発表年:2009年
ez的ジャンル:北欧ブラジリアン・ジャズ
気分は... :眩しい !
北欧産ブラジリアン・ジャズSteen Rasmussen Feat. Josefine Cronholm『Amanha I Morron Tomorrow』(2009年)です。
昨年よく聴いたアルバムでしたが、Amazonにジャケ画像が無かったせいもあり紹介しそびれていた作品です。
Steen Rasmussenはデンマークを拠点に活動するジャズ・ピアニスト。
Toninho Horta、Airto Moreiraが全面参加し、話題となったデンマーク在住ブラジル人女性ヴォーカリストSilvana Maltaのアルバム『Ceu De Brasilia』(2005年)等にも参加しており、ブラジリアン・ジャズもお得意のピアニストです。
Silvana Malta『Ceu De Brasilia』(2005年)
本作『Amanha I Morron Tomorrow』では、スウェーデン出身の女性シンガーJosefine Cronholmをパートナーに、ジャジーでソフィスティケイトされた北欧らしいブラジリアン・ジャズを聴かせてくれます。
「Mas Que Nada」、「Triste」、「Na Baixa Do Sapateiro」、「Useless Landscape(Inutil Paisagem)」、「Chovendo Na Roseira」、「Manha De Carnaval」、「Zanzibar」、「Amazonas」等お馴染みの名曲にSteen Rasmussenのオリジナル3曲を加えた全12曲です。
スペシャル・ゲストとして、Afonso Correa(per)、Jonas Krag(g)、ベリー・スペシャル・ゲストとして、Robertinho Silva(ds、per)が参加しています。特に、Robertinho Silvaが叩き出す本場ブラジル・ミュージシャンならではのリズムはアルバムを盛り上げてくれます。
基本はジャズなので、しっかりジャズすべき部分はジャズしているのもアルバムの魅力です。
ジャケの雰囲気そのままに、春気分を堪能できる北欧ブラジリアン・ジャズです。
全曲紹介しときやす。
「Mas Que Nada」
Jorge Ben作の名曲「Mas Que Nada」のカヴァー。当ブログではSergio Mendes & Brasil'66、Tamba Trio、Lill Lindforsのヴァージョンを紹介済みです。スウェーデン語の「Mas Que Nada(Hor Min Samba)」ということでは、Lill Lindforsに続き2回目になります。ゲスト参加のRobertinho Silva、Afonso Correaの二人による本場ブラジルのリズム隊に、北欧らしい小粋なジャジー・サウンドが絡む好カヴァーです。
「Triste」
Antonio Carlos Jobimのカヴァー。Rasmussenの美しいピアノをバックに、Josefineがしっとりと歌い上げるバラード仕立ての前半から、エレガントなボッサ・ジャズの中盤以降へと展開していきます。ゆったりと時間が流れていく感じがいいですね。
「Amanha - I Morron - Tomorrow」
タイトル曲はSteen Rasmussenのオリジナル。カフェで聴くのにぴったりのボッサ・チューンです。ゲストのJonas Kragのギターが実に小粋です。
「I Morron」
イタリア人ジャズ・ピアニストBruno Martino作品のカヴァー。Lis Wessbergによるムーディーなトロンボーンが印象的です。Josefineの哀愁ヴォーカルにもグッときます。
「Na Baixa Do Sapateiro」
ディズニー映画『三人の騎士(The Three Caballeros )』でも使われたAry Barroso作品。当ブログではLennie Dale & Sambalanco Trioのカヴァーを紹介済みです。Robertinho Silva、Afonso Correaのパーカッションが目立つリズミックな仕上がりが僕好みですね!
「Eu Sei Que Vou Te Amar/Useless Landscape」
「Eu Sei Que Vou Te Amar」(Vinicius de Moraes/Antonio Carlos Jobim作)と「Useless Landscape(Inutil Paisagem)」(Antonio Carlos Jobim作)のメドレー。「Inutil Paisagem(邦題:無意味な風景)」は当ブログでTenorio Jr.、Quarteto Em Cy、Tita、Vinicius Cantuaria、Nu Braz、Wanda Saのカヴァーを紹介済みです。
終始美しくミステリアスな雰囲気がいいですね。途中で一気に加速するのか!と思いきや、そうならないのがミソ(笑)
「Chovendo Na Roseira」
Antonio Carlos Jobim作。当ブログではOsmar Milito、Sergio Mendes & Brasil '77のカヴァーを紹介済みです。北欧ジャズらしいセンスの良さを感じるボッサ・ジャズは僕の一番のお気に入りです。Josefineのヴォーカルも実にキュート!
「Manha De Carnaval」
Antonio Maria/Luiz Bonfa作の名曲「カーニバルの朝」のカヴァー。当ブログではDexter Gordon、Gerry Mulligan、Balanco、Astrud Gilberto、Jack Marshall & Shelly Manneのカヴァーを紹介済みです。ここではスピリチュアルなムードが漂う「カーニバルの朝」を聴かせてくれます。
「Zanzibar」
Earth,Wind & Fireのカヴァーでお馴染みのEdu Lobo作品をカヴァー。ここではJosefineのスキャットとLis Wessbergのトロンボーンが絡むクールなブラジリアン・ジャズに仕上がっています。
「Carla」
Steen Rasmussenのオリジナル。Steen Rasmussenのピアノ・ソロを満喫できる1曲。
「Pedaleando - Enamorado En Mi Bici」
Steen Rasmussenのオリジナル。オリジナルの中では一番のお気に入り。小粋でスタイリッシュなブラジリアン・ジャズに仕上がっています。
「Amazonas」
ラストはJoao Donatoの名曲カヴァーです。当ブログではJoao Donato自身(アルバム『Quem e Quem』収録ヴァージョン)やAgustin Pereyra Lucena、Cal Tjaderのヴァージョンも紹介済みです。ここでもRobertinho Silva、Afonso Correaのゲスト2人がリズム隊で参加していますが、軽くラテン調になっているのが興味深いです。
今、WOWOW『JAZZ FILE』でFourplayのブルーノート東京でのライブを観ています。正直、アルバムを購入したいとまでは思いませんが、ライブは楽しめますね。叔父さんになりましたが、グッとくるメンバーですな。