発表年:2007年
ez的ジャンル:爽快!女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :男と女のサンバ!
今回は女性ジャズ・ヴォーカリストStacey Kentの『Breakfast On The Morning Tram』(2007年)です。
アメリカ生まれ、現在はイギリスを拠点に音楽活動を続けているStacey Kentの紹介は、『Raconte Moi』 (2010年)に続き2回目です。
『市街電車で朝食を』という邦題の本作は、名門Blue Noteレーベルからの第1弾アルバムであり、グラミー賞にノミネートされるなど高い評価を得た作品です。
これまでも公私のパートナーとなるサックス奏者Jim Tomlinsonとの二人三脚で作品を制作してきたStaceyですが、本作『Breakfast On The Morning Tram』でも夫Jim Tomlinsonがプロデュース&アレンジを手掛けています。
レコーディング・メンバーはStacey Kent(vo)、Jim Tomlinson(ts、as、ss、fl)、John Parricelli(g)、Graham Harvay(p)、Dave Chamberlain(b)、Matt Skelton(ds、per)。
次作『Raconte Moi』 (2010年)では全曲フランス語ヴォーカルを披露したStaceyでしたが、それを予感させるように本作では3曲でフレンチ・ヴォーカルに挑戦しています。
そのうちの1曲が『Un Homme Et Une Femme(邦題:男と女)』の中でPierre Barouhが歌った名曲「Samba Saravah(邦題:男と女のサンバ)」です。
実は昨日たまたまですが映画『男と女』を観ることができ、その影響で気分が「Samba Saravah」モードです。そこで「Samba Saravah」のカヴァーが収録されている本作が聴きたくなった次第です。
アルバムの構成は、フレンチ・ヴォーカルのカヴァーが3曲、オリジナルが4曲、スタンダード・カヴァーが1曲、Fleetwood Macのカヴァーが1曲という全12曲です。
どうしてもフレンチ・ヴォーカル3曲が目立ちますが、オリジナルの4曲が結構良かったりします。オリジナルは全て作詞Kazuo Ishiguro/作曲Jim Tomlinsonによるものです。作詞のKazuo Ishiguroとは長崎県出身で現在はロンドン在住のイギリス人作家である石黒一雄氏のことです。
小粋な女性ジャズ・ヴォーカルで素敵なモーニングを!
全曲紹介しときやす。
「The Ice Hotel」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。実に爽快なオープニング。小粋なバックも含めて、僕が期待するStacey Kentワールドを存分に堪能できます。
http://www.youtube.com/watch?v=ysA5GogtBl8
「Landslide」
Fleetwood Macのカヴァー(Stevie Nicks作)。ここではJohn ParricelliのギターとGraham Harvayのピアノを中心にしっとりとした仕上がりで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=jITguAOkRsQ
「Ces Petits Riens」
Serge Gainsbourg作品のカヴァー1曲目。雰囲気のあるフレンチ・ヴォーカルにグッときます。パリの街角で聴くとピッタリといった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=PaOaGZ9MRik
「I Wish I Could Go Travelling Again」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。僕の一番のお気に入り曲。ロマンティックなボッサ・ジャズに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=0askup0c3JY
「So Many Stars」
Sergio Mendes/Alan Bergman/Marilyn Bergman作。Sergio Mendesのオリジナルは『Look Around 』(1968年)に収録されています。ここではジャズ・スタンダード風の仕上がりで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=3Qly-5LpnHc
「Samba Saravah」
名曲「男と女のサンバ」のカヴァー。Baden Powell/Vinicius De Moraes/Pierre Barouh作。当ブログでは『Un Homme Et Une Femme(男と女)』ヴァージョン以外にBebel Gilbertoのカヴァーも紹介済みです。『Un Homme Et Une Femme』ヴァージョンがお好きな人であれば、フレンチ・ヴォーカルの本ヴァージョンも気に入ると思います。前述のように昨日『男と女』を観たばかりの僕の気分にジャスト・フィットです。
http://www.youtube.com/watch?v=eHeR50NQctE
「Breakfast on the Morning Tram」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。タイトル曲はJim Tomlinsonのアレンジ・センスが冴えた小粋なジャズ・チューンに仕上がっています。
「Never Let Me Go」
Jay Livingston/Ray Evans作のスタンダード。当ブログではBill Evans『Alone』のヴァージョンを紹介済みです。Graham Harvayのピアノに導かれ、Staceyが切ないヴォーカルで語りかけてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=P9HjfBy8Jbo
「So Romantic」
Jim Tomlinson/Kazuo Ishiguro作。Staceyのキュートなヴォーカルにグッとくるロマンティック・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=RDxqXYCJw_A
「Hard Hearted Hannah」
Bob Bigelow/Charles Bates/Jack Yellen/Milton Ager作のスタンダード。スタンダード気分たっぷりのヴォーカル&バッキングがいい感じです。Staceyもかなりノッています。
「La Saison des Pluies」
Serge Gainsbourg作品のカヴァー2曲目(Elek Bacsik/Serge Gainsbourg作)。John Parricelliの美しいギターをバックに、優しくキュートなフレンチ・ヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=iTkLvAuFZQ4
「What a Wonderful World」
George Douglas/George David Weiss/Bob Thiele作。Louis Armstrongの歌でお馴染みのスタンダード。子守唄のように囁くStaceyのヴォーカルが優しく包み込んでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=fPLnqICFlqo
他のStacey Kent作品もチェックを!
『Close Your Eyes』(1997年)
『Love Is...The Tender Trap』(1998年)
『Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire』(2000年)
『Dreamsville』(2000年)
『In Love Again: The Music of Richard Rodgers 』(2002年)
『The Boy Next Door』(2003年)
Jim Tomlinson Feat. Stacey Kent『The Lyric』(2005年)
『Raconte Moi』 (2010年)