズもあり、メンバー登録だけでもかなり楽しめました。
登録メンバーを見た限りでは、個人的には本命ブラジル、対抗アルゼンチン、ダークホースでオランダ、スペインってカンジですかね。
ブラジルのロナウド、アドリアーノ、ロナウジーニョ、カカのカルテットに注目が集まるけど、アルゼンチンのメッシ、テベス、リケルメのトリオもぜひ観てみたいなぁ。スペインは先日イチオシしておいた10代プレイヤーのセスクが無事選出されて一安心デス。
今回はArrested Developmentっす。先日、何気に自宅のCD棚のHip-Hopコーナーを眺めていて気付いたのだが、Arrested DevelopmentとそのリーダーSpeechのアルバムを合わせて10枚も持っていた。
実際彼らのオリジナル・アルバムは2枚のみだけど、ライブやリミックス・アルバム、再結成アルバムなんかを小まめにコレクションしていまシタ。さらにシングルCDも数枚あった。多分、僕が他に10枚もアルバム持っているHip-Hopアーティストはいない。まぁ、SpeechのソロはHip-Hopというよりもオーガニック・ソウルのアルバムだけどね。
Arrested Developmentは、ジョージア州アトランタでリーダーのSpeechを中心に結成されたグループ。彼らは単にHip-Hopグループというよりも、ダンサーやスピリチュアル・アドヴァイザーもメンバーに配し、生楽器を多用した演奏や、ライブでは植物や洗濯物を並べた生活感溢れたステージを演出するなど一大パフォーマンス集団と呼んだ方がいいのかもしれない。
そんなArrested Developmentのデビューアルバム『3 Years, 5 Months & 2 Days in the Life Of...』は、全世界で700万枚以上を超す大ヒットを記録し、「Tennessee」、「People Everyday」、「Mr. Wendal」という3曲の全米Top10ヒットを送り込んだ。
とにかく、彼らの作り出したHip-Hopは、当時大流行のギャングスタ・ラップとも、僕の大好きだったDe La Soul、A Tribe Called Quest、Jungle BrothersといったNative Tongues一派の脱力系Hip-Hopとも異なる、新しいタイプのHip-Hopって印象が強かったなぁ。
南部のアーシーで大らかな雰囲気がそのままライムやトラックになった“大地のHip-Hop”ってカンジだったよね。当時はHip-Hopと言えば、“ウエスト”や“イースト”であって、“サウス”なんてなかったもんね。
今でこそアトランタと聞けば、Outkast、Goodie Mob、Cee-Lo、Ludacris、Lil Jonなど数多くのHip-Hoアーティストの名前が思い浮かぶけど、そうした現在のサウス・シーンを代表するHip-HopアーティストとArrested Developmentが全く結び付かないところがまた面白い。
結局、Arrested Developmentは2ndアルバム『Zingalamaduni』(1994年)を発表するが翌1995年には解散し、Speechはソロ活動に入る。
多分、その特異性からコアなHip-HopファンほどArrested Developmentって敬遠される存在だと思うけど、アーシーでオーガニックなHip-Hopの原点として聴けば、今でも十分に楽しめるアルバムだと思いマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Mama's Always on Stage」
Buddy Guy「Snatch It Back and Hold It」ネタのハーモニカがアーシー&ブルージーでいいカンジのトラックに仕上がっている曲。このあたりの野暮ったさが逆に当時は新鮮だったね。Buddy Guyなんて激シブだよなぁ。
「People Everyday」
アルバムからの2ndシングル。タイトルからわかるようにSly & the Family Stone「Everyday People」ネタですが、全体はアーシーで少しラガ・テイストなトラックっす。地元新聞で黒人問題のコラムを書いていたSpeechらしく、アフリカ系アメリカ人の現状を辛辣なメッセージでえぐりマス。ライムには“俺はIce Cubeじゃないんだぜ!”なんて一節もありヤス。
「Mr. Wendal」
これもシングルヒットした軽快なナンバー。陽気でポップな雰囲気と裏腹に人種差別へのシニカルな目メッセージが印象的っす。
「Fishin' 4 Religion」
「Give a Man a Fish」
「U」
実にファンクなトラックがカッチョ良いナンバー3曲。このあたりはSly & the Family StoneやPrinceに影響を受けている気がしマス。
「Fishin' 4 Religion」は、信仰心の深い南部で、教会への信仰を皮肉ったビミョーなナンバー。Sly & the Family Stone「Stand」の♪ナ・ナ・ナ・ナ〜♪のフレーズなんかも飛び出してきマス。「Give a Man a Fish」はMinnie Riperton「When It Comes Down To It」ネタ。「U」はRamsey Lewis「Mighty Quinn」ネタのピアノループが印象的デス。
「Natural」
Earth,Wind & Fire「Sunshine」ネタのイナたいトラックと、大地のスピリットを感じるライムが彼ららしいナンバー。
「Tennessee」
グループの名を一躍有名にした大ヒット・シングル。Prince「Alphabet Street」ネタのトラックは、まさにオーガニックHip-Hopと呼ぶにふさわしい衝撃的なものでシタ。フィーチャーされているDionne Farrisのボーカルもいいですね。名曲「I Know」を含む彼女のソロ作『Wild Seed-wild Flower』(1994年)も隠れた逸品アルバムですよ!
「Washed Away」
不思議な浮遊感を持ったトラックが印象的なナンバー。The Persuaders「Thin Line Between Love and Hate」ネタ。
Speechのソロ作品は、Hip-Hop/R&Bのメインストリームとは無関係なカンジだけど、個人的にはオススメの作品ばかりっす。特に『Speech』(1996年)、『1998 Hoopla』(1998年)、『Spiritual People』(2000年)は今でも良く聴く愛聴盤っす。
Fugees、Erykah Badu、D'Angeloあたりが好きな人にはオススメだと思いマス。
ありがとうございます。
Speechの音楽を聴いていると、自然と胸が高鳴ってきます。
R&B/Hip-Hop的なサウンドなんだけど、感覚的にシンガーソングライターの作品を聴いている気分になるんですよね。
『Spiritual People』ならば、「So Much Folly」がメチャ好きです!
☆goさん
ありがとうございます。
当時、イースト在住でギャングスタ・ラップを聴いて(?)青春していたgoさんにとって、突如登場のサウスのアーシーなHip-Hopは違和感なかったのかな?