発表年:1989年
ez的ジャンル:Def Jam系オーセンティックR&B
気分は... :体調回復せず・・・
風邪が直らず、仕事の生産性が上がらない低空飛行状態のここ2日間です。処理案件が溜まるばかりでマズイ状態かも?こんな時、個人事業者は辛いですねぇ(泣)
今回は元High Fashionの女性R&BシンガーAlyson Williamsのソロ・デビュー・アルバム『Raw』(1989年)です。
Alyson Williamsは1962年N.Y.生まれのR&Bシンガー。
父親はトランペット奏者Bobby Bookerという音楽家系で育ったAlysonは、1980年代にEric McClinton、Meli'sa MorganとHigh Fashionを結成し、『Feelin' Lucky』(1982年)、『Make Up Your Mind』(1983年)という2枚のアルバムをリリースしています(Meli'sa Morganは1983年に脱退し、代わりにMarcella Allenが加入)。
また、バック・ヴォーカルとして数多くのレコーディングに参加し、Melba Moore、The B.B. & Q. Band、 Unlimited Touch、Kurtis Blow、Fat Boys、Curtis Hairston、Tashan、Cashflow等の作品でAlyson Williamsの名を確認することができます。
そして、1985年にソロ・デビューした元同僚のMeli'sa Morganの後を追うように、1986年に1stソロ・シングル「Yes We Can Can」(Pointer Sistersのカヴァー)をリリースします。
1987年にはRussell Simmonsらが率いるDef Jamと契約し、1989年に1stソロ・アルバム『Raw』をリリースします。『Raw』は評論家やR&Bファンから高い評価を受け、R&BシンガーAlyson Williamsの名を広く知らしめました。
その後、1992年に2ndアルバム『Alyson Williams』、2004年に3rdアルバム『It's About Time』をリリースしています。日本人には久保田利伸とのデュエットで記憶されている方もいるかもしれませんね。
当時R&Bをお聴きの方であれば、本作『Raw』に鮮烈な印象をお持ちだった方も多いのでは?僕もそんな一人であり、個人的には1989年のベストR&B作品として愛聴していた記憶があります。
そもそもHip-Hopレーベルのイメージが強いDef Jamからこうした正統派の女性R&Bシンガーのアルバムがリリースされたことがサプライズですね。まぁ、アルバム前半のオーセンティックな作りに対して、後半は80年代後半らしい打ち込みアップ・チューン中心であり、アルバム全体で見れば必ずしも正統派とは言えない面もありますが・・・
それでもアルバム前半の6曲とCDのみ収録の最後の2曲の素晴らしさは格別です。
レーベル・メイトのOran 'Juice' Jones、Chuck Stanleyをはじめ、Ted Mills(Blue Magic)、女性ラッパーNikki Dがゲスト参加しています。また、Def Jamの総帥Russell Simmonsをはじめ、Vincent Bell、Alvin Moody、Denzil Miller、Ted Mills、Abdul Kalig、Trevor Bernard、Maurice Wingate、Bill Stephney、Eric Sadler、Hank Shockleeといった多彩なメンバーがプロダクションに関わっています。
オープニング曲「Just Call My Name」を聴けば、本作が名盤との評価を受ける理由がわかると思います。
全曲紹介しときやす。
「Just Call My Name」
アルバムで一番のお気に入りの極上ミディアム・スロウ。シングルとして全米R&Bチャート第4位となりました。男性バック・ヴォーカルのPhillip Ingram(James Ingramの弟、元Switch、元Deco)との絡みが大人のムードを高めてくれます。また、スムース・ジャズ・ファンにはお馴染みNajeeのサックスも効果的です。ちなみにドラムはOmar Hakim。
http://www.youtube.com/watch?v=paV1-ntPthM
「We're Gonna Make It」
Blue MagicのTed Millsをフィーチャー。バック・ヴォーカルもBlue Magicが務めています。プロデューサーのVincent Bell & Alvin Moodyが本作同じ1989年にリリースされたBlue Magicのアルバム『From Out Of The Blue』をプロデュースした関係で共演が実現したのだと思います。実にオーセンティックなソウル・チューンに仕上がっています。
「I Looked Into Your Eyes」
曲自体が今イチですが、その分Alysonのヴォーカリストとしての実力を認識できる1曲です。バック・コーラスはJocelyn Brown、Lisa Fischerが務めています。
「Not On The Outside」
The Momentsのデビュー・シングルにしてスウィート・ソウル名曲をカヴァー。シングルとして全米R&Bチャート第35位となりました。クワイエット・ストームな仕上がりがこの時代らしいですね。Jocelyn Brown、Chuck Stanleyらのバック・コーラス陣もいい仕事しています。
「Masquerade」
個人的には「Just Call My Name」、「How To Love Again」と並ぶお気に入り。美しいメロディとAlysonの素晴らしいヴォーカルを堪能できる感動のミディアム・スロウです。
「I'm So Glad」
レーベル・メイトChuck Stanleyをフィーチャーゴスペル調の荘厳な仕上がりが印象的です。
「My Love Is So Raw」
Nikki DのラップをフィーチャーしたNJSチューン。シングルとして全米R&Bチャート第12位となりました。それまでのスロウ〜ミディアム中心の展開から一転してしまうのがこの時代らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ZOdnIAhU-rw
「On The Rocks」
打ち込みサウンドによるダンス・チューン。今聴くとチープな音ですが、そのレトロ感が逆に面白かったりします。
「Still My No.1」
この曲も打ち込みサウンドによるダンス・チューン。この曲だけは昔も今もスキップしがちなのですが(笑)
「I Need Your Lovin'」
シングルとしてR&Bチャート第5位となりました。落ち着いた雰囲気にグッとくるアーバンなミディアム・スロウです。
http://www.youtube.com/watch?v=tlKrxqzR-5M
「Sleep Talk」
アルバムからの1stシングルとなったダンス・チューン。全米R&Bチャート第3位のヒットとなりました。Alysonにこういった楽曲が必要なのか?という点では疑問も感じますが、パンチの効いたアップ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=vIbnn7UDoiU
アナログ盤はここまでの10曲構成ですが、CDには「Make You Mine Tonight」、「How To Love Again」の2曲が追加収録されています。この2曲の追加でアルバム全体の魅力がグッとアップしていると思います。
「Make You Mine Tonight」
1987年にChuck Stanleyとのデュエットでシングル・リリースした楽曲。しっとりとした大人のラブ・バラードに仕上がっています。
「How To Love Again」
「Just Call My Name」、「Masquerade」と並ぶお気に入り曲。レーベル・メイトOran 'Juice' Jonesのアルバム『G.T.O. Gangsters Takin' Over』(1987年)でAlysonがゲスト参加した楽曲。何の変哲もない楽曲なのですが、Oran 'Juice' Jonesのへナへナ・ファルセット・ヴォーカルとAlysonのエモーショナル・ヴォーカルが化学反応を起こして不思議な魅力を醸し出します。
ご興味のある方はAlyson Williamsの他のアルバムやHigh Fashionのアルバムもどうぞ!
『It's About Time』(2004年)
High Fashion『Feelin' Lucky』(1982年)
High Fashion『Make Up Your Mind』(1983年)