発表年:1974年
ez的ジャンル:ゲットー・メロウ・ジャズ
気分は... :グルーヴィーではありませんが・・・
今回はGil Scott-Heron & Brian Jackson『Winter In America』(1974年)です。
タイトルのせいか冬場になると聴きたくなる1枚です。
これまで当ブログで紹介したGil Scott-Heron作品は以下の4枚。
『Pieces Of A Man』(1971年)
『It's Your World』(1976年)
『Bridges』(1977年)
『Secrets』(1978年)
Gil Scott-Heron & Brian Jackson『Winter In America』(1974年)はGil Scott-Heron & Brian Jacksonの双頭名義アルバムの第1弾アルバムであり、アメリカ社会への痛烈なメッセージを突きつけた非常に評価の高いブラック・ミュージック作品です。
正直、本作には『It's Your World』に代表されるジャズ/ファンク/ソウル/ラテン等が融合したクロスオーヴァーなグルーヴ感はありません。殆どの曲がBrian Jacksonのエレピ/ピアノの伴奏と最小限のリズムのみというシンプルなものであり、作品にグルーヴ感を求める人はスルーした方がいいかもしれません(笑)
それでも本作が名盤の誉れ高いのは、当時のアメリカ社会に向けられたメッセージ性の高さにあると思います。その意味ではサウンドよりもメッセージに耳を傾ける作品なのかもしれません。
ただし、レア・グルーヴ・ファンにはお馴染みの名曲「The Bottle」のオリジナルも収録されており、そうした楽しみもある作品に仕上がっています。
メロウなエレピ/ピアノをバックにしたメッセージ・ソングは、スピリチュアル・ジャズ好きの人にもグッとくるはずです。。
全曲紹介しときやす。
「Peace Go With You, My Brother (As-Salaam-Alaikum) 」
平和への祈りと共にアルバムはスタートします。シリアスな空気の中でメロウに響くエレピの音色が印象的です。Jazz Liberatorz「What's Real 」、Lords of the underground「Lord Jazz (Hit Me On Time) 」ネタ。
「Rivers Of My Fathers」
Brian Jacksonの美しいピアノとGil Scott-Heronの心の叫びに疲れた心が癒されるゲットー・メロウ・ジャズ。絶望のふちで、一筋の光明を見いだすことができたような気分になる1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=sgauc85EdRc
「A Very Precious Time」
エレピの伴奏のみでGil Scott-Heronが切々と歌います。
「Back Home」
ようやく少しリズム感のある楽曲です。軽快なテンポとフルートの清涼感が印象的です。家に帰れれば、そこには希望が・・・
http://www.youtube.com/watch?v=hUze8BgDC8w
「The Bottle」
♪Uno dos tres cuatro♪のカウントと共にスタートする本作のハイライト。説明不要のレア・グルーヴ名曲ですね。格好良さで言えば、『It's Your World』収録のライブ・ヴァージョンの方が上ですが、やはりオリジナルである本ヴァージョンも外せません。エレピにフルートが絡んだ疾走感にグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=upKsTCKYm4E
Joe Bataan、Paul Weller、Big Boss Man等がカヴァーしています。また、Jungle Brothers「Black is Black」、Kenny Dope Gonzalez「Hittin' The Bottle」、Stop The Violence Movement「Self-Destruction」、Thursdays Love「Faithful (Bossa Nova Love) 」等でサンプリングされています。
Joe Bataan「The Bottle (La Botellita) 」
http://www.youtube.com/watch?v=CVnk13cYl08
Paul Weller「The Bottle」
http://www.youtube.com/watch?v=1XzvqE9UmkY
Big Boss Man「The Bottle」
http://www.youtube.com/watch?v=2BR51VXmzgc
Kenny Dope Gonzalez「Hittin' The Bottle」
http://www.youtube.com/watch?v=dcLAk_rOUB4
「Song For Bobby Smith」
「A Very Precious Time」同様、エレピの伴奏のみでGilが歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=oNU1QAiD4ws
「Your Daddy Loves You」
家族の温もりを感じる1曲です。聴いていると何か胸に込み上げてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=sD9Ku5qEPjQ
「H2Ogate Blues」
ウォーターゲイト事件を痛烈に皮肉ったトーキングブルース。ある意味Gil Scott-Heronの本領発揮かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=Rh3bgPJ4dBs
「Peace Go With You Brother (Wa-Alaikum-Salaam)」
ラストは「Peace Go With You, My Brother」のリプライズ。
Gil Scott-Heronの過去記事もご参照下さい。
『Pieces Of A Man』(1971年)
『It's Your World』(1976年)
『Bridges』(1977年)
『Secrets』(1978年)
痺れたもんです。
ありがとうございます。
「The Bottle」のラテン・ヴァージョンもいいですね!