2006年06月26日

Doors『Strange Days』

Jim Morrison率いるDoorsの作品中最もサイケなアルバム☆『Strange Days』
Strange Days
発表年:1967年
ez的ジャンル:破滅的カリスマ系サイケデリック・ロック
気分は... :実に滑稽な風景だ...

最近、知人のブログで「自己完結な会話」というテーマが話題になった。

自己完結の会話とは、相手の考え、気持ちなどお構いなく、自分の価値観を一方的に述べて、こちらは何の同意もしていないのに、勝手に自分に同意していると勘違いしているような会話だ。

大体自己完結な会話をする人の特徴として、自分の体験、知識を他人に自慢して、相手から“スゴイですね!”という返事を引き出したいという願望が強いケースが多い。

でも実際には、本人が得意気に語っても、相手はそんな体験や知識に興味はなく、“うぜぇ〜”と思うことはあっても、“スゴイ!”と思うことは殆どない。僕もコノ手の高慢な態度の相手に出くわすと、心の中の性悪な自分が顔が覗かせ、逆にその知識の欠如・矛盾を探り出し、ツッコミを入れたくなってしまう!オレって嫌な奴だね〜。でも普段は温厚な人柄ですので(笑)

可哀想だけど本人の思いとは裏腹に、実に滑稽な会話風景なのだ。
特に、自分では体験・知識が豊富だと思っている人ほどこういった会話に陥るケースが多い。仮に本当に豊富な体験・知識(=コンテンツ)を有していたとしても、それが会話の文脈(=コンテキスト)に合っていなければ、それは無用な体験・知識談である。

個人的には、会話の中で文脈(コンテキスト)を的確に判断し、それに合った内容(コンテンツ)を峻別できる“コンテキスト力”のようなものが、コミュニケーションの善し悪しを決めるポイントだと思う。

さて、滑稽な会話風景などと書いていたら、何とも滑稽なイメージのジャケ写真が印象的なDoors『Strange Days』を思い出した。

Doorsのアルバムと言えば、既に本ブログで紹介済みの鮮烈なデビュー作『Doors』が有名だが、『Strange Days』は『Doors』に続く2ndアルバム。

大ヒット・シングル「Light My Fire」を含む『Doors』は、ワイルドなJim Morrisonのボーカルとベースレスという異色のバンド編成が生み出すサイケかつジャズっぽいサウンドが特徴だった。

それに比べると、本作『Strange Days』は、ジャズ色はやや後退し、よりサイケ色が強まったアルバムと言えるかもしれない。Jim Morrisonの歌詞もよりトリップ・ソング的なものになってきている、ベースレスが特徴のバンド編成もベース奏者がゲスト参加していマス。

次の3rdアルバム『Waiting for the Sun』が、かなりポップ色の強いアルバムにシフトしていったことを考えると、最もサイケなDoorsが聴けるのが本作かもしれない。

Jim Morrisonによるストレンジな世界を他のメンバーRay Manzarek、Robbie Krieger、John Densmoreがストレンジなサウンドで仕上げてくれた、ある意味最もDoorsとして完成されたアルバムと言えるかも?

オススメ曲を紹介しときやす。

「Strange Days」
奇妙な旅芸人一座が街を練り歩く姿がピッタリとハマるストレンジなナンバー。儚く幻想的なサウンド&ボーカルが印象的ですな。

「You're Lost Little Girl」
ボーッとした虚脱感に襲われるナンバー。そんな中でRobbie Kriegerのギターがやけに美しく感じる。教会音楽っぽいテイストもいいね。

「Love Me Two times」
サイケなエレクトリック・ブルース。Ray Manzarekのチェンバロ(?)っぽい音色のキーボードがカラフルな色彩のサウンドに仕上げてくれていマス。

「Unhappy Girl」
Doorsらしい儚いポップ・ソング。哀愁のグループ・サウンズみたいなカンジが魅力☆

「Horse Latitudes」
Jim Morrisonの詞の朗読が聴けるナンバー。「放牧地帯」という邦題がインパクトあるよね!

「Moonlight Drive」
Doors結成のきっかけにもなったJimの歌詞が素晴らしいナンバー。♪月光のドライブ♪月に向かって泳ごう♪という歌詞は文学的でもあり、トリップ・ソング的でもありビミョーな気もするけどね。

「People Are Strange」
邦題「まぼろしい世界」というタイトルの方がピンとくるかもね。人間の心の歪みを淡々と歌うJim Morrisonに、逆に孤独感やヤバさを感じる。「Strange Days」同様に旅芸人一座の姿が浮かんでは消えるカンジのストレンジなサウンドもグッド!

「My Eyes Have Seen You」
本作の中では最もハードな印象なナンバー。1stのワイルドさが好きな人にはオススメのナンバー。

「When The Music's Over」
10分超の大作。♪音楽はきみの唯一の友、終わるときまで♪といった終末観に満ちた歌詞は、当時の若者にとってかなりインパクトがあったのでは?またサウンドもこのヤバイ歌詞をさらにおどろおどろしくすることに見事に成功し、『Doors』収録の「The End」と並ぶ名曲に仕上げていマス。

コンテキスト力ということで言えば、ブログというのはもっとも文脈(コンテキスト)を意識すべき、コミュニケーション・ツールだと思う。自分も気を付けたいものっす。
posted by ez at 00:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おー!さすが!僕もドアーズは大好きです!
行き詰った気分になるとよく聞いていたな〜。
ジム・モリソンの伝記も面白かったです。
ドアーズもヤッパリ人生に欠かせないグループです!
Posted by けん at 2006年06月26日 01:08
☆けんさん

ありがとうございます。

Jim Morrisonは確かに伝記を読みたくなるカリスマ的ロック・アーティストですよね。
Doorsを聴くたびに、彼の才能、狂気、幻想、孤独...実に興味は尽きません。
Posted by ez at 2006年06月26日 02:08
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