発表年:1967年
ez的ジャンル:シニカル系UKロック
気分は... :俺って変な奴?
Kinksって、Beatles、Rolling Stones、The Whoと並ぶロック・バンドなのに、日本ではヤケに地味な印象だよね(The Whoも地味だけどそれ以上ってカンジ)。代表曲「You Really Got Me」でさえ、もしかしたらカヴァーしたVan Halenの方が有名かもしれないしね。
Kinksは、RayとDaveのDavies兄弟を中心に1962年に結成され、1964年にデビュー。3枚目のシングル「You Really Got Me」が米英で大ヒットし、ブレイクした。特に、そのファズ・ギターを特徴とした“キンキー・サウンド”は若者の支持を集めた。
マネジャーによって名付けられた「変な奴ら(Kinks)」というバンド名をRay Davies は嫌がっていたようだが、実際Kinksって少々風変わりなグループだと思う(いい意味でね)。
「You Really Got Me」、「All Day and All of the Night」などのキンキー・サウンド炸裂路線をまっしぐらに進めば、もっと別なタイプのスーパー・バンドになっていた気がする。でも、Kinksがキンキー・サウンドだった時代は最初の3rdアルバムくらいまでじゃないかな。それ以降は、英国的なシニカルさと、下町的な生活感に溢れた普段着感覚のロック・バンドといった印象がある。
Beatles、Rolling Stones、The Whoなんかと比較すると、ある意味最も英国らしいバンドと言えるかもしれませんね。僕は特別Kinksが好きという訳ではないが、たまに、この英国らしいシニカル・ロックを欲する気分になることがある。
何だかんだ言って、60年代のKinksのアルバムは殆ど持っているが、良く聴くのは『The Kink Kontroversy』(1966年)、『Face to Face』(1966年)、『Something Else』(1967年)の3枚っす。
その中から今回は(ライブ盤を除く)5thアルバム『Something Else』をチョイス。
前作『Face to Face』から、全曲オリジナルによるトータルなアルバムに着手したKinksが、その路線でさらに成熟を深めていったアルバムが『Something Else』だ。
僕はBeatlesで『Rubber Soul』(1965年)と『Revolver』(1966年)の2枚が一番好きだが、『Face to Face』、『Something Else』は、僕にとってはKinks版『Rubber Soul』、『Revolver』といったカンジかな。
オススメ曲を紹介しときやす。
「David Watts」
The Jamファンにはお馴染みのナンバー。まずアルバム『All Mod Cons』収録のJamのカヴァー・バージョンを聴き、Kinksのオリジナルを聴いたパターンの人が多いのではと思いマス。
Jamバージョンのイカしたビート感を期待して聴くと、このオリジナルは多少拍子抜けするかもしれない。でも、このイケてないカンジこそがKinksの魅力!
「Death Of A Clown」
Dave Daviesのソロ名義でシングルヒットした曲。道化師というテーマや、トラッド風味の素朴なカンジがKinksらしい。
「Two Sisters」
Nicky Hopkinsによるハープシコードが、曇り空のロンドンを思い起こさせる哀愁の美メロ・ナンバー。とっても好きっす。
「No Return」
Kinks流ボッサといった趣きのソフトなナンバー。こんなオシャレなナンバーはKinksらしくないかも(笑)
「Tin Soldier Man」
マーチ風の楽しげなナンバー。リラックス・ムードの華やかなカンジがいいっす。
「Situation Vacant」
僕の一番のお気に入りナンバー。アルバム中一番ロックっぽい曲かも?ファンキーなカンジが文句なくカッチョ良いっす!
「Lazy Old Sun」
1967年という時代を反映した、とってもサイケなナンバー。Kinksのシニカルで曇った雰囲気と、浮遊感のあるサイケ・サウンドがやけにマッチしてるよね。多分、Beatlesの名曲「Strawberry Fields Forever」が好きな人は気に入ると思いマス。
「Afternoon Tea」
全英No1に輝いた名曲「Sunny Afternoon」路線のRay Daviesらしいナンバー。Ray DaviesのPaul McCartneyあたりにも通じるポップ・センスもカンジます。
「End Of The Season」
小鳥の鳴き声で始まり、ムード・シンガーのような気取ったRay Daviesのボーカルが何か笑えるナンバー。
「Waterloo Sunset」
全英チャート2位まで昇った名曲。この曲が一番スキという方も多いのでは?メロディ・メーカーとしてのRay Daviesの才能を十分発揮してくれた英国らしいポップ・ナンバー。Beatles風のコーラスもイイ感じですな。
この後、『The Vilage Green Preservation Society』(1968年)、『Arthur or the Decline and Fall of the British Empire』(1969年)、『Lola Vs Powerman And The Moneygoround : Pt.1』(1970年)といったコンセプト・アルバムを発表し続ける。このあたりだと、個人的には名曲「Lola」を収めた『Lola Vs Powerman And The Moneygoround : Pt.1』が一番スキかなぁ。
『The Vilage Green Preservation Society』は、落ち着いたイナたいカンジがKinksというかRay Daviesらしいですよね。この落ち着きが、ますます彼らを地味な存在にするんだと思いますが(笑)
1964年秋に日本でもはやりました。
あの路線を進めばスーパーバンドに
なっていたと思います。同感です。
ありがとうございます。
売れ線路線に進まなかったからこそ、偉大なバンドとして今日でも評価されるのかもしれませんね。