2011年03月23日

Seu Jorge『Samba Esporte Fino』

ミクスチャーなサンバ・ファンクが炸裂するSeu Jorgeの1stソロ☆Seu Jorge『Samba Esporte Fino』
サンバ・エスポルチ・フィーノ
発表年:2001年
ez的ジャンル:ミクスチャー系サンバ・ファンク/ソウル
気分は... :サンバの鼓動が生きる歓びを!

今回は俳優/ミュージシャンとして活躍するブラジル人アーティストSeu Jorgeのソロ・デビュー・アルバム『Samba Esporte Fino』(2001年)です。

Seu Jorge(本名:Jorge Mario da Silva)は1970年リオデジャネイロ生まれのシンガー/ミュージシャン/俳優。

20歳の頃にギタリストのGabriel Mouraと出会い、彼が所属していた劇団のミュージカルに参加し、役者の経験を積みます。

1996年にGabriel MouraらとFarofa Cariocaを結成し、サンバ、ファンク、ロック、レゲエ、Hip-Hopを取り入れたミクスチャー・サウンドと演劇的なパフォーマンスで注目を集めます。Farofa Cariocaは、1998年に1stアルバム『Moro no Brasil』をリリースしますが、Seu Jorgeはその後グループを脱退してしまいます。

ミュージシャンとしてのSeu Jorgeはソロ活動に転じ、『Samba Esporte Fino』(2001年)、『Cru』(2004年)、『The Life Aquatic Studio Sessions』(2005年)、『America Brasil』(2007年)といったソロ作品や、"女性版Lenine"とも言われる女性シンガーAna Carolinaとの共演アルバム『Ana & Jorge』(2005年)、Mario Cも関与しているグループAlmazとの共演アルバム『Seu Jorge & Almaz』(2010年)といった作品をリリースしています。

Seu Jorgeに幸運をもたらしたのは、Fernando Meirelles監督の映画『City of God(原題:Cidade de Deus)』(2002年公開)への出演でした。リオデジャネイロのスラム街におけるストリートチルドレンの抗争を描いたこの映画で、Seu Jorgeは二枚目のMane役を演じました。

『City of God』は、2002年のカンヌ国際映画祭の正式出品作品となり、2004年のアカデミー賞では監督賞など4部門にノミネートされました。『City of God』への注目と同時に、Seu Jorgeの知名度も上がっていきます。

その後もMika Kaurismaki監督によるブラジル音楽のルーツを巡る音楽ドキュメンタリー映画『Moro no Brasil』(2002年)など数多くの映画に出演しています。

日本でも『City of God』を機にSeu Jorgeへの注目が高まり、2ndアルバム『Cru』(2004年)の国内盤が発売され、さらに来日公演を果たすと同時に、1stアルバム『Samba Esporte Fino』の国内盤もリリースされるなど、一気にその名を知らしめることになりました。

Seu Jorgeがゲスト参加したToninho Horta『Harmonia & Vozes』の記事でも書きましたが、最近『Samba Esporte Fino』『Cru』をよく聴いていました。

厳密には昨年リリースした『Seu Jorge & Almaz』が契機になり、前述の2枚を改めておさらいしていたという感じですね。

『Seu Jorge & Almaz』では久々にファンキー路線のSeu Jorgeを堪能でき、喜んでいたファンの方も多かったのでは?

『Cru』以降のシンプルなスタイルもいいですが、今日紹介する『Seu Jorge & Almaz』の強烈なサンバ・ファンクを聴いてしまうと、ファンキーな作品を期待してしまいますよね。

個人的にも『Cru』よりも『Seu Jorge & Almaz』のサウンドを支持してしまいますね。。

プロデュースはBeastie BoysBeckBebel Gilberto等のプロデュースで知られるMario C(Mario Caldato)が務めています。前述の『Seu Jorge & Almaz』にもMario Cが絡んでいます。

Jorge BenCartolaBob Marleyとでも言いたくなるSeu Jorgeの感性と、ミクスチャー作品ならばお手のもの!Mario Cの手腕が上手く噛み合って、素晴らしいブラジリアン・ブラック・ミュージックをクリエイトしていると思います。

なお、本国ブラジル以外で2003年に『Carolina』のタイトルでジャケ違い・同内容の作品がリリースされています。

『Carolina』(2003年)
Carolina

ブラジリアン・ブラックらしいサンバ・ファンクが生きる歓びを与えてくれます!

全曲紹介しときやす。

「Carolina」
Seu Jorge作。オープニングはJorge Ben好きの人であれば気に入るであろうサンバ・ソウル。グイグイとSeu Jorgeの世界に引き込まれていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=oBGFwr-1WHw

「Chega no Suingue」
Seu Jorge作。日々の不満・不安を忘れて楽しもう!と呼びかけるサンバ・チューン。アーバン・メロウなテイストも感じられて大好きな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=H7lgxOnRlYE

「Mangueira」
Seu Jorge作。ブラジル音楽の至宝、偉大なるサンビスタCartolaがの命名した老舗Escola de Samba(サンバ・チーム)である"Mangueira"を讃えた1曲。冒頭の歌詞の一節はCartolaの名曲「Alvorada」からの引用です。曲自体はファンキーなリズムと豪快なホーン隊が鳴り響き、ヴォコーダーも加わったゴキゲンなサンバ・ファンクに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ybs1UlFjT6k

Cartola「Alvorada」
 http://www.youtube.com/watch?v=QFfwRYf3YzE

「Pequines e Pitbull」
Farofa Carioca時代の盟友Gabriel Mouraらの作品。ブラジルの庶民の何気ない日常を歌った軽快なサンバ・チューン。ブラジル人の生活にサンバがいかに根付いているのかを再認識できる1曲です。

「Te Queria」
Elisio de Buzios作。これぞブラジリアン・ブラック・ミュージックといった感じのサンバ・ファンク。グルーヴィーなサウンドと哀愁のメロディのバランスが最高です。
http://www.youtube.com/watch?v=gRfkZYL_lf8

「O Samba Tai」
Seu Jorge/Sergio Pell作。アコースティックなグルーヴ感が心地好いサンバ・チューン。

「Hagua」
Seu Jorge/Gabriel Moura/Jovi Joviniano作。地球環境問題をテーマにしたレゲエ・チューン。女性コーラスも含めてBob Marley & The Wailers風です。
http://www.youtube.com/watch?v=V2xfmNfG73c
(Seu Jorge - Gabriel Moura - Jovi Joviniano)

「Samba que nem Rita a Dora」
Luis Carlos da Vila作。トラディショナルな仕上がりのサンバ・チューン。

「Mada」
Seu Jorge作。美しきメロウ・ソウル。ソウルフルな女性コーラスが良い雰囲気を醸し出してくれます。ブラジル音楽好き以外もグッとくる仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=yJCNZdiAsWs

「Funky Baby」
タイトルの通り、ファンキーに突っ走るブラジリアン・ファンク。レア・グルーヴ系の70年代ファンク・サウンドが好きな人は気に入ると思います。ラップ調のヴォーカルにスクラッチも飛び出すのはSeu JorgeとMario Cの組み合わせらしいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=TlN4e3BUVww

「Em Nagoya Eu Vi Eriko」
Jorge Benjor作品のカヴァー。タイトルの通り、名古屋の日本人エリコさんのことを歌った作品です。オリエンタルなイントロが日本人にはビミヨーに感じられますが(笑)。レゲエとファンクのミクスチャーしたサウンドはなかなか魅力的です。
http://www.youtube.com/watch?v=eaDxKKnZzIc

「De Alegria Raiou O Dia」
70年代後半に活躍したシンガー・ソングライターCarlos Dafeの作品。本人がゲスト参加しています。ブラックなグルーヴ感のあるファンク・サウンドには侮れない格好良さがあります。
http://www.youtube.com/watch?v=KXfMyVl8J-U

他のSeu Jorge作品もチェックを!

『Cru』(2004年)
Cru

『The Life Aquatic Studio Sessions』(2005年)
Life Aquatic Studio Sessions

『America Brasil』(2007年)
American Brasil

Ana Carolina/Seu Jorge『Ana & Jorge』(2005年)
Ana & Jorge

Seu Jorge & Almaz『Seu Jorge & Almaz』(2010年)
Seu Jorge & Almaz

お手軽なベスト盤も昨年リリースされました。

『Perfil』(2010年)
PERFIL

映像作品をチェックするのも楽しいかも?

『City of God』(2002年)
シティ・オブ・ゴッド [DVD]

『Moro no Brasil』(2002年)
モロ・ノ・ブラジル [DVD]
posted by ez at 06:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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