発表年:1972年
ez的ジャンル:グルーヴィー&ビューティフルSSW
気分は... :きっと素敵な気分になれる!
今回はフリーソウルで一躍人気となったデュオAlzo & Udineのメンバー故Alzo Fronteが生前にリリースした唯一のソロ・アルバム『Alzo』(1972年)です。
Alzo FronteはN.Y.マンハッタン生まれのシンガー・ソングライター。
1960年代前半から、友人とのデュオAl & Carlとしてグリニッジ・ヴィレッジのフォーク・クラブに出演するようになり、この時にRichie Havens、Jose Felicianoらと共演しています。また、従兄弟でありポップシンガーのFrank Gari絡みでのレコーディングも経験しています。
Al & Carl解散後はジュニア・ハイ・スクール時代の仲間とグループを結成し、1967年にはKeepers Of The Light名義でシングル「And I Don't Want Your Love/My Babe」をリリースしています。
Keepers Of The Lightとしての活動は短命に終わりますが、メンバーのUdine(vo、per)とデュオとして活動を続行させ、1967年にAlzo & Udineとしての初シングル「Sitting In The Park/So Down」をリリースしています。
Alzo & Udineとしては、「I Can't Believe It/Lead You Down That Road」(1968年)、「C'mon And Join Us!/Define」(1968年)、「Rain」(1969年)、「Hot Time In The City/All Of My Lovin'」(1969年)という4枚のシングルと、アルバム『C'mon And Join Us!』(1968年)をリリースしています。
しかしながら、Alzo & Udineは商業的な成功を収めることはできずデュオは解散。Alzoも一度は一般の仕事に就く決意をしますが、Ampexとの契約に成功し、Bob Doroughをプロデューサーに迎えてソロ・アルバム『Looking For You』(1971年)をリリースします。
『Looking For You』(1971年)
アルバムからは「That's Alright (I Don'T Mind It)/You're Going」がシングル・カットされ、全米チャートのTop200にチャート・インしましすが、その矢先にAmpexのレコード部門が閉鎖するという不運に見舞われます。
その後、Bell Recordsと契約し、『Looking For You』は『Alzo』と改題され、ジャケも一新して1972年に再リリースされています。今度は「Don'T Ask Me Why/You're Going」、「Looks Like Rain/Some People」がシングル・カットされています。
さらに同じBob Doroughのプロデュースでアルバムを完成させますが、今度はBell Recordsが解体となり、2ndソロはお蔵入りとなってしまいました。
1975年にシングル「Sunday Kind Of Love/Everybody Kows」をリリースした後は、音楽シーンから消えてしまったAlzoでしたが、1990年代のフリーソウルのムーヴメントでAlzo & Udine時代の「Hey Hey Hey She's O.K.」が人気曲となり、Alzo Fronteの名が注目されるようになります。
さらには2003年には『Alzo』のCD化も実現し、Alzo本人も遠い日本での再評価を大いに喜んでいたようです。しかし、そんな矢先の2004年2月心臓発作でAlzoは急逝してしまいます。享年56歳、あまりに突然の訃報でした。
Alzo & Udine「Hey Hey Hey She's O.K.」は、数あるフリーソウル・クラシックの中でも最も僕が魅了された曲の一つです。"60年代後半にこんなに格好良いパーカッシヴなフォーキー・グルーヴがあったのか"と驚愕したものでした。その流れ購入したAlzo & Udine唯一のアルバム『C'mon And Join Us!』(1968年)もその素晴らしい内容に感激したものです。
Alzo & Udine『C'mon And Join Us!』(1968年)
それだけに今日紹介する『Alzo』のCD化にも歓喜したのですが、その直後に届いた訃報に愕然としました。
『Alzo』「Country」
♪Take a walk on tne country〜♪という出だしの澄み切った一声のみでAlzoの虜になります。カントリーが苦手な僕でも、こんな素敵なカントリー・フレイヴァーならばフィドルも大歓迎です。♪カントリーを歩き回ればきっと素敵な気分になれる〜♪という一節は故郷の復興・再生を誓う今の日本人にとってグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=6RY_HPk87cE
「Don'T Ask Me Why」
Bellからのシングルにもなった美しい名曲。Alzo & Udine時代のように思い切りパーカッシヴな展開のヴァージョンも聴きたいと思いたくなる楽曲ですが、本作らしい幻想的な雰囲気の漂うビューティフル・ソングに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=r3NHeVFC1C4
「Without You Girl」
美しいイントロと切ないファルセット・ヴォイスの歌い出しが胸に迫ってくる名曲。柔らかい朝陽が差し込んでくるかのようなソフトリーな魅力を持った1曲です。メロウなエレピの音色も盛り上げてくれます。
「Looks Like Rain」
Alzoらしいメロディを満喫できるBellからのシングル曲。Alzo & Udineを思い切りマイルド&ソフトにしたビューティフルなアレンジが印象的です。このあたりはBob Doroughの貢献も大きいのでしょうね。The Main Ingredientもカヴァーしています。
http://www.youtube.com/watch?v=MkeLJ8Kl-cM
「Some People」
しっとりとした哀愁モードのメロウ・チューン。雨の季節に聴くとピッタリな雰囲気の仕上がりです。Bob Doroughの意味深なエレピの響きが印象的です。
「Just Can't Get Along」
アルバム中最もAlzo & Udine時代を彷彿させるグルーヴィー・チューン。パーカッシヴなイントロを聴いた瞬間にファンは歓喜してしまいますね。やはりAlzoにはグルーヴィーな楽曲が似合います。小粋なBob Doroughのエレピもグッド!
「That's Alright (I Don'T Mind It)」
Ampexからのシングル曲。バンジョーも入ったカントリー・フレイヴァーの仕上がりです。「Country」同様、カントリー苦手の僕でも魅了されるビューティフルな1曲です。
「Sometimes」
プロデューサーBob Doroughの色が出たジャジーなアレンジが印象的です。後半のAlzoのファルセットがらしくていいですね。
「You Know Me, I Know You」
シンガー・ソングライターらしい仕上がりのドリーミー・メロウ・チューン。美しいハーモニーを聴いているだけで夢心地です。
http://www.youtube.com/watch?v=Mx1K71qyz6c
「Sweet And Salty Stuff」
ブラック・フィーリング溢れたファンキー・チューン。こうした黒いグルーヴ路線のAlzoをもっと聴きたかったなぁ、と無い物強請りしてしまいます。
「You're Going」
柔らかい魅力を持ったメロウ・フォーキー・チューン。ギターのアルペジオ、メロウなエレピ、涼しげなフルートらが織り成す素敵な音世界を堪能しましょう。
「Lookin' For You」
ラストは心の温もりが伝わってくる爽快フォーキー・チューン。人肌恋しい時に聴くと胸にグッときそうです。
CDにはボーナス・トラック「An Autobiography (1)」、「An Autobiography (2)」が収録されています。
お蔵入りとなっていた2ndソロ『Takin' So Long』も2004年もCD化されています。
『Takin' So Long』
Bob Doroughは他にもスパ&ギャンとか、いい仕事をしてますね。
ありがとうございます。
Alzo & Udineも含めてAlzoは最高ですね。
Bob Doroughは『Multiplication Rock』のサントラを紹介しようと思っていたところです。乞うご期待を!