発表年:1982年
ez的ジャンル:ヒンヤリ系ネオアコ
気分は... :寝苦しい夜には...
W杯準決勝「フランス対ポルトガル」戦は、ポルトガル勝利の予想は見事にハズレてフランスが決勝へ☆
敗れたものの、ポルトガルが今大会のベストチームであったとの僕の意見は変わりない。個人技に優れた選手を理に適った配置をし、規律を与えれば、華麗さと堅実さを兼ね備えたサッカーが展開できることを証明してくれたと思います。
フランスは確かに、ジダン、テュラム、マケレレ、ビエラといったベテラン陣の経験値の高いプレーは素晴らしいと思し、決勝トーナメントに入り、スペイン、ブラジル、ポルトガルという強豪を撃破してきた実力は認めざるをえない。しかしながら、もっといいサッカーが出来るような気がしてならないなぁ。
何よりエースのアンリが輝いていないのが納得できないよね。アンリに1トップのFWはミスマッチだと思う。もし1トップにこだわるならばトレセゲあたりの方がハマる気がする。決勝進出という事実を前にしても、僕はドメネクという監督の采配が優れているとは到底思えない。唯一、リベリという新しい才能を大抜擢したことだけは称賛するけど...
それと比較すると、決勝進出のもう1チームであるイタリアのリッピは、今さらながら名将の言葉が実に相応しい監督だよね。大会前はセリエAの八百長問題でW杯どころではない雰囲気の代表だったが、逆境をバネにチームを結束させ、難しいグループだったE組をトップ通過すると同時に、控えGK2名以外の全フィールド・プレーヤーへ起用する采配は見事としか言いようがない。
カテナチオの守備陣の安定感は勿論だが、ドイツ戦のように、ジラルディーノ、イアキンタ、デルピエロという攻撃的選手を次々と送り込み、かつトッティもフィールドに残っていた攻撃陣もなかなかワクワク感で一杯だ。
ジダンに有終の美を飾って欲しい気もするが、世界一に相応しいチームは、フランスではなくイタリアだと思う。
さて、今日は暑くて寝苦しい夜に、体をヒンヤリとクールダウンさせてくれるアルバムTracey Thorn『A Distant Shore』(1982年)デス。
Tracey Thornについては、Ben WattとのデュオであるEverything But the Girl(EBTG)の1stアルバム『Eden』(1984年)を以前に紹介しましたね。
その『Eden』発表から遡ること2年の1982年に発表されたTracey Thornのソロが本作である。『Eden』の記事投稿の時に、本作の「Night and Day」、「Femme Fatale」の2曲に衝撃を受けたと書いたが、正確には、「Night and Day」はオリジナルの『A Distant Shore』には収録されていない。実のところ、この曲はEBTGの1stシングルだったのだ。しかし、『A Distant Shore』の日本盤には、そのEBTGの1stシングル2曲が追加されて発売されたというわけデス。
多分、このあたりが好きな人って、本作『A Distant Shore』(1982年)、Ben Wattのソロ『North Marine Drive』(1983年)、EBTG『Eden』(1984年)を3枚1セットで持っている人が多いんじゃないかと思います。僕もそのパターンっす。
その中で『A Distant Shore』は、シンプルな作りで素材そのまんまってアルバムだよね。マグロ料理で言えば、『Eden』がオシャレなカルパッチョだとすれば、『A Distant Shore』はさっぱりとした赤身の刺身ってカンジかな??
殆どギターと歌のみのシンプルな音楽は、ごまかしが効かず、Traceyの気だるく、淡々としたボーカルが剥き出しのまま、ストレートに伝わってくる。そのインパクトこそがこのアルバムの魅力だと思いマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Small Town Girl」
切ない女性の想いが、じわーっと染み渡ってくるカンジのオープニング・ナンバー。
「Simply Couldn't Care」
根暗な(?)ボッサ・ナンバー。いい意味でサウダージなカンジが全くない(笑)。
「Femme Fatale」
本ブログでも紹介したVelvet Undergroundのカヴァー。僕が初めて聴いた時に衝撃を受けたナンバー。今でもこの曲だけは、他のTraceyの曲と異なった印象がある。なんか聴いていると背中がゾクゾクしてくる。オリジナルの謎の女性Nicoのド素人だけどミステリアスなボーカルも大好きだが、このTraceyのカヴァーもオリジナルに負けないパワーが伝わってくる。
「On My Mind」
前述のEBTGの1stシングル収録の1曲。当然ながらBen Wattのボーカルも聴けマス。幻想的な雰囲気を持った曲だね。
「Night And Day」
同じくEBTGの1stシングル1曲。ご存知の通り、ポピュラー音楽の大御所Cole Porterによるお馴染みのスタンダードナンバーですよね。やっぱり、この曲がダントツで好きだなぁ。この新感覚のヒンヤリ系ボッサのインパクトは大きかったよね。大好きなPaul Weller兄貴のStyle Councilもこのボッサ・サウンドの影響をモロに受けていたよね。
この曲自体は超有名スタンダードなので、数多くのアーティストが取り上げているが、個人的にはこのTraceyのカヴァーと本ブログでも紹介したテナーサックス奏者Joe Hendersonのカヴァーがお気に入りデス。
「Dreamy」
これも「Night And Day」と同じ感覚のヒンヤリ系ボッサ。きざみ海苔をたっぷりかけたトコロ天をわさび醤油(からし醤油じゃないよ!)で食したくなるようなナンバー。
「New Opened Eyes」
Traceyの中性的なボーカルの魅力が生きたナンバー。新たな視点で歩んでいこう!
「Too Happy」
「Night And Day」、「Femme Fatale」というインパクトのある2曲を除けば、この柔らかくも、力強いナンバーが一番好きかも?
購入するならば、「Night And Day」収録の国内盤の方がお得だと思いマス。
このアルバムでも聴きながら、カラダをクールダウンさせて早く寝ようっと!そろそろW杯モードの昼夜逆転生活を矯正しないとね!
私もこのアルバムが大好きで、発売当初から(もちろんアナログlp}で聴いてきました。
おっしゃる通りベン・ワットとe.b.t.gとセットでした。
感傷的な夏の陰りが聴きものの逸品かと思うのですが、私は冬にこのアルバムを聴くのが好きでした。
他にはスラップハッピーなんかが好きですね。sort ofは今でも聴いています。
ありがとうございます。
静かなる衝撃作ですね。
いつ聴いても鮮度が落ちない作品だと思います。
今年EBTGが24年ぶりの新作『Fuse』をリリースしましたね。
後期EBTGの流れを受け継ぐエレクトリック・サウンドが目立ちますが、その健在ぶりを確認できて嬉しい限りです。