2006年06月04日

The Kinks『Something Else』

最も英国らしいUKロック・バンド Kinksの成熟ぶりを示した作品☆The Kinks『Something Else』
Something Else by the Kinks
発表年:1967年
ez的ジャンル:シニカル系UKロック
気分は... :俺って変な奴?

Kinksって、BeatlesRolling StonesThe Whoと並ぶロック・バンドなのに、日本ではヤケに地味な印象だよね(The Whoも地味だけどそれ以上ってカンジ)。代表曲「You Really Got Me」でさえ、もしかしたらカヴァーしたVan Halenの方が有名かもしれないしね。

Kinksは、RayとDaveのDavies兄弟を中心に1962年に結成され、1964年にデビュー。3枚目のシングル「You Really Got Me」が米英で大ヒットし、ブレイクした。特に、そのファズ・ギターを特徴とした“キンキー・サウンド”は若者の支持を集めた。

マネジャーによって名付けられた「変な奴ら(Kinks)」というバンド名をRay Davies は嫌がっていたようだが、実際Kinksって少々風変わりなグループだと思う(いい意味でね)。

「You Really Got Me」、「All Day and All of the Night」などのキンキー・サウンド炸裂路線をまっしぐらに進めば、もっと別なタイプのスーパー・バンドになっていた気がする。でも、Kinksがキンキー・サウンドだった時代は最初の3rdアルバムくらいまでじゃないかな。それ以降は、英国的なシニカルさと、下町的な生活感に溢れた普段着感覚のロック・バンドといった印象がある。

BeatlesRolling StonesThe Whoなんかと比較すると、ある意味最も英国らしいバンドと言えるかもしれませんね。僕は特別Kinksが好きという訳ではないが、たまに、この英国らしいシニカル・ロックを欲する気分になることがある。

何だかんだ言って、60年代のKinksのアルバムは殆ど持っているが、良く聴くのは『The Kink Kontroversy』(1966年)、『Face to Face』(1966年)、『Something Else』(1967年)の3枚っす。

その中から今回は(ライブ盤を除く)5thアルバム『Something Else』をチョイス。

前作『Face to Face』から、全曲オリジナルによるトータルなアルバムに着手したKinksが、その路線でさらに成熟を深めていったアルバムが『Something Else』だ。

僕はBeatles『Rubber Soul』(1965年)と『Revolver』(1966年)の2枚が一番好きだが、『Face to Face』、『Something Else』は、僕にとってはKinks版『Rubber Soul』、『Revolver』といったカンジかな。

オススメ曲を紹介しときやす。

「David Watts」
The Jamファンにはお馴染みのナンバー。まずアルバム『All Mod Cons』収録のJamのカヴァー・バージョンを聴き、Kinksのオリジナルを聴いたパターンの人が多いのではと思いマス。

Jamバージョンのイカしたビート感を期待して聴くと、このオリジナルは多少拍子抜けするかもしれない。でも、このイケてないカンジこそがKinksの魅力!

「Death Of A Clown」
Dave Daviesのソロ名義でシングルヒットした曲。道化師というテーマや、トラッド風味の素朴なカンジがKinksらしい。

「Two Sisters」
Nicky Hopkinsによるハープシコードが、曇り空のロンドンを思い起こさせる哀愁の美メロ・ナンバー。とっても好きっす。

「No Return」
Kinks流ボッサといった趣きのソフトなナンバー。こんなオシャレなナンバーはKinksらしくないかも(笑)

「Tin Soldier Man」
マーチ風の楽しげなナンバー。リラックス・ムードの華やかなカンジがいいっす。

「Situation Vacant」
僕の一番のお気に入りナンバー。アルバム中一番ロックっぽい曲かも?ファンキーなカンジが文句なくカッチョ良いっす!

「Lazy Old Sun」
1967年という時代を反映した、とってもサイケなナンバー。Kinksのシニカルで曇った雰囲気と、浮遊感のあるサイケ・サウンドがやけにマッチしてるよね。多分、Beatlesの名曲「Strawberry Fields Forever」が好きな人は気に入ると思いマス。

「Afternoon Tea」
全英No1に輝いた名曲「Sunny Afternoon」路線のRay Daviesらしいナンバー。Ray DaviesのPaul McCartneyあたりにも通じるポップ・センスもカンジます。

「End Of The Season」
小鳥の鳴き声で始まり、ムード・シンガーのような気取ったRay Daviesのボーカルが何か笑えるナンバー。

「Waterloo Sunset」
全英チャート2位まで昇った名曲。この曲が一番スキという方も多いのでは?メロディ・メーカーとしてのRay Daviesの才能を十分発揮してくれた英国らしいポップ・ナンバー。Beatles風のコーラスもイイ感じですな。

この後、『The Vilage Green Preservation Society』(1968年)、『Arthur or the Decline and Fall of the British Empire』(1969年)、『Lola Vs Powerman And The Moneygoround : Pt.1』(1970年)といったコンセプト・アルバムを発表し続ける。このあたりだと、個人的には名曲「Lola」を収めた『Lola Vs Powerman And The Moneygoround : Pt.1』が一番スキかなぁ。
posted by ez at 00:46| Comment(4) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに日本ではあまりパッとしない雰囲気はありますね。アルバムはあまり持ってないけど、ベスト盤以外では『ビレッジグリーンプリザベイションソサエティ』が好きですね。これは傑作だと思いますよ。デビッドワッツはJAMよりキンクスのオリジナルを先に聴きました。70年代のセルロイドヒーローズもNHKFMラジオのクロスオーバーイレブン(この番組は好きでよくエアチェックしました)で初めて聴いて気にいりましたね。
Posted by マルチP at 2006年06月05日 01:57
☆マルチPさん

『The Vilage Green Preservation Society』は、落ち着いたイナたいカンジがKinksというかRay Daviesらしいですよね。この落ち着きが、ますます彼らを地味な存在にするんだと思いますが(笑)
Posted by ez at 2006年06月06日 00:39
You Really Got Me は
1964年秋に日本でもはやりました。
あの路線を進めばスーパーバンドに
なっていたと思います。同感です。
Posted by あばちゃん at 2010年05月07日 23:37
☆あばちゃんさん

ありがとうございます。
売れ線路線に進まなかったからこそ、偉大なバンドとして今日でも評価されるのかもしれませんね。
Posted by ez at 2010年05月08日 15:30
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