発表年:2011年
ez的ジャンル:ボーダーレス系ジャーマン・ジャズ・ファンク
気分は... :バルサはチャンピオンになれるか!
もうすぐUEFAチャンピオンズリーグ決勝「バルセロナ対マンチェスターU」のキックオフです。
バルサ・ファンの僕は当然バルサの勝利を信じていますが、正直なところ今シーズンの状態でいえば、マンUの方が安定している気がします。でも、強いマンUを破ってこそ真の王者!個人的にはイニエスタに期待しています。
今回は新作アルバムの中から超オススメの1枚、Shareholder Tomの2ndアルバム『Havanna - Asmara, Via Colonia』です。
Shareholder Tomは、ジャーマン・ファンク・シーンの重要人物Thomas Berghausによるプロジェクト。今回紹介する『Havanna - Asmara, Via Colonia』は、『Emotional Value』(2009年)に続く2ndアルバムです。
Thomas Berghausはケルン出身のマルチ・ミュージシャン/DJ。自身の音楽レーベルBuro. 9 Musicを運営し(本作も同レーベルからのリリース)、音楽雑誌『Uptown Strut』を発行しています。昨年には『Uptown Strut』誌と連動したコンピ・アルバム『Uptown Strut Presents: Editors Selection Vol. 1』をリリースしています。
本作『Havanna - Asmara, Via Colonia』はタイトルの通り、ヨーロッパから中米、アフリカへと音楽の旅を詰め込んだサウンド・スケープ的なアルバムです。全体としてはジャズ・ファンク/クラブジャズをベースにソウル/R&B、ハウス、ラテン、レゲエ、アフロビート、アフリカ音楽などが融合した国境を越えた音世界が展開されます。
CDのキャッチコピーに"ドイツから南米、アフリカへ"とありますが、アルバム・タイトルの都市名(キューバの首都ハバナ)やレゲエ調の楽曲が収録されている点を考慮すると"ドイツから中米、アフリカへ"という方が適切なのでは?
ちなみにタイトルにあるAsmaraとは、アフリカ北東部の国エリトリアの首都アスマラです。恥ずかしながら、エリトリアという国については勉強不足で殆ど知識がありません。西はスーダン、南はエチオピアと接する国であり、深刻な人権問題を抱えている国のようですが・・・
Thomas Berghausがそんなエリトリアの都市に思いを馳せたのは、本作に参加している女性シンガーFijoriがエリトリア出身であることが影響しているのだと思います(現在はミュンヘンを拠点に活動)。
そのFijoriも含めて、ドイツ人とガーナ人の両親を持つアフリカ系ドイツ人女性シンガーAlison Degbe、ロンドン出身のジャマイカ系イギリス人男性シンガーTravis Blaqueという3人のヴォーカリストが本作『Havanna - Asmara, Via Colonia』でフィーチャーされています。3人とも前作『Emotional Value』に引き続いての参加です。
今回紹介するのは国内盤ですが、輸入盤はジャケも収録内容も異なります。
輸入盤はオリジナル10曲のみですが、国内盤はオリジナル10曲にEP『Wanna Dance EP』(2011年)からの3曲を加えた全13曲構成になっています。
『Havanna - Asmara, Via Colonia』(輸入盤)
ジャズ・ファンク/クラブジャズ/クロスオーヴァー/クラブ・ミュージック好きの人であれば、Thomas Berghausのセンスに惹き込まれる1枚だと思います。
国境を越えたサウンド・スケープを楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「Itchy Feet」
オープニングは Hamilton Bohannon「South African Man」をサンプリング。アフロなファンク・チューンで音楽の旅がスタートします。
「Send My Tears」
Alison Degbeをフィーチャー。アルバムのキラー・チューンと呼べるエレガント・ソウル・チューン。Diana Rossあたりに通じるキュートなAlisonの歌声と60〜70年代ソウルをモダンな感覚でリメイクしたかのようなスタイリッシュ&ヒューマンなサウンドの組み合わせがサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=2WxBAwwPN18
「Feel Music, Love & Hate」
Travis Blaqueをフィーチャー。この曲はハバナ・モードのアフロ・キューバン・サウンドにジャマイカ系イギリス人らしいTravis Blaqueのラガマフィン調ヴォーカルが絡んできます。個人的には昨年紹介したUKのラテン・ジャズ・プロジェクトSunlightsquare Latin Comboあたりと一緒に聴きたくなります。
http://www.youtube.com/watch?v=gCMZDM_bCIk
「Stopover Abeokuta (Sosue Soulkomplex RMX)」
後述する「Stopover Abeokuta」のDJ Sosueによるリミックス。DJ Sosueはケルンの女性DJ。アフロ・ビートなオリジナルをよりアシッドにした雰囲気がいいですね。
「Love Leaves You Blue」
Alison Degbeをフィーチャー。個人的には一番のお気に入り。クラブジャズ好きの方が聴くと素直に格好良いと思える仕上がりです。クールな疾走感にグッときます。
「Sorry - A Brief Affair」
Travis Blaqueをフィーチャー。この曲はまんまレゲエ・チューンです。個人的には90年代のUKレゲエあたりと一緒に聴きたい気分です。
「Stopover Abeokuta」
Fela Kutiばりのアフロ・ビート・チューン。先に紹介したDJ Sosueによるリミックスと聴き比べると楽しいと思います。
「Lomi」
Fijoriをフィーチャー。エリトリアで広く使われているティグリニャ語で歌われています。エスニックなテイストとヨーロピアンなテイストが融合した独特のサウンド・スケープが描かれています。
「Rechibejo」
Fijoriをフィーチャー。本曲もティグリニャ語で歌われています。アフロビート的なサウンドとは対極をなす、エスニック・ドリーミー・サウンドに引き込まれてしまいます。
「Love Leaves You Blue (Alex B. Groove RMX)」
「Love Leaves You Blue」のハウス・リミックス。ケルン出身で現在はコロンビアに在住のDJ Alex B. Grooveが手掛けています。
前述のように、ここからの3曲は国内盤のみ収録のボーナス・トラック3曲(いずれもEP『Wanna Dance EP』収録曲)です。
「Ishaga」
本編にはない雰囲気のエレクトロ・チューン。ヴィヴィドな音色が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=WBGIXwdWJ40
「Wanna Dance」
Alison Degbeをフィーチャー。サルソウル調のダンス・チューン。ガラージ好きの人あれば気に入る1曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=KYUvPy_-IAg
「Cool Jerk」
Alison Degbe、Jbid Assadurian をフィーチャー。本作唯一のカヴァー曲(オリジナルは1966年のCapitols)。オリジナルの魅力を引継ぎつつ、クラブジャズ・テイストの格好良さが加味されているのがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=MUABfZhvx2Q
ボーナス・トラック3曲の出来栄えの良さからすれば、国内盤の方をオススメします。
『Emotional Value』
『Uptown Strut Presents: Editors Selection Vol. 1』