2006年06月15日

Astrud Gilberto『Talkin' Verve』

“ボサノヴァの女王”のオシャレな60年代後半作品集☆Astrud Gilberto『Talkin' Verve』
Talkin' Verve: Roots Of Acid Jazz
発表年:1998年
ez的ジャンル:カフェ・ミュージック系ボサノヴァ
気分は... :さりげなく...

今日はさりげにオシャレなカフェ・ミュージック気分!
ということで、Astrud Gilberto『Talkin' Verve』をセレクト!

Astrud Gilbertoと言えば、“ボサノヴァの女王”と呼ばれたブラジル人歌手ですね。
17歳の時にボサノヴァ創生メンバーの一人であるJoao Gilbertoと結婚(何でもNara Leaoの紹介だったとか)。

それまで歌手として活動をしていたわけではないAstrudだったが、夫Joao Gilbertoとサックス奏者Stan Getzによるボサノヴァを世界中に知らしめた会心作『Getz/Gilberto』(1963年)が彼女の運命を変えた。

プロデューサーのCreed TaylorがAstrudの歌声にピピンと来て、永遠のボサノヴァ・ナンバー「The Girl From Ipanema(イパネマの娘)」(Antonio Carlos Jobim作品)のボーカルをAstrudに託したのだった。結果として、「The Girl From Ipanema」はグラミー賞の年間最優秀レコードに選ばれる大ヒットとなり、Astrudは一躍“ボサノヴァの女王”として注目される存在となったのだった。

今回紹介するのは、1998年に編集されたAstrudのヴァーヴ時代(60年代後半)のベスト・アルバム『Talkin' Verve』っす。
具体的には、『Look To The Rainbow』(1966年)、『A Certain Smile A Certain Sadness』(1966年)、『Beach Samba』(1967年)、『Windy』(1968年)、『I Haven't Got Anything Better To Do』(1969年)、『September 17, 1969』(1969年)の5作品からのセレクトっす。

僕は『Getz/Gilberto』『Gilberto With Turrentine』(1971年) の2枚のアルバムは持っていたけど、それ以外のAstrudって殆ど聴いたことがなかった。そんな中、渋谷のタワーレコードで偶然試聴して一発で気に入ったのがこのアルバムだった。初めは、Astrudの作品だとも、60年代の作品を集めたベスト盤だとも全く気付かなかった。ジャケの雰囲気や、そのサウンドから結構最近のアーティストの作品だとばかり思っていまシタ。

『Getz/Gilberto』の「The Girl From Ipanema」あたりと比較すると、格段にモダンなサウンドになっていヤス。軽薄な言い方かもしれないけど、まさにカフェ・ミュージックってカンジのオシャレなボッサ作品集です。

オススメ曲を紹介しときやす。

「Beginnings」
僕が試聴して一発で気に入ったというのがこの曲デス。キャッチーなメロディ、Astrudの涼しげな声、そしてAlzo & Udineあたりに通じるフォーキーなグルーヴ感...サイコーの1曲デス。しかも8分以上の長尺ナンバー。なんか12インチ・シングルを先取りしていたような作りですな。ファンの方ならピンとくるかもしれませんが、Chicagoのデビューアルバム『Chicago Transit Authority』に収録のアノ曲のカヴァーです。

「On My Mind」
Eumir Deodatoのアレンジによるオーケストラが実に優雅なナンバー。

「Maria Quiet」
出だしがDeep Purple「Smoke On The Water」にソックリなのが笑えるボッサ・ナンバー。

「Wailing Of The Willow」
Harry Nilssonの隠れた名曲のカヴァー。このAstrudのキュートさはたまりませんね。聴いているだけで恋心が湧き出てきマス。

「Crickets Sing For Anamaria」
この曲もEumir Deodatoのアレンジが光る軽快なボッサ・ナンバー。

「Windy」
ソフトロック・ファンにはお馴染みAssociationによる大ヒット曲のカヴァー。このAstrudのバージョンは、かなりグルーヴィーな仕上がりになっていマス。

「Holiday」
続いてはBee Geesの名曲のカヴァー。軽快ながらもオリジナル同様にどこか物悲しげな仕上がりデス。

「Stay」
疾走感あるリズムととフルートやビブラフォンの怪しげな音色が60年代後半のサントラを彷彿させるナンバー。

「She's A Carioca」
Jobim作品をGil Evans' Orchestraが見事なアレンジで聴かせてくれマス。

「So Nice (Summer Samba)」
Marcos Valleの名曲カヴァー。60年代のB級お色気&アクション・シネマあたりのバックに流れているとピッタリだね。オルガンの音色が何ともイイっす。

「Nao Bate O Corocao」
Eumir Deodato作品。この曲も聴いているとルパン三世の不二子ちゃんのお色気シーンが思い浮かぶ。なぜだろうね?

ボサノヴァ・ファンもそうだけど、60年代B級シネマのラウンジ感覚のサントラあたりが好きな人なんかにピッタリかも?
posted by ez at 03:07| Comment(6) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ルックトゥザレインボウからウィンディまでのアルバム4枚、最近聴いてなかったけどCDで持ってました…。
心地良いアレンジ、録音は流石ですよね。『ビーチサンバ』なんかには聴いてるとふわふわ浮き上がりそうな曲もあってGOOD!!
シカゴのビギニングスはオリジナルもいいけどこんなグルービィになっちゃうのもまたイイねぇとアレンジマジックを感じました。
ただアストリッドの素人臭さプンプンのノンビブラートボーカルは…
W杯チェコ対アメリカ戦でのチェコのロシツキーの2シュートそれにしても見事でした。
特に一本目のゴール横に突き刺さるミドルシュートは…あれは何だ…スロー再生を観ててスッゲェ〜w(゚o゚)wと。これぞ技あり。
Posted by マルチP at 2006年06月15日 14:12
☆マルチPさん

僕はAstrudのヘタウマ・ボーカルが逆に好きですね。
上手すぎるボーカルよりも、ヘタウマなボーカルの方が、ボサノヴァの魅力であるサウダージ感覚にマッチしている気がします。

W杯はミドルのファイン・ゴールが多いですね。個人的には開幕戦のフリングスのゴールがベスト・ゴールだと思います。

チェコの場合、ロシツキーがあれだけ活躍できるのは、相棒のガラセクの存在が大きいと思います。ロシツキーの攻撃的センスを生かすため、中盤での守備を一手に引き受けてくれる。こういう黒子がいるチームは強い!イングランドが超豪華メンバーのMF4人を配しながら、攻撃が機能しないのはガラセクのような選手が不在だからでしょう。
Posted by ez at 2006年06月16日 01:33
確かにアストラッドさんのボーカルはボサノバにはぴったりはまってますよね。でも同じヘタウマならば性は違いますけどA.C.ジョビンのボーカルの方が個人的には好きデス(ウマじゃないかな?…単にヘタ?)。ブラジルの女性ボーカルでは今のところクラウデッチ・ソアレスがマイフェイバリット デス。
★★★★★★★★★★
フリングスのシュートはまだ観てませんTVの特集の時確認します。
世界のサッカーにはまだまだ疎いので。チェコには黒子がいるとは思いませんでした。ezさんの解説は勉強になりますね。
断崖絶壁から片足出してるジーコジャパンには黒子に相当する選手は残念ながらいないんでしょうか(_- )?
Posted by マルチP at 2006年06月16日 15:23
☆マルチPさん

Claudette SoaresってAstrudより先んじて「イパネマの娘」を歌っていた人ですよね?
未聴ですが、昔のレコードはかなり高値取引されているみたいだし、機会があれば聴いてみたいですね。
Posted by ez at 2006年06月17日 00:17
クラウデッチ・ソアレスはCDで4作品持ってるんですが、タワーレコードの渋谷店などにならCDが何種か置いてあるはずです(チェックしてみて下さい)。
天才的に上手い人だと思いますが、情感溢れる優美な歌唱とブラジリアン名アレンジが溶け込んだ極上の音に酔いしれてしまいます。
録音の良さには必ずしも恵まれてませんが、大推薦のアーティストデス★
Posted by マルチP at 2006年06月17日 02:50
☆マルチPさん

渋谷タワーに行った時にでもチェックしておきます。
Posted by ez at 2006年06月18日 00:46
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