発表年:1975年
ez的ジャンル:ソフィスティケイト系ジャズ・サンバ
気分は... :水色のロマン・・・
今回はブラジルのジャズ・サンバの最高峰グループTamba Trioが70年代にオリジナル・メンバーで復活したRCA第2弾アルバム『Tamba Trio』(1975年)です。"ブルー・タンバ(青タンバ)"の通称でお馴染みの作品ですね。
これまで当ブログで紹介したTamba Trio、Tamba 4作品は以下の3枚です。
Tamba Trio『Avanco』(1963年)
Tamba 4『We And The Sea』(1967年)
Tamba 4『Samba Blim』(1968年)
Luiz Eca、Bebetoを中心にジャズ・サンバ・コンボの最高峰として60年代に大きな役割を果たしてきたのがTamba Trio、Tamba 4でした。
そんな彼らが70年代にLuiz Eca、Helcio Milito、Bebetoというオリジナル・メンバーで復活し、RCAで制作したアルバムが『Tamba』(1974年)と『Tamba Trio』(1975年)です。そのジャケの色から前者は"ブラック・タンバ(黒タンバ)"、後者は"ブルー・タンバ(青タンバ)"の通称で親しまれています。
Luis Eca-Bebeto-Helcio Milito名義で制作された"ブラック・タンバ"は、ジャケ同様に前衛的な印象のアルバムでした。それに対して、Tamba Trio名義で制作された本作"ブルー・タンバ"は、同じくジャケ同様に美しくメロウな印象のアルバムに仕上がっています。
また、"ブラック・タンバ"がオリジナルとカヴァーが混在したインストの比重が高いアルバムであるに対して、"ブルー・タンバ"は全曲カヴァーで占められ歌の比重が高まっています。
このように対照的な"ブラック・タンバ"と"ブルー・タンバ"ですが、どちらもTamba Trioらしい魅力的な作品だと思います。
ただし、いろいろな意味で今聴きたいのは"ブルー・タンバ"ですね。
メンバー3名以外にIvan Lins、Toninho Horta、Joao Bosco、Danilo Caymmi等の楽曲の作者自身が演奏に参加しています。
当時の邦題は『水色のロマン』だったそうです。
ジャズ・サンバの最高峰グループが奏でる"水色のロマン"を堪能しましょう!
全曲紹介しときやす。
「3 Horas Da Manha」
邦題「午前3時」。Ivan Lins/Waldemar Correia作。
各種コンピ、Mix CD等にも収録の人気曲。作者のIvan Linsがギターで参加しています。『水色のロマン』のアルバム・タイトルに相応しい爽快メロウ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=NztL3k0it7A
「Visgo De Jaca」
邦題「ジャカの鳥かご」。Rildo Hora/Sergio Cabral作。作者のRildo Horaもハーモニカで参加。シンセの音色が70年代らしいフュージョン・テイストのジャズ・サンバに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=6QzTWeNSSe0
「Ou Bola Ou Bulica」
邦題「ビー玉遊び」。Joao Bosco/Aldir Blanc作。作者Joao Boscoがギターで参加しています。ジャズ・サンバとフュージョンとロックが入り混じったTamba Trioらしいクロスオーヴァー・チューンに仕上がっています。特にエレクトリック・ギターの音色が生み出す妖しげ空気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=o3EPA1zA4Gw
「Beira-Mar」
邦題「海岸」。Ivan Lins作。ここでもIvan Lins自身がギターで参加しています。Bebetoの爽快なフルートが先導するインスト・チューンです。
http://www.youtube.com/watch?v=RuwfL_-vuJI
「Olha Maria (Amparo)」
Antonio Carlos Jobim作。以前にヴォーカル入りのChico Buarqueヴァージョンも紹介しています。ここではLuiz Ecaのピアノ&シンセ、Bebetoのフルート、Helcio Militoのベルが印象的な哀愁モードのインスト・チューンに仕上がっています。
「Chorinho No. 1」
邦題「ショリーニョNo.1」。Durval Ferreira作。小粋なアレンジのインスト・チューンです。お上品な感じがグッド!
「Jogo Da Vida」
邦題「人生ゲーム」。Danilo Caymmi作。Danilo本人がギターで参加しています。クールかつ軽快な魅力に溢れたジャズ・サンバに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=eSAELMVBRqg
「Sanguessuga」
邦題「蛭」。Toninho Horta/Fernando Brant作。作者Toninho Hortaがギターで参加しています。Horta自身のヴァージョンは『Terra Dos Passaros』(1979年)に収録されています。ミナスの香り漂うToninho Hortaらしい雄大なメロディと派手さはないもののツボを押さえた演奏が実にマッチしています。Sergio Mendesも『Horizonte Aberto』(1979年)でカヴァーしていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=CjbeAQs9CYs
「Janelas」
邦題「窓」。Ivan Lins/Ronaldo Monteiro作。ここでもIvan Linsはギターで参加。美しいメロディが印象的なインスト・チューンです。
「Contra O Vento」
邦題「風に向かって」。Danilo Caymmi/Ana Maria Borba作。ここでもDanilo自身がギターで参加。ミステリアスな雰囲気が漂うジャズ・ボッサ・チューンです。寂しげなヴォーカルとクールな演奏のバランスが絶妙です。
「Beijo Partido」
邦題「別れのくちづけ」。Toninho Horta作のミナスらしいミステリアスな美しさが漂う名曲。Toninho Horta自身のヴァージョンは『Terra Dos Passaros』および以前に紹介した『Diamond Land』に「Broken Kiss」のタイトルで収録されています。当ブログではMilton Nascimentoのカヴァーも紹介済みです。Toninho Horta自身がギターで参加した本ヴァージョンもエレガントな魅力に溢れています。
http://www.youtube.com/watch?v=EKL0PmEtlYQ
「Chamada」
ラストはHelio Delmiro/Paulo Cesar Pinheiro作の軽快メロウなインスト・チューンで爽快に締め括られます。
セットで"ブラック・タンバ(黒タンバ)"もどうぞ!
Luis Eca-Bebeto-Helcio Milito『Tamba』(1974年)
Tamba Trio、Tamba 4の過去記事もご参照下さい。
Tamba Trio『Avanco』(1963年)
Tamba 4『We And The Sea』(1967年)
Tamba 4『Samba Blim』(1968年)